下町テーラー編
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針生親方(はりゅうおやかた) 東京下町・谷中の老舗テーラー「テーラー針生」の主。下町テーラー編のきっかけの人物。存在自体は下町テーラー編の前段となる特別編『維新の鋏』で言及されているが、実際の登場は第四部6話。 長年下町でテーラーを経営しきた熟練の仕立て職人。イギリス式が主流の日本にあって珍しいイタリアで修行した職人であり、長年、東洋人の体型に合わせてきた技術を持つ。そのために悠が日本に帰郷した時に教えを受けていた恩人の一人。階段で転んで肩の骨を折る重傷を負い入院し、退院までの店番を旧知の悠に頼んだことが下町テーラー編のきっかけとなる。悠には報酬として、明治に製作された吉田弥十郎の裁ち鋏の逸品を譲ることを約束している。 第四部6話にて退院するが、働きたくないと言い出し、結局、悠の日本滞在が延長されることとなる。実は後遺症が残り、まだ完全に復調していなかった面もある。以降は各地を旅しながら、旅先で出会った人物を悠のいるテーラーに送り込む役どころとなっている。 針生舞花(はりゅう まいか) 針生親方の孫娘。通称ケメ子。下町テーラー編のレギュラーキャラクター。初登場は第四部特別編『維新の鋏』。 ギャル系の女子高生(高1)。下町テーラー編の狂言回し的存在。悠が祖父の店を預かることになってから頻繁に店の方に顔を出すようになり、悠にちょっかいを出しつつも、彼の仕事ぶりに感銘を受ける。悠の言い回しに反発することも多いものの、一方で悠がイタリアに戻るという話を聞いた時には残り少ない悠との生活を悲しんだ(祖父が仕事を拒絶したために悠の滞在が延長される)。 幼馴染の頼子に付き合う形で東京でも有名な進学校に入ったが、外見通りに勉強は苦手。入学後、すぐに勉強についていけず、創立以来の劣等生とまで呼ばれる。このためグレていたが、悠に諭されたり、その仕事ぶりを見て一念発起し、改めて東大合格を目指し始める。 悠からはかつて祖父から名付けられた渾名「ケメ子」と呼ばれ、舞花自身はこの渾名を非常に嫌っている。 智坂頼子(ともさか よりこ) 舞花の幼馴染。通称ガリ子。初登場は第四部特別編『維新の鋏』。 典型的な委員長キャラの女子高生。舞花の幼馴染で友人。東大も狙える秀才であり、学校での評判も高い。 実家は下町の町工場で精密部品の製造を行っている。下町テーラー編の実質最初のエピソードである『維新の鋏』では、家が米企業の宇宙開発事業の依頼の設備投資で多額の借金を背負いピンチに陥っていたところを、悠の仕立てで救われる。舞花が東大を目指すことは誓ってからは、度々テーラーにて彼女に勉強を教えている。 大島依都(おおしま いと) 舞花や頼子の中学時代の同級で友人。通称イっちゃん。初登場は第四部7話。 趣味でコスプレ服の仕立てを行っている女子高生。家が日暮里の繊維街に近く服の素材が手に入りやすかったことから、既製服の改造によるコスプレ衣装の製作や仕立直しで小遣いを稼ぐようになる。アマチュアではあるが、そこまで高度なものを求められていないコスプレ服ということもあり、顧客からの評判は高い。また、(後に部分的に悠に否定されるものの)ハイテクを駆使した仕立てを行い、事情を知らなければ悠が感嘆するほどの作業を行うこともできる。それら活動が高じて将来は同好の士と衣装受注会社を経営する夢を持ち、また女子大生の服飾サークルから立身出世したユーリアを自分に重ねて目標としている。 舞花との関係や、ユーリアと知り合いということで悠と出会う。上記の通り、パソコンやネットを使った仕立て屋稼業は悠も感嘆させる一方で、そのアマチュアぶりによって危機に陥ることが多く、悠に手助けしてもらうことが多い。悠からの助言によって飛躍的に能力を向上させていく。 ムム美 本名不明。大島の友人である女性。作中には名前のみ登場する。名前の登場は第四部7話。 大島の友人であり、コスプレ服の仕立ての得意客でもある。大島を腕を高く評価しており、上客の紹介なども行っている。あまりの人脈の広さに織部もその正体を不思議がるほどだが、正体は作中では明かされない。大島によれば凄い美人だという。 中里(なかざと) 日暮里に社屋を構える土建屋の社長。初登場は第四部12話。 元々馬力のある人物で、商工会役員になったことからあちこちの冠婚葬祭に走り回っていたが、祝儀不祝儀の場で顔繋ぎに夢中になった結果、古なじみの大物会長からダメ出しを食らった。悠の助言と仕立てで何とか面目を施す。その後も仕事で知り合った人物がなどが悠の顧客になる形で登場している。 松任谷次郎(まつとうや じろう) 銀座で生地屋兼職人仲介(及びフィッターとコーディネーターも兼ねる)を行う店「JIRO」の店長。初登場は第四部25話。 銀座のデパートの紳士服売り場にて10年務めたベテランであり、年若いがフィッター及びコーディネーターとして優秀な人物。舞花からはイケメンと評されるほどの顔立ち。個人営業である熟練の職人の仕事が量販物で知られなくなることを憂いて作中に登場する1年前ほど前に独立し、銀座にそれら客の要望と合った職人との仲介を主とする店「JIRO」をオープンした。しかし、店は閑古鳥が鳴いており、銀座の地代の高さもあって経営状態はよくなく、スジ子からよくたしなめられる。また、優秀で真面目ではあるが形から入る、いわゆる「意識高い系」であり、空回りすることも多い。 優秀で志が高いがゆえに、悠の特急仕事をその腕前は認めた後でさえ邪道扱いし、警戒している。しかし、財布事情を握られているスジ子に出し抜かれて顧客を悠に流してしまう展開が多い。 スジ子 「JIRO」店員。本名不明。初登場は第四部25話。 サバサバした性格の美女。名前は松任谷が馴染みだった文壇バーに勤めていた際のキャスト名「スージー」に由来し、本名不明。「JIRO」開店と同時に雇われたという。一見すると単なる若いキャバ嬢上がりにも見えるが頭の回転が早く、慶應義塾大学在学時には英文学を専攻し,松任谷の「JIRO」にも資本金の30%を出資している。現実よりも理想を優先しがちな松任谷を辛辣に扱い、彼が反対する悠に積極的に仕事を流す。
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