人物画
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セザンヌ『アンブロワーズ・ヴォラールの肖像』1899年、プティ・パレ美術館。 ルノワールによるヴォラールの肖像。1908年。 セザンヌは、作品制作に時間をかけたことで知られる。画商アンブロワーズ・ヴォラールは、セザンヌに自らの肖像画を依頼したが、毎回3時間半も、不安定な台の上に置かれた椅子に座ってポーズをするという苦行を強いられ、ある時、居眠りをすると、「りんごと同じようにしていなければならない。りんごが動くか。」と怒鳴られたという逸話を回想録で述べている。115回にわたりポーズを続けた時、セザンヌは、描きかけの肖像画について「ワイシャツの前の部分はそう悪くない」と言ったという。作品は、ルノワールが同じヴォラールを描いた暖かみのある肖像画とは異なり、余計なものを排した構築性の強いものとなっている。もっとも、同様に肖像画のモデルとなったガスケによれば、ポーズをとったのは5、6回で、セザンヌは、モデルがいる間はその観察に時間を費やし、モデルが帰った後に筆を動かして作品を完成させたという。 妻オルタンスも、従順で辛抱強いモデルとして、多数の肖像画に登場している。そのほか、ゾラなどの友人、家政婦ブレモン夫人、庭師ヴァリエなど身近な人物をモデルとしている。生涯パトロンを持たなかったため、富裕な人物から注文を受けての肖像画はない。 セザンヌにとっての人物画は、ルノワールのようにモデルの生命感が問題になるのではなく、空間におけるヴォリュームを有する人体が問題であり、その点で、静物画と同じ意味を有したといえる。 『ジョワシャン・ガスケの肖像』1896-97年。プラハ国立美術館。 『赤い肘掛け椅子のセザンヌ夫人』1877年頃。72.5×56cm。ボストン美術館。 『赤い服を着たセザンヌ夫人』1888-90年。116×189cm。メトロポリタン美術館。 『椅子に座った農夫』1892-96年。54.6×45.1cm。メトロポリタン美術館。 『庭師ヴァリエ』1906年。油彩、キャンバス、65×54cm。個人コレクション。
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