五代・宋とは? わかりやすく解説

五代・宋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 12:57 UTC 版)

仏教美術」の記事における「五代・宋」の解説

水墨画」および「禅#中国の禅の歴史」も参照 先述べた会昌の廃仏」と五代十国時代顕徳年間行われた仏教弾圧、また唐滅亡後戦乱によってこの時代仏教彫刻衰退期見做されることが多いが、実際に各地名品呼びうる作品多く制作された。特に華南戦争による混乱少なく後蜀南唐呉越・閩のように仏教保護する国も多かった宋の時代に入ると、初代皇帝趙匡胤成都で『大蔵経』を印刷させたように国家から仏教対す支援盛んになった。諸宗なかでも教勢発展著しかったのが禅宗浄土教であったまた、この時代には、文人である士大夫層が武人変わって政治の中心占めていった。彼らは儒教栄達のために修めていたものの、哲学信仰の対象として仏教、こと禅宗帰依するものが多かったこのような状況から、墨跡禅画頂相といった、仏教美術新たな流れ生まれていく。 中国禅を巡る芸術は、その担い手多様性から、制作姿勢美術傾向にも異なった様式生み出した禅僧たちが修行儀式のために頂相制作した一方在家居士であった士大夫文人たちは(それが信仰心よるものであったにせよ)余技として禅故事主題とした水墨画を描くことが多かった。さらに、南宋梁楷のように、院体画家(宮廷画家)が仏画を描くこともあった。 禅僧たちの描いた禅画は、その教義ゆえに信仰の対象というよりも内面的な探求の手助けとするために描かれた。したがって悟り助けとなるならば画題囚われずに描くようになり,絵の主題も、それまで仏像仏画扱ったもの(菩薩如来など)に留まらず自然物図形神仙道教)など多岐に渡るようになったまた、絵画表現においても新潮流が起こった五代道釈画家・石恪は、当時一般的であった細密な画風ではなく粗いタッチ仏画描いたが、この画風宋代禅僧たちに受け継がれた。彼らは、モノクローム活き活きとした筆致悟り衝撃表現しよう試みた他方石窟造営盛んに行われた北宋における造像傾向としては、異民族との最前線であった北辺地域現在の河北省山西省陝西省)で造営が盛んであった制作され彫刻も、外敵排除現世来世安寧祈願したものが多い。12世紀始め北方から侵攻してきた金によって華北占領され、宋は靖康の変呼ばれる屈辱的な敗北経験する。南遷した宋王朝南宋呼ばれ国土半分以上失ったものの、経済基盤盤石であったことから、仏教石窟での造像引き続き行われた南宋時代には、大足石窟群に数多く仏像が遺された。人体表現においては北宋時代のものを概ね踏襲しながらも、顔つきはやや面長肉付き増し体型流麗さを残しながらもボリューム湛えている点で以前のもの異なっている。 12世紀南宋朱熹主動した宋明理学台頭によって、禅僧画家多く批判晒された。くわえて後代中国では文人画尊ばれ仏教絵画院体画相対的に低く見られるうになる結果として禅画作品一部は「水墨画」として鎌倉時代日本渡ったが、新たな文人画流れ登場する南宋以降中国では次第衰退していく。 莫高窟17窟(蔵経洞) 布施983年(宋太平興国八年ギメ東洋美術館 莫高窟内部壁画には、制作依頼した人物の関係者描かれる例が見られる無準師範像。南宋嘉熙2年1238年京都東福寺 院体画影響受けている。禅僧画家は、「簡筆画」と呼ばれるシンプルかつダイナミックな描き方人物画取り込む過程重要な役割果たした。 『出山釈迦図』 南宋時代13世紀梁楷悟り得られず山を出る釈迦が、精細写実的な筆致描かれている。 『六祖截竹図』 梁楷南宗の祖、慧能描いた作品。左の『出山釈迦図』と異なり、「減筆体」というシンプルかつダイナミックな筆法描かれている。 『観音図』 牧谿京都大徳寺 南宋13世紀牧谿無準師範弟子であった千手觀音像 宝頂山摩崖石刻中国語版)(重慶市大足石窟一つ) 宝頂山の石窟南宋密教僧、趙智鳳によって拓かれ、七十年ほどかけて完成した。漢伝密教美術であるとともに禅宗儒教思想表現されている。

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