多数意見とは? わかりやすく解説

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たすう‐いけん【多数意見】

読み方:たすういけん

合議体評決もしくは表決多数占めた意見

最高裁判所における裁判裁判官過半数占め意見となり、判決とされた意見のこと。日本の裁判所では、最高裁においてのみ各裁判官意見表示され下級裁判所では裁判官個別意見示されない法廷意見

[補説] 最高裁の判決文には、多数意見とは別に、各裁判官個別意見表示することができる。個別意見には、多数意見に賛成する意見補足する補足意見」、多数意見の結論には賛成する理由づけ異なる「意見」、多数意見と結論異にする反対意見」がある。


多数意見

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 07:26 UTC 版)

婚外子国籍訴訟」の記事における「多数意見」の解説

最高裁判所大法廷は、平成20年6月4日判決で、次のような判断示した。 これは島田、泉、才口、今井中川那須涌井田原近藤裁判官による多数意見である。 国籍法3条1項による国籍取得の区別の憲法適合性について 憲法10条と憲法14条の関係 憲法14条1項は、法の下の平等定めており、この規定は、事柄性質即応した合理的な根拠に基づくものでない限り法的な差別的取扱い禁止する趣旨であると解すべきことは、当裁判所の判例するところである(最高裁昭和39年5月27日大法廷判決地方公務員待命処分無効確認事件)、最高裁昭和48年4月4日大法廷判決尊属殺重罰規定違憲判決))。 憲法10条は、「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」と規定し、これを受けて国籍法は、日本国籍得喪に関する要件規定している。憲法10条の規定は、国籍国家構成員としての資格であり、国籍得喪に関する要件定めるに当たってそれぞれの国の歴史事情伝統政治的社会的及び経済的環境等、種々の要因考慮する必要があることから、これをどのように定めるかについて、立法府裁量判断ゆだねる趣旨のものである解されるしかしながらこのようにして定められ日本国籍取得に関する法律要件によって生じた区別が、合理的理由のない差別的取扱いとなるときは、憲法14条1項違反問題生ずることはいうまでもない。すなわち、立法府与えられ上記のような裁量権考慮しても、なおそのような区別をすることの立法目的合理的な根拠認められない場合、又はその具体的な区別上記立法目的との間に合理的関連性認められない場合には、当該区別は、合理的な理由のない差別として、同項に違反するものと解されることになる。 日本国籍は、我が国構成員としての資格であるとともに我が国において基本的人権保障公的資格付与公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。一方父母婚姻により嫡出子たる身分取得するか否かということは、子にとっては自らの意思努力によっては変えることのできない父母身分行為係る事柄である。したがってこのような事柄をもって日本国籍取得要件に関して区別生じさせることに合理的な理由があるか否かについては、慎重に検討することが必要である。 国籍法3条1項の合理性に関する検討 国籍法3条が設けられた沿革と立法当時における同条の合理性に関する検討 国籍法3条規定する届出による国籍取得制度は、法律上婚姻関係にない日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した子について準正のほか同条1項要件満たした場合限り法務大臣への届出によって日本国籍取得認めるものであり、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した嫡出子生来的に日本国籍取得することとの均衡を図ることによって、同法基本的な原則である血統主義補完するものとして、昭和59年法律45号による国籍法改正において新たに設けられたものである日本国民血統上の親として出生したであっても日本国籍生来的に取得しなかった場合には、その後の生活通じて国籍国である外国との密接な結び付き生じさせている可能性があるから、国籍法3条1項は、同法基本的な原則である血統主義基調としつつ、日本国民との法律上親子関係存在加え我が国との密接な結び付き指標となる一定の要件設けて、これらを満たす場合限り出生後における日本国籍取得認めこととしたものと解されるこのような目的達成するため準正その他の要件設けられ、これにより本件区別生じたのであるが、本件区別生じさせた上記立法目的自体には,合理的な根拠があるというべきである。 また、国籍法3条1項規定設けられ当時1984年当時)の社会通念社会的状況の下においては日本国民である父と日本国民でない母との間の子について、父母法律上婚姻をしたことをもって日本国民である父との家族生活通じた我が国との密接な結び付き存在を示すものとみることには相応理由があったものとみられ、当時諸外国における前記のような国籍法制の傾向かんがみても、同項の規定認知加えて準正日本国籍取得要件としたことには、上記立法目的との間に一定の合理的関連性があったものということができる。 国籍法制をめぐる情勢の変化 しかしながらその後我が国における社会的経済的環境等の変化伴って夫婦共同生活在り方を含む家族生活親子関係に関する意識一様ではなくなってきており、今日では、出生数占め非嫡出子の割合増加するなど、家族生活親子関係実態変化し多様化してきている。