シニアプログラム
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「アメリカ空軍大学」の記事における「シニアプログラム」の解説
シニアプログラムは、カレッジや総合大学などに通う学生から空軍士官候補生を募り、教育、士官候補生の任命を行うプログラムである。訓練隊は米国内やプエルトリコを含む150近くの大学に所在している。学生は、850以上の都市で登録科目もしくは協定科目を受講できる。参加学生数の最高は1986年の23,605人で、最低は1993年の10,231人である。 任官基準として、一般的な最初の2年間プログラムは14歳以上30歳以下、後半の2年間のプログラムは17歳以上30歳以下が条件である。奨学金対象の士官候補生も17歳以上30歳以下が条件である。なお、任官されるには、年齢以外にも国防総省が規定する身体適性及び精神評価基準に合致する必要がある。また、AFRTOCの採用は、空軍兵士からも行われている。方法としては、ROTCの優秀なAir Manとして奨学金を受給している者が、部隊長によりAFROTC奨学金受給者に指定され、6年以内の勤務者に認定されることである。Air Manとしての奨学金とカレッジ奨学金は、中央委員会で選択することになる。この両方の奨学金は、2年、3年、4年の3つの奨学金制度であり、学士課程を修了することが前提となる。また、年齢制限があり、35歳未満であることが必須となる。30歳以上の応募者の場合は、通常より厳しい基準が設けられており、2年以内に学士の取得が必要となる。 教官は経験豊富な空軍士官から選出され、階級は大佐から大尉までの4階級である。また、退官までに5年以上あり、修士の学位を有する、もしくは正規・終身の予備役であるのが条件である。選出された教官は、マックスウェル空軍基地のアカデミック・インストラクタースクールで、教官としての教育を受ける。また、AFRTOC部隊長は、専門学部の教授であることが必要である。 4年間教育プログラム 4年間の教育プログラムのうち、最初の2年間は通常の軍事コースとして、毎週1時間は教室での作業及び2時間のリーダーシップ演習を行っている。後半の2年間は、教育訓練プログラムに進学したい学生は、国家的競争選抜制度であるプロフェッショナル士官課程選抜システムに従うことになる。段階的な評価や部隊長の評価、素養試験成績などを同システムでは評価することになる。選抜を通過した学生は、指定された空軍基地で4週間の夏季野営訓練を体験する。また、毎週3時間の職業士官課程(POC)に出席し、2時間程度のリーダーシップ演習に参加しなければならない。 各教育隊では、団、群、隊などの空軍の基本編制に応じた士官候補生隊を編制する。候補生は、リーダーシップ演習を主催することで、この士官候補生隊を管理する。 POCでは、グループ討論や研究発表の便宜のために、小編成のクラスを編成する。このクラスでは、管理、意思疎通技術、国家防衛政策などの話題が討論、研究されることになる。また、POCに入学すと同時に、候補生は米空軍の予備役に自動的に登録され、大学卒業まで非課税給与を受領する権利が与えられる。 2年間教育プログラム 2年間教育プログラムでは、4年間教育プログラムの後半の2年間に実施される職業士官課程と同様の教育が行われる。2年間プログラムの受講生は、POCとプラスして、6週間の野営訓練を完了することが必須となる。 1年間講習プログラム 1年間講習プログラムは、特定の教育分野での不足が生じたときに対策として実施される。受講対象の例としては、ジュニアクラスの看護学生や気象学生などが考えられる。また、法律専攻の学生もケース・バイ・ケースであるが、受講対象となる可能性がある。 同講習に選抜された学生は、士官候補生となるPOCに入学するためには、7週間の夏季野営訓練に参加する必要がある。この場合でも、大学卒業までの毎月の収入を得る権利を与えられる。また、奨学金の対象になることも可能であるが、6月30日の査定時点で27歳以下であることが条件である。もちろん、非奨学金対象者でも受講は可能だが、現役で従事する場合は、30歳以下が条件となる。 特別講習プログラム 特別に、学校外で士官候補生に学習体験をさせるプログラムである。主に、野外訓練など、候補生にとって初めての経験になじませることを目的とする。また、リーダーシップ教育と訓練、心構えの教育を行う。4週間の野外訓練には、航空機搭乗員のオリエンテーション教育、射撃訓練、青年士官としての訓練(Junior of Ficer Council)、体形保持訓練、生存訓練などが含まれており、士官としての潜在能力の評価をする。 士官候補生には、自宅及び母校への往復費用の支払、制服の貸与、宿舎・食事の支給がなされる。また、所要経費が控除され、候補生には野外訓練用として約500ドルほど支給され、5週間の各野外訓練でも625ドルが支払われる。 上級訓練では、特別な専門的訓練を実施している。上級訓練の内容は、士官候補生を実際に空軍基地で勤務させ、空軍での生活、義務、責任を熟知させることである。これは基地での勤務研修により、作戦中の基地の空気と接することで、訓練と実任務の相違を把握させるための自発的な訓練プログラムで、インターン・プログラムと呼ばれる。士官候補生は通常、2週間から3週間単位で基地に勤務することになるが、日額20ドルが支払われ、食事、宿舎の支給、自宅からの交通費が支払われる。士官候補生にはAFRTOC教官が随伴し、基地勤務の経験のみならず、空軍任務の個人的な知識を提供する。 以上の各プログラムを修了後、士官候補生は空軍少尉に任官し、4年間の勤務を義務づけられている。パイロットなどの特別な操縦訓練を受け任官した場合、10年間の勤務が義務づけられ、ナビゲーターなどの場合は6年間の勤務義務を負う。その他、看護大学卒業生などの医学専攻者は、空軍看護部隊に所属し、看護試験に臨む。合格後は、4年間の勤務義務を負うことになる。看護試験は2度のチャンスしかないが、2度とも不合格の場合も戦闘部隊士官と任官し、4年の義務負う。ちなみに、医学進学課程から医学部に入学した士官候補生は、卒業まで学位取得の支援がなされる。 法学専攻の2年次の学生は、AFRTOC法律プログラムを卒業後、空軍へ入隊することになる。ロースクール(法律学校)(日本の法科大学院に相当)課程を修了し、法曹資格を取得している場合は、法務官として任官することになる。米国法曹協会の認定するロースクールを卒業後、学生は連邦裁判所あるいは最高裁判所での法律事務研修を受けることが可能であり、新任の法務官は入隊時に採用規定及び入隊命令によって、階級が指定される。 奨学金制度 奨学金は、4年、3年、2年の単位で支給される。空軍の奨学金には、以下の3種類が存在する。すべての奨学金に、図書費、必要な諸経費、月間150ドルの非課税所得が含まれている。奨学金の受給の権利は、受給年の6月30日の時点で、25歳以下であることが条件である。また、奨学金受給を維持するためには、学問、軍事訓練、身体管理訓練を空軍の要求する基準以上に充たす必要がある。 全授業料及び必要経費の全額負担 年間授業料及び所要経費の合計15,000ドルまでの負担 CSPを参考とする国内授業料の低額負担 第2については、米国内の大学生がCSP (College Scholarship Program)で受領する奨学金以上の額が負担される。第3については、CSPを参考に決められており、やや低額である。また、これら奨学金の受給資格を獲得できずに職業士官課程に進んだ学生に対しても、年間3,000ドルの奨学金が支給される。
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