ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年)の影響
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「アレクセイ・ラトマンスキー」の記事における「ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年)の影響」の解説
2022年2月24日、プーチン大統領が国営テレビでウクライナでの軍事作戦を開始したことを発表した。 モスクワに滞在していたラトマンスキーは妻から連絡を受け、ワルシャワ経由でニューヨークに帰国した。ボリショイ・バレエが3月30日に初演予定の「The Art of Fuge(フーガの技法)」、マリインスキー・バレエが5月中旬に初演予定の「ファラオの娘」を制作していたが、ともにプロジェクトは無期限延期となった。 ラトマンスキーの両親や兄弟はキエフに在住しており、父親の家族はホロコーストの犠牲になっている。ラトマンスキーは家族・親族の避難先と連絡を取り合っているという。 同年3月23日、ラトマンスキーはロシア文化のキャンセルについて私見を述べた。プーチン大統領の政治活動に無関係であったり、侵略行為に抗議さえした芸術家・アスリートに欧米での公演や競技の機会が与えられることはフェアであるとしながら、ウクライナで起きている罪のない人々の大量殺戮は、つい最近まで世界中が称賛していた文化大国ロシアの名の下に行われていることであると厳しく指摘した。2014年のロシアによるクリミアの併合のとき、プーチン大統領のへの支持を表明する文書に署名した500人以上、2018年のロシア大統領選挙の際にプーチン大統領の選挙集会に参加した数百人の文化人たちは、その責任を問われるべきだとしている。この文化人たちの活動は、その後すべてプロパガンダと見做され、その中の多くが国会議員となったり、プーチン大統領を支持する政治的な発言を行い、戦争犯罪を事実上支持していることを理由としている。
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ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年)の影響
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「アンナ・ネトレプコ」の記事における「ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年)の影響」の解説
ネトレプコは、2012年・2018年のロシア大統領選挙でウラジーミル・プーチンの選挙キャンペーンに協力している。また2014年、クリミアのロシア併合のときに親ロシア派のドネツクにあるオペラハウスに100万ルーブルを寄付、ノヴォロシアの旗を掲げた写真を撮られている。分離独立リーダーのオレグ・ツァーレフに直接寄付をしていると報じられている。 2022年、ロシアのウクライナ侵攻に際して、2月27日にFacebookで戦争への反対を表明した。しかし「芸術家・公人に公の場で政治的意見を表明し、故郷を非難することを強制することは正しくない」とも述べた。ロシア侵攻に反対する各国(米国、ドイツ、フランス、スイス、オランダなど)の劇場はネトレプコに対してプーチン大統領を直接非難することを求めた。それに対し、ネトレプコは3月1日に「熟慮した結果、当面の間公演から身を引くという極めて困難な決断を下した」と発表した。 同月3日にネトレプコを降板させたメトロポリタン歌劇場のピーター・ゲルブ総裁は、「侵攻や殺人が終わり秩序が回復され返還が行われない限り、プーチン大統領を支援または大統領からの支援を受ける芸術家や組織とは関係を絶つ」としている。ゲルブ総裁は、同月14日にマスコミのインタビューに応じ、ネトレプコについて「現代の最も偉大な歌手のひとり」としながらも、ネトレプコとプーチン大統領とは直接の関係があることから「プーチン大統領が“殺人者”となった時点で、もう無理だと判断した」と述べた。ロシア文化やロシア人音楽家のキャンセルではなく、ネトレプコ自身の考えが明確なことから、舞台に立っても観客の強い抗議にあって歌うことができないだろうと予想したことを説明している。 同月16日、7月2日にウィーン・コンツェルトハウスで予定されていたユシフ・エイヴァゾフとのコンサートが2023年9月6日に延期されることが主催者によって発表された。現状を考慮し、ネトレプコ、会場側と協議のうえでの決定であり、ネトレプコは当面の間は演奏活動を行わないという。 同月22日、ベルリンの所属事務所のサイトからネトレプコのページが削除されたことが報じられた。事務所・ネトレプコともにコメントはしていない。所属事務所は経済制裁でロシアから手を引いたユニバーサルの子会社であり、ユニバーサルが制裁を遵守すること、また売上高のほとんどは西側でありロシアはトップ20の収入源に過ぎないことからビジネス的にも判断されたと見られる。ネトレプコはドイツ・グラモフォンとレコード契約を結んでいるが、これ以上の制作は計画されていないという。なお、以前の録音はまだ利用できるという。 