このような社会通念及び社会的状況変化加えて近年我が国国際化進展に伴い国際的交流増大することにより、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生する子が増加しているところ、両親一方のみが日本国民である場合には、同居有無など家族生活実態においても、法律上婚姻やそれを背景とした親子関係在り方についての認識においても、両親日本国民である場合比べてより複雑多様な面があり、その子我が国との結び付き強弱両親法律上婚姻をしているか否かをもって直ち測ることはできない。これらのことを考慮すれば、日本国民である父が日本国民でない母と法律上婚姻をしたことをもって初めて子に日本国籍与えるに足りるだけの我が国との密接な結び付き認められるものとすることは、今日では必ずしも家族生活等の実態適合するものということはできないまた、諸外国においては非嫡出子対す法的な差別的取扱い解消する方向にあることがうかがわれ我が国批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約及び児童の権利に関する条約にも、児童出生によっていかなる差別受けないとする趣旨規定存する。さらに、国籍法3条1項規定設けられた後、自国民である父の非嫡出子について準正国籍取得要件としていた多くの国において、今日までに、認知等により自国民との父子関係成立認められ場合にはそれだけ自国籍の取得認める旨の法改正が行われている。 以上のような我が国取り巻国内的国際的な社会的環境等の変化照らしてみると、準正出生後における届出による日本国籍取得要件としておくことについて、前記立法目的との間に合理的関連性見いだすことがもはや難しくなっているというべきである。 父から胎児認知を受けた子との区別の合理性の検討 一方国籍法は、前記のとおり、父母両系血統主義採用し日本国民である父又は母との法律上親子関係があることをもって我が国との密接な結び付きがあるものとして日本国籍付与するという立場立って出生時に父又は母のいずれか日本国民であるときには子が日本国籍取得するものとしている(2条1号)。その結果日本国民である父又は母の嫡出子として出生した子はもとより日本国民である父から胎児認知され非嫡出子及び日本国民である母の非嫡出子も、生来的に日本国籍取得することとなるところ、同じく日本国民血統上の親として出生し法律上親子関係生じた子であるにもかかわらず日本国民である父から出生後認知され子のう準正により嫡出子たる身分取得しないものに限っては、生来的に日本国籍取得しないのみならず同法3条1項所定届出により日本国籍取得することもできないことになる。このような区別結果日本国民である父から出生後認知されたにとどまる非嫡出子のみが、日本国籍取得について著し差別的取扱い受けているものといざるを得ない日本国籍取得が、前記のとおり、我が国において基本的人権保障等を受ける上で重大な意味を持つものであることにかんがみれば、以上のような差別的取扱いによって子の被る不利益看過し難いものというべきであり、このような差別的取扱いについては、前記立法目的との間に合理的関連性を見いだし難いいわざるを得ないとりわけ日本国民である父から胎児認知された子と出生後認知された子との間においては日本国民である父との家族生活通じた我が国社会との結び付き程度一般的な差異存するとは考え難く日本国籍取得に関して上記区別設けることの合理性我が国社会との結び付き程度という観点から説明することは困難である。また、父母両系血統主義採用する国籍法の下で、日本国民である母の非嫡出子出生により日本国籍取得するにもかかわらず日本国民である父から出生後認知されたにとどまる非嫡出子届出による日本国籍取得すら認められないことには、両性の平等という観点からみてその基本的立場沿わないところがあるというべきである。 法3条1項区別について、これを生じさせた立法目的自体には合理的な根拠認められるものの、立法目的との間における合理的関連性は、我が国内外における社会的環境変化等によって失われており、今日においては3条1項規定は、日本国籍取得につき合理性欠いた過剰な要件課すのである。すなわち、日本国民である父から出生後認知されたにとどまる非嫡出子に対して日本国籍取得において著し不利益な差別的取り扱い生じさせていると言わざる得ず国籍取得要件定めるに当たって立法府与えられ裁量権考慮しても、この結果について、立法目的との間において合理的関連性があるものということはもはやできない小括 上記説示し事情併せ考慮するならば、国籍法が、同じく日本国民との間に法律上親子関係生じた子であるにもかかわらず上記のような非嫡出子についてのみ、父母婚姻という、子にはどうすることもできない父母身分行為が行われない限り生来的にも届出によっても日本国籍取得認めないとしている点は、今日においては立法府与えられ裁量権考慮しても、我が国との密接な結び付き有する者に限り日本国籍付与するという立法目的との合理的関連性認められる範囲著しく超える手段採用しているものというほかなく、その結果不合理な差別生じさせているものといざるを得ない簡易帰化や仮装認知のおそれとの関係 確かに日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後認知された子についても、国籍法8条1号所定簡易帰化により日本国籍取得するみちが開かれている。しかしながら帰化法務大臣裁量行為であり、同号所定条件を満たすであっても当然に日本国籍取得するわけではないから、これを届出による日本国籍取得代わるものとみることにより、本件区別前記立法目的との間の合理的関連性を欠くものでないということはできない。 なお、日本国民である父の認知によって準正待たず日本国籍取得認めた場合に,国籍取得のための仮装認知がされるおそれがあるから、このような仮装行為による国籍取得防止する必要があるということも、本件区別設けられ理由一つであると解される。しかし、そのようなおそれがあるとしても、父母婚姻より子嫡出子たる身分取得することを日本国籍取得要件とすることが、仮装行為による国籍取得防止要請との間において必ずしも合理的関連性有するものとはいい難く上記オの結論覆す理由とすることは困難である。 