仏教石窟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 08:54 UTC 版)
エローラ石窟寺院群でもっとも古い時代のものが仏教の遺構で、それらは5世紀から7世紀の間に作られた。近隣にあるアジャンター石窟群の仏教窟と同様に、エローラの仏教窟にも二種類の石窟がある。一つはヴィハーラ窟で、エローラの仏教窟の大半がこの様式である。ヴィハーラ窟は日本語でいう僧房や僧院のことで、修行僧がここで生活しながら瞑想を行なった。ヴィハーラ窟には瞑想室を中心として庫裏(台所)、寝室などの付帯設備が作られている。付帯設備が多いためヴィハーラ窟は階層構造となっている大きな窟が多い。 もう一つは仏塔(または堂塔)のあるチャイティヤ窟である。チャイティヤ窟は石窟には菩薩と聖者を従えた仏陀の像が掘られている。今でいう仏殿や本堂である。 初期、中期のチャイティヤ窟は最奥部に仏間があり、仏間の中央に仏像(大半が釈迦像と思われる)が彫られている。中央の仏像の周囲には、各種の菩薩像や天女が彫られている。これらの仏像は雑然と並んでいる。現在の日本のお寺でよく見られるような幾何学的な配置はしていない。日本では法隆寺五重塔の初重内陣にある涅槃像や入滅の場面の彫像群に同じような意匠を見ることが出来る。 後期のものは吹き抜けのようなホールがあり、最奥部にストゥーパを背にした仏像が安置されている。 ヴィハーラ窟にしてもチャイティヤ窟にしても、もともとは木造である僧院と仏殿を模範としているので、石窟の内部には木造構造を模した柱や梁が彫られている。 第10窟はヴィシュヴァカルマ窟(Visvakarma)といい、一般的には大工の石窟と言われ仏教石窟の中でもっとも有名な石窟である。 第10窟はチャイティヤ窟で仏教石窟の中では最後期のものである。この窟の天井の高いホールに入ると、奥にあるストゥーパが目に入る。ストゥーパを背にして、高さ15フィートの説法をする仏陀の像が鎮座している。
※この「仏教石窟」の解説は、「エローラ石窟群」の解説の一部です。
「仏教石窟」を含む「エローラ石窟群」の記事については、「エローラ石窟群」の概要を参照ください。
- 仏教石窟のページへのリンク