刑事ドラマと特撮、テレビアニメ、成人映画
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「阿部桂一」の記事における「刑事ドラマと特撮、テレビアニメ、成人映画」の解説
1961年(昭和36年)からはNHK、1965年(昭和40年)5月29日に放映を開始した『乗っていたのは二十七人』からは東映テレビプロダクションが製作する単発・連続もののテレビ映画に起用され始め、日活や大映の映画にも起用され、1960年代には殺人的なスケジュールをこなす売れっ子脚本家になる。1968年(昭和43年)2月1日に放映を開始した『わんぱく探偵団』に参加して以降、虫プロダクション製作による連続アニメーションテレビ映画にも進出する。 渡辺護(1931年 - 2013年)の回想によれば、1965年に監督デビューした渡辺にとっては初期にあたるこの時期、阿部は新井 啓の変名で渡辺の監督する独立系成人映画、いわゆる「ピンク映画」に脚本を提供していたという。渡辺が挙げた阿部の脚本作は、『観音開き 悪道女』(製作東京興映、1971年12月公開)、『濡れ弁天御開帳』(製作大東映画、1972年1月公開)、『好色女体地獄』(製作わたなべぷろだくしょん、1972年4月公開)である。渡辺も指摘している通り、阿部は当時「テレビでものすごく売れっ子のライターだった」。1974年(昭和49年)10月6日に放映を開始した『SFドラマ 猿の軍団』では、円谷プロダクションとの最初の仕事であったが、「第1話の作家」として招聘され、同作のレールを敷き、最終回までの全26話中12話を書いている。円谷プロダクションが次に手がけた『恐竜探険隊ボーンフリー』では、第1話に始まりノンストップで第7話まで書き、最終回までの多くの回の脚本を書いており、以降、1980年(昭和55年)の『ぼくら野球探偵団』まで、同社のメインライターの位置で同社の作品を支えた。 しかしながら、渡辺護の回想によれば、向井寛が製作し渡辺が監督する予定であった『猟奇薔薇奴隷』の脚本を手がける直前、早稲田大学ラグビー部に所属していた最愛の長男が深刻な負傷を負い、いわゆる植物状態になってしまったという。渡辺によれば、阿部は「テレビのホンよりピンクのホンの方がずっと面白い」といい「一本の映画にできるホンを書いてくる」「腕はたしか」な脚本家であったが、向井が阿部に発注した『猟奇薔薇奴隷』は「もうメチャクチャ」「脚本になってない」ものであり、長男の事態に対するショックの大きさを物語っていたという。『猟奇薔薇奴隷』は東映が配給して、1977年(昭和52年)1月22日に公開されたが、確かに、『プロレスの星 アステカイザー』第25話『サタン・デモンの逆襲』(監督深沢清澄)が同年3月24日に放映されて以降、『恐竜大戦争アイゼンボーグ』第1話『恐竜現わる! D戦隊発進せよ!』(監督大塚莞爾)が同年10月7日に放映されるまでの間、阿部には珍しく、半年以上のブランクが空いている。 1980年代に入ると、記録に残る脚本の本数が激減するが、渡辺護によれば、このころは「阿部さんは向井寛の専属みたいになっていた」という。向井の脚本のクレジットの多くは「宗豊」であり、どれが阿部の脚本なのかはわからない。阿部は、1981年(昭和56年)6月12日に公開された「にっかつロマンポルノ」の1作『好色花でんしゃ』(監督渡辺護、主演鹿沼えり)では、原作者の藤本義一、当時の渡辺護の脚本を多く書いた小水一男と共同で脚本を書いており、1983年(昭和58年)3月12日に公開された東映セントラルフイルム製作の『四畳半色の濡衣』(監督向井寛、原作野坂昭如、主演美保純)では、片岡修二と共同で脚本を書いた。 最晩年にあたる1990年(平成2年)、満66歳のころにも、篠原とおるの漫画を原作に向井寛が監督したビデオ映画『女仕置人ゼブラ 1 セクシー篇』(同年10月25日発売)、『女仕置人ゼブラ 2 アクション篇』(同年11月22日発売)を手がけた。それから1年に満たない1991年(平成3年)8月15日、肝不全のため死去した。満67歳没。同年10月に発行された『シナリオ』誌には鬼頭麟兵(1927年 - )が阿部の追悼文を寄せている。翌1992年(平成4年)、第16回日本シナリオ作家協会功労賞を池上金男(池宮彰一郎、1923年 - 2007年)、井上梅次(1923年 - 2010年)、須崎勝彌(1922年 - 2015年)、富田義朗(1922年 - 2000年)、直居欽哉(1922年 - 1995年)、山田隆之(1923年 - 1994年)、若杉光夫(1922年 - 2008年)といった当時存命の人々、すでに故人であった高橋稔(1931年 - 1991年)、原研吉(1907年 - 1962年)とともに受賞した。
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