まとめ 本件区別については,これを生じさせた立法目的自体合理的な根拠認められるものの、立法目的との間における合理的関連性は、我が国内外における社会的環境変化等によって失われており、今日において、国籍法3条1項規定は、日本国籍取得につき合理性欠いた過剰な要件課するものとなっているというべきである。しかも、本件区別については、胎児認知受けた子との他の区別存在しており、日本国民である父から出生後認知されたにとどまる非嫡出子に対して日本国籍取得において著しく不利益な差別的取扱い生じさせているといわざる得ず国籍取得要件定めるに当たって立法府与えられ裁量権考慮しても、この結果について、上記立法目的との間において合理的関連性があるものということはもはやできないそうすると本件区別は、遅くとも上告人(原告)が法務大臣あてに国籍取得届を提出した当時2003年)には、立法府与えられ裁量権考慮してもなおその立法目的との間において合理的関連性を欠くものとなっていたと解される。 したがって上記時点において、本件区別合理的な理由のない差別となっていたといわざる得ず国籍法3条1項規定本件区別生じさせていることは、憲法14条1項違反するものであったというべきである。 本件区別による違憲の状態を前提として上告人らに日本国籍の取得を認めることの可否上のとおり、国籍法3条1項規定本件区別生じさせていることは、遅くとも上記時点以降において憲法14条1項違反するいわざるを得ないが、国籍法3条1項日本国籍取得について過剰な要件課したことにより本件区別生じたからといって本件区別による違憲の状態を解消するために同項の規定自体全部無効として、準正のあった子(以下「準正子」という。)の届出による日本国籍取得をもすべて否定することは、血統主義補完するために出生後国籍取得制度設けた同法趣旨没却するものであり、立法者の合理的意思として想定し難いものであって、採り得ない解釈であるといわざるを得ないそうすると準正子について届出による日本国籍取得認める同項の存在前提として、本件区別により不合理な差別的取扱い受けている者の救済図り本件区別による違憲の状態を是正する必要があることになる。 このような見地立って是正方法検討すると、憲法14条1項に基づく平等取扱い要請国籍法採用した基本的な原則である父母両系血統主義とを踏まえれば、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後認知されたにとどまる子についても、血統主義基調として出生後における日本国籍取得認めた同法3条1項規定の趣旨内容等しく及ぼすほかはない。すなわち、このような子についても、父母婚姻により嫡出子たる身分取得したこととい部分除いた同項所定要件満たされる場合に、届出により日本国籍取得することが認められるものとすることによって、同項及び同法合憲的で合理的な解釈が可能となるものということができ、この解釈は、本件区別による不合理な差別的取扱い受けている者に対して直接的な救済のみちを開くという観点からも、相当性を有するものというべきである。 そして、上記解釈は、本件区別係る違憲瑕疵是正するため、国籍法3条1項につき、同項を全体として無効とすることなく過剰な要件設けることにより本件区別生じさせている部分のみを除いて合理的に解釈したものであってその結果も、準正子と同様の要件による日本国籍取得認めるにとどまるものである。この解釈は,日本国民との法律上親子関係存在という血統主義要請満たすとともに、父が現に日本国民であることなど我が国との密接な結び付き指標となる一定の要件満たす場合出生後における日本国籍取得認めるものとして、同項の規定の趣旨及び目的沿うものであり、この解釈をもって裁判所法律にない新たな国籍取得要件創設するものであって国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されない評価することは、国籍取得要件に関する他の立法上の合理的な選択肢存在の可能性考慮したとしても、当を得ないものというべきである。 したがって日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後認知された子は、父母婚姻により嫡出子たる身分取得したという部分除いた国籍法3条1項所定要件満たされるときは、同項に基づいて日本国籍取得することが認められるというべきである。

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多数意見

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ロー対ウェイド事件」の記事における「多数意見」の解説

多数意見は最初に妊娠中絶規制歴史振り返り当時アメリカで一般的であった中絶犯罪として罰す法律19世紀後半以降比較新たな立法であることを指摘した次にプライバシーの権利について検討し憲法明文プライバシーの権利について触れていないと認めながらも、州がデュー・プロセス・オブ・ローなしに、人々の自由を奪うことを禁止した修正第14条根拠に、プライバシーの権利憲法上の権利として承認した最高裁は、女性妊娠中また出産後に負う肉体的心理的負担について強調しプライバシーの権利女性妊娠中絶を行うかどうか決定する権利を含むと判示した。しかしながら中絶権利絶対的ではなく、州の利益とのバランスはかられるべきであるとし、中絶権利根本的な権利であるため、これを制限する法律合憲性は、厳格審査基準判断される述べた。 多数意見は胎児生命について、合衆国憲法上「人」に胎児含まれるとは明記されていない述べ、人の生はいつから始まるかという論争関与することを避けたその上で、州は母体の健康を保護するやむにやまれない利益