各国との交渉の経緯
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「US-2 (航空機)」の記事における「各国との交渉の経緯」の解説
インド 2013年5月より、日本とインドの両政府が輸出に向けた協議を行なっている。インドに向けた輸出では機体のみならず、パイロット育成のシミュレータや補給施設建設なども含めたパッケージとして輸出する事も検討されている。インドは海岸線が長く、アンダマン・ニコバル諸島などの島嶼部もあることに加え、中国の海洋進出により北部インド洋におけるプレゼンスを確保するため、 Il-38に代わる哨戒機と救難機を必要としていた。なお同時期に売り込みが行われていたP-1哨戒機に関してはインドへ積極的なセールスは行われず、インド海軍はP-8の導入を決定した。 2014年1月、インドがUS-2を購入することに概ね合意しており、1機あたり1億1000万ドルで、最低でも15機購入する公算が大きいというインド当局者の発言が報じられた。同年4月1日には日本で武器輸出三原則に変わり防衛装備移転三原則が策定された。これを受け日本は4月9日の作業部会で、敵味方識別装置などの軍事装備を保ったまま輸出できるようになったとインド側に説明した。同年9月には、ハイエンド部品を除く一部の部品をインドで生産するというShinMaywa Industries Indiaの展望が報じられている。現地生産が実現した場合のパートナー企業はグジャラート州の造船会社が有力視されていた。 2016年1月、インドが調達予定の12機を自国製造ではなく日本からの完成機の輸入に切り替えたことが報じられた。代わりにオフセットが30%から50%に引き上げられるという。また、将来的に6機以上を追加発注する可能性についても言及された。同年10月には、日本側が価格で譲歩(1機当たり1.33億ドルから1.13億ドルに割引)し、交渉が軌道に乗りつつあると報じられた。 2016年11月5日、インドディアタイムズ紙はインドが日本の水陸両用航空機「US-2i」を取得するためのプロジェクトを復活するとしたことを報じた。購入予定数は12機で沿岸警備隊と海軍がそれぞれ6機ずつ取得する。今後防衛大臣を委員長とする防衛買収協議会(DAC)総会で取り上げられた上で、10~12日に予定されているモディ首相の訪日時に覚書を結ぶ考え。総額は15億~16億ドル(約1600億円)程度と見込まれている。 2016年11月7日、防衛買収協議会(DAC)はUS-2の購入について決定を行わなかったことが報じられた。一方で情報源は11月11-12日に予定されているモディ首相の訪問中にこの問題に関していくつかの前進があるかもしれないと述べた。 2017年1月7日、idrw.orgはManohar Parrikar国防長官がコストを理由に契約を拒否した後、新明和が民間向けの捜索救助型を提案したと報じた。 2017年5月30日、インド海軍では競合機よりも性能が高いUS-2を要求しているが価格の問題により交渉が停滞し、5月8日に稲田朋美防衛相がインドのジャイトリー財務相兼国防相と会談した際、導入の手続きの加速を要求するも返答がないなど、導入は見送られた状態となっている。原因についてインド側の防衛ニーズや導入に関わる意志決定のプロセスなど、交渉に必要な情報について知識や経験が不足していることが指摘されている。 2017年7月13日、フィナンシャルエクスプレスはインドがUS-2iのインド海軍への15億5000万ドルの売却に関する協議を復活させると報じた。同紙によると、決定は年末までに予定されているという。情報筋によると、今年後半に予定されている日印首脳会談の前に、これに関する決定が下されることを期待している。海軍の捜索救助の要件が限定されていることから、両国は第三国への輸出の可能性を検討している。東京はまた、インドに対し航空機のスペアパーツの製造とMROの設置を提案している。 2019年7月12日には、10月22日の即位礼正殿の儀に伴うラーム・ナート・コーヴィンド大統領の訪日までに8年間の交渉内容がまとまり、購入契約が締結にまで近づいているとパンジャールの地方紙『The Tribune』が報じた。3機の完成機輸入と5機のノックダウン生産、7機のインドでの製造による15機の購入で、新明和産業が担当するボーイングとエアバスのエンジン部品製造の一部のインドへの移管と、製造ラインとエンジン整備施設の整備費用約225億円の一部を日本が負担する契約が含まれる。しかし、合意内容の発表の場と予定された12月15日の日印首脳による記者会見は中止された。12月10日には、デリーのオンライン新聞『The Print』がインド海軍高官の「予算配分による優先リストの上位に無い」というコメントを引用して、予算不足からUS-2売買契約の締結可能性が「限りなく低い」と報じた。 インドネシア インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が、2015年3月21日の読売新聞のインタビューで、US-2の購入を検討していると発言している。 タイ 2016年6月、日本経済新聞はタイがP-1とUS-2の取得に興味を示していると報道した。 ギリシャ ギリシャ空軍はボンバルディア CL-415を導入しているが、2018年7月に後継機としてUS-2を検討していると報じられた。
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