備前渠用水とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 建物・施設 > 路線 > 運河 > 日本の疎水 > 備前渠用水の意味・解説 

備前渠用水

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/01 14:14 UTC 版)

備前渠用水

深谷市江原地区(2012年8月)
延長 23km
灌漑面積 1400ha
取水 利根川
埼玉県本庄市山王堂地区)
合流 福川熊谷市
流域 本庄市
深谷市
熊谷市
テンプレートを表示

備前渠用水(びぜんきょようすい)は、埼玉県の北部を流れる埼玉県最古の農業用水路である。

利根川水系一級河川である。疏水百選にも選定され、かんがい施設遺産に登録されている。

概要

現在は本庄市山王堂地区で利根川より取水し、深谷市熊谷市へ流れ、福川合流し利根川へと流れる。途中、御陣馬川や小山川と流路を共有する区間がある[1]。埼玉県北部では、親しみを込めて備前堀備前渠備前渠川とも呼ばれている。現在でも用水路には開削当時の面影を残す素掘りの区間が多い。総延長は約23キロメートル、最大通水量毎秒約9立方メートルであり、利根川の右岸一帯の約1400ヘクタール[2]の水田へ用水を供給している。

沿革

  • 1604年慶長9年) - 江戸幕府の命令により、関東代官頭伊奈備前守忠次によって計画され[2]、20数キロメートルにわたり水路を開削し、備前堀と名づけた[1]。当時は正確な地図も無く、水路を開削する場所を幾度も歩いて調査し、夜には提灯を使い、土地の高さを測り、水が流れることを確かめたりもした。等で掘り、かるこ、もっこなどで土を運搬した。
  • その後、洪水烏川の流路が変わり、元(取水口)が壊滅する。
  • 1783年天明3年) - 浅間山天明大噴火により水路が埋没[1]。岩石や流木などで川底は平均2メートルも上がった。それに伴い、現在の本庄市周辺では度々洪水となった。
  • 1793年寛政5年) - 烏川の河道の上昇に伴い、元圦の締め切り[1]。下流に水が来なくなり、水争いや裁判が行われた。
  • 1818年文政元年) - 用水が不足し年々米が不作となる。
  • 1828年(文政11年) - 漸く取り入れ口の復旧工事が開始される。その後43日間で通水する。取水口は利根川や烏川の乱流域に位置するため、その後二度も変更工事が実施されている。
  • 1930年昭和5年) - 1921年(大正10年)の大水害の発生に伴い、元圦(取水口)の改修が行なわれる[1]
  • 1939年(昭和14年) - 堤外地(河川敷)にある流砂池や土砂吐水路などの改修が行なわれ、1946年(昭和21年)完工する[1]
  • 1958年(昭和33年) - 県の排水改良事業が着工される[1]。取水口や導水路(暗渠・開渠工)などの抜本的な改良に着手する。
    • 1961年(昭和36年) - 現在の取水口が完成する。現在、用水路と施設の管理は備前渠用水路土地改良区が行っている。
    • 1965年(昭和40年) - 県の排水改良事業が完工する[1]
  • 2020年(令和2年)- 世界かんがい施設遺産に登録される[3]

名称の由来

伊奈備前守忠次によって計画されたことに由来する[1]は堀、人工河川などの中国風の呼び方である。

橋梁

唐沢川の下を潜り抜ける備前渠
備前渠鉄橋
新井橋付近
国道17号上武街道の蓮沼橋
水神祠(深谷市)
熊谷市飯塚地区(非灌漑期)

※上流より

(これより上流は暗渠)
- 本庄市山王堂で御陣馬川に合流 -
- 本庄市久々宇で御陣馬川より分流 -
- 深谷市岡で小山川に合流 -
- 深谷市矢島で小山川より分流 -

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i 「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』角川書店、1980年7月8日、724頁。ISBN 4040011104 
  2. ^ a b 備前渠用水 - 全国水土里ネット(疏水名鑑)
  3. ^ 世界かんがい施設遺産:農林水産省”. www.maff.go.jp. 2020年12月21日閲覧。

関連項目

外部リンク


備前渠用水

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 15:15 UTC 版)

日本の人名地名一覧」の記事における「備前渠用水」の解説

河川名関東郡代伊奈備前守忠次より。

※この「備前渠用水」の解説は、「日本の人名地名一覧」の解説の一部です。
「備前渠用水」を含む「日本の人名地名一覧」の記事については、「日本の人名地名一覧」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「備前渠用水」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「備前渠用水」の関連用語

備前渠用水のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



備前渠用水のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
疏水名鑑疏水名鑑
Copy Light(c) : The Ministry of Agriculture Forestry and Fisheries of Japan
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの備前渠用水 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの日本の人名地名一覧 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS