各国での運用・生産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 02:11 UTC 版)
「カーデン・ロイド豆戦車」の記事における「各国での運用・生産」の解説
第一次世界大戦によって登場した"新兵器"である戦車は、当然ながら各国陸軍の垂涎の的であった。しかしながら高価な戦車を多数装備できる国は少なかった。カーデン・ロイド豆戦車は低コストであったことから、戦車を欲する各国のニーズに合致し、多数が輸出され、400輌以上が輸出されたベストセラーとなった。 イタリア王国 何輌かのMk.V*とMk.VIを購入し、後にMk.VIをC.V.29(C.V.=カルロ・ヴェローチェ〔快速戦車、イタリア語: Carro Veloce〕)の名称で、21輌を輸入し、4輌のライセンス生産を行った。これはその後、フィアットおよびアンサルドにより、より大型で完全密閉式の戦闘室を持つ発展型、豆戦車L3シリーズの開発へと繋がった。 初期のC.V.33(L3/33)、溶接をリベット接合に変更し堅牢さを犠牲にして生産性を向上させたC.V.35(L3/35)、足回りを改良したC.V.38(L3/38)を合わせ2,000輌以上が生産され、イタリア陸軍で使用されたほか、オーストリア・ブルガリア・中華民国・ハンガリー王国・ブラジル・クロアチア独立国・アルバニア・アフガニスタンにも輸出された。 フランス ルノーが、ルノー製4気筒エンジンをそなえた発展型を、タイプUEとして生産した。豆戦車やマシンガン・キャリアではなく、武装は持たない装甲牽引車で、外観上は、乗員の頭を保護する二つの半球状のハッチが特徴である。車体の後部に660kgを積む小さなダンプ荷台をそなえ、乗員が車外に出ることなく物資を投下することができた。このほかに積載量500kgの装軌式トレーラーを牽引する。主に歩兵部隊のオチキス 25mm対戦車砲の牽引用に用いられた。 UEおよび小改良型のUE2は1931年から1940年までに5,200輌が製造され、カーデンロイド発展型の中では最大の生産台数となった。また、ルーマニアではライセンス生産も行われ、東部戦線で使用された。ドイツ軍に接収された車両は、第二次世界大戦を通して使われた。 オランダ 5輌のMk.VIを保有、これは1940年のドイツの侵攻当時、オランダ本国陸軍が装備するほぼ唯一の装軌式AFVだった。 ポーランド 1929年に、10輌もしくは11輌のMk.VIをライセンスと共に購入し、それを元に独自に改良を行い、TK豆戦車シリーズを開発。TKシリーズは約600輌が生産され、1939年のポーランド戦で使用された。 チェコスロバキア 1930年に3輌のMk.VIをライセンスと共に購入し、その設計を向上させ、プラハのČKD製造所で74輌のvz.33豆戦車を製造した。 ソビエト連邦 20輌のMk.VI(ロシアではK-25と呼ばれた)をライセンスと共に購入した。しかし、最終的な開発計画は徐々に近代化され、ライセンスは失われた。その代わりにレニングラードにあるボリシェビキ工場がイギリスの設計を小改良したT-27豆戦車の製造を開始した。 合計で3,228輌のT-27が1931年から1933年の間製造された。 中華民国 18輌のMk.VIが輸入され、1929年、これを装備する陸軍教導第一師戦車隊が南京で編成された。 大日本帝国 陸軍(陸軍技術本部)が1930年(昭和5年)にMk.VI(戦闘室側面が垂直で、戦闘室の上面に2つの四角錐台フードのあるタイプ)を2輌輸入し、翌年3月から様々なテストを行い、カーデン・ロイドとは異なる九四式軽装甲車を独自に開発した。 海軍陸戦隊は1932年(昭和7年)に6輌のMk.VIb(機関銃レシーバー部に装甲覆いの付いていない初期型)を購入して「カ式機銃車」と名付けて、上海海軍特別陸戦隊に配備して運用した。Mk.VIbは戦闘室の装甲面が避弾経始のために傾斜していた。エンジンがそれまでの液冷から空冷に変更されている。武装は車体前部右側に毘式7.7 mm重機関銃1挺。戦闘室の天板として前後に開く切妻屋根が追加され、また機関銃レシーバー部に前面が曲面の装甲覆いが付いていたり、6両の内でも様々な違いがあったとされる。海軍が独自に初期型をカスタマイズしたものと考えられる。各車の戦闘室側面に、旭日旗と、1号車から6号車までを示す、1から6までのアラビア数字が描いてあった。 タイ 1930年にMk.VIを30輌、1935年にMk.VI*を30輌輸入。 ボリビア 2輌のMk.VIbを受け取りチャコ戦争で使用した。 スウェーデン 1930年代初頭に、Mk.V*とMk.VIの、計2輌を試験用に輸入。結果、不採用。 さらに、この豆戦車は、カナダ、インド、チリ、ポルトガルにも供給された。
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