大字上鶴間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 07:28 UTC 版)
高座郡大野村の発足により、旧上鶴間村は同村の大字上鶴間となった。 1908年(明治41年)に横浜鉄道(1917年(大正6年)に国有化。現JR東日本横浜線)が開業し、原町田駅(現町田駅)が開設されると、境川をはさんで同駅に至近な区域で市街化が始まった。 1927年(昭和2年)、小田原急行鉄道(現小田急電鉄)小田原線が、また1929年(昭和4年)には同江ノ島線が開業した。開業当初、小田原線は当大字内に駅を設けず、江ノ島線との分岐点(相模大野分岐点)に信号場を置いたのみであったが、江ノ島線上には開業と同時に東林間都市駅(現東林間駅)を設けて、同社資本による「林間都市」開発事業が進められた。しかし、当時としては都心から遠過ぎたことから宅地の販売は進まず、この事業は頓挫した。 これに代わって1937年(昭和12年)、座間町(現座間市)と新磯村(現相模原市南区)にまたがって陸軍士官学校が移転してきたことを皮切りに、当大字内にも臨時東京第三陸軍病院(一部は新磯村。1938年:昭和13年)、電信第一連隊および陸軍通信学校(1939年:昭和14年)、原町田陸軍病院(のち相模原陸軍病院。1940年:昭和15年)と、陸軍施設の進出が相次いだ。これに合わせて1938年、小田急小田原線上には通信学校駅(現相模大野駅)、相模原駅(現小田急相模原駅)が開業している。 相次ぐ陸軍施設の進出を背景に軍部の要請もあって1941年(昭和16年)、大野村は同じ郡の上溝町、座間町、相原村その他と合併して高座郡相模原町の一部となった。相模原町は1954年(昭和29年)に市制施行して相模原市となり(旧座間町は1948年(昭和23年)に再分離)、当大字も相模原町、次いで相模原市の大字となった。 1945年(昭和20年)の敗戦後、旧陸軍施設のうち臨時東京第三陸軍病院は国立相模原病院(現国立病院機構相模原病院)、陸軍通信学校は学校用地(相模女子大学、相模原市立大野南中学校、神奈川県立相模台工業高等学校(現神奈川県立神奈川総合産業高等学校))などとなったが、相模原陸軍病院と電信第一連隊の敷地は進駐軍(引き続き在日米軍)に接収された。前者は米陸軍医療センターとして利用されて1981年(昭和56年)に返還されたが、相模原住宅地区として利用されている後者は現在も返還されていない。 昭和初期以降の養蚕業の衰退とともに台地上の桑畑の多くは野菜の畑などに変わり、近郊農業が主体となった。水に恵まれなかった台地上において、1949年(昭和24年)に着手された相模原開発畑地灌漑事業は大きな期待をもって迎えられ、1963年(昭和38年)度に相模川を水源とする用水路が完成して、そのうちの東幹線をはじめとする用水網が当大字内を潤した。しかしその頃には農地の宅地化が進行しており、用水はあまり利用されることなく1970年(昭和45年)には利用者の組合が解散、通水は停止された。東幹線跡は現在、緑道として整備されている。 当区域に宅地化の波が及ぶのは戦後、特に1960年代以降である。小田急の3駅および横浜線原町田駅に近い区域から急速に宅地化が進行した。1959年(昭和34年)に日本住宅公団によって相模大野団地が建設されたことから、同団地に最寄りの相模大野駅周辺が相模原市南部の商業中心として発展を始めることとなる。市街化の進行とともに、1967年(昭和42年)以降、相模原市は以下のように当大字内で相次いで住居表示による新町の編成を実施した。 1967年(昭和42年)10月1日 - 東林間一丁目〜五丁目、松が枝町 1969年(昭和44年)7月1日 - 旭町、栄町、南台一丁目〜六丁目 1970年(昭和45年)7月1日 - 桜台、文京一丁目・二丁目、御園一丁目〜五丁目 1971年(昭和46年)7月1日 - 相南一丁目〜四丁目、東林間六丁目〜八丁目 1977年(昭和52年)7月1日 - 上鶴間一丁目〜八丁目 1981年(昭和56年)7月1日 - 相模大野一丁目〜三丁目・五丁目・六丁目 1982年(昭和57年)7月1日 - 相模大野七丁目〜九丁目 1985年(昭和60年)7月1日 - 相模大野四丁目 1998年(平成10年)11月1日 - 相模大野駅周辺土地区画整理事業区域が相模大野三丁目・七丁目・八丁目に編入 2004年(平成16年)2月1日 - 上鶴間本町一丁目〜九丁目 住居表示実施区域内の町名として「上鶴間」「上鶴間本町」が新設され、現在では米軍住宅地区にのみ住居表示未実施の「大字上鶴間」が残っている。 2010年(平成22年)4月1日、相模原市の政令指定都市移行により、同市の南区に所属することとなった。
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