ロシア・中央アジアとバルト諸国においてはデュッセルドルフにある別の事務所がネトレプコのマネジメントを行っており、今後、この事務所がネトレプコの所属事務所となるという。 同月30日、ネトレプコはウクライナとの戦争を非難する声明を出した。特定の政党やロシアの指導者との関係を否定、「過去の自分の行動や発言に誤解される部分があったことを認識し、後悔している」と記した。故郷ロシアとは芸術を通して平和と団結を育みたいとしている。 この声明に対し、同日、メトロポリタン歌劇場のゲルブ総裁はネトレプコが長期に渡ってプーチン大統領との関係を断ち切ることを求めるコメントをした。 同月31日、ノヴォシビルスクオペラ・バレエ劇場は、6月2日に予定されていたネトレプコの出演をキャンセルした。4月1日には、ヴャチェスラフ・ヴォロージン国家院議長が「裏切り以外の何ものでもない」「豊かさと栄光への渇望は祖国への愛を上回った」などとネトレプコを非難している。なお、同月にマリインスキー劇場は5月から7月に行われるフェスティバルにネトレプコが出演することを明らかにしていた。 アレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭「トゥーランドット」「アイーダ」への出演が発表された。また、5月25日のフィルハーモニー・ド・パリでのコンサートと同月27日のスカラ座でのコンサートが告知された。 4月14日、健康上の理由で降板したマリア・アグレスタに替わり、モンテカルロ歌劇場で「マノン・レスコー」のタイトルロールを歌うことが発表された。モンテカルロ劇場は声明を発表しており「戦争に対して明確な立場をとった結果、祖国では『政権の敵』とされ、ノボシビルスクオペラ・バレエ劇場への出演がキャンセルとなった」ことから、ネトレプコが十分な対応をとったと述べている。 ウイーン国立歌劇場の総監督ボグダン・ロシッチは、2022-23シーズンの記者会見でロシアの芸術家をキャンセルすることには関心がないと述べた。「アイーダ」のプログラム印刷の折は状況が混乱しすぎていたため、削除されたという。劇場はネトレプコとの契約を解除しておらず、ロシッチはネトレプコは戦争に賛成していないことを指摘、「戦争について、人々に発言を求めるのは私たちの責任ではない」と語った。 同年5月、ネトレプコはZeit Onlineのインタビューに応じ、6月1日に記事になった。 ウクライナ侵攻の前日(2月23日)は夫とロシアで公演をしており、ニュースでウクライナ侵攻を知った。「誰もそれを望んでいなかったのに」とネトレプコは話しており、大変ショックを受けたという。その後、次に予定されていた公演のため、デンマークのオーフスに移動したが、現地のプロモーターに中止を提案された。抗議が予想されたことから、オーケストラも懸念を示していたため、ウイーンの自宅に戻っている。 2014年にドネツクのオペラハウスへの寄付行為の折に親ロシア派の分離独立リーダーのオレグ・ツァーレフと一緒に写真を撮った件について、説明している。寄付の引き渡しと写真撮影はサンクトペテルブルクでの記者会見で行われた。ドネツクのオペラ関係者の友人たちに贈ったもので、ツァーレフとは面識が無かった。ツァーレフが仲間に寄付金を無事に届けると保証し、写真撮影の際に突然ポケットから旗を取り出した。ネトレプコは贈られたものが何を意味しているか、当時は知らなかったという。一度も紛争地帯に行ったことはなく、現在は何か寄付をしたいと思ったら、よく考えて個人的に行うようにしていると話した。 現状、ロシアで歌う予定はなく、サンクトペテルブルクの「白夜祭」も時期が悪いと判断している。両親は亡くなっているが、故郷のクラスノダールには欧米で何が起こっているのか知らず、ただ物価の上昇に気付いただけの家族や友人たちがいる。そしてウクライナ人の友人も大勢いて安否を心配しているという。 同年6月22日のニューヨーク・タイムズ紙で、ウクライナ侵攻以降の関係者への一連の対応が記事となった。 3月下旬に、連絡を取ろうとしたドイツ・グラモフォンのレーベル責任者にテキーラの瓶を持ったネトレプコの手とプーチン大統領が登場するテレビ画面が写った写真を送付した。友人やアドバイザーは、プロらしくないこの行為がネトレプコのキャリアをさらに傷つけることを心配したという。 ネトレプコは、プーチン大統領非難を促した長年のマネージャーとの関係を解消。その後、ロシアでの公演をキャンセルし、プーチン大統領とは距離を置くという声明を発表した。ネトレプコの代理人は最近、カーネギー・ホール、サンフランシスコ・オペラ、ニューヨーク・フィルハーモニックなど米国の劇場にも打診しているが、公演の手配はしていない。メトロポリタン歌劇場はプーチン大統領を支持する発言をしたヒブラ・ゲルツマヴァとも関係を断っており、ゲルブ総裁は「ネトレプコがウクライナ支援のための慈善コンサートを開くなど反省の態度を示さない限り、自分の劇場で公演することはできないだろう」と述べている。 ベルリン国立歌劇場のディレクターは、ネトレプコとのビデオ通話で、ロシアによるウクライナ侵攻のために彼女が「苦しんでいる」ことが明らかになったと述べた。さらに、ロシアにいる彼女や彼女の親族に危険が及ぶため、プーチンと距離を置くように求めることは適切ではないと考えたという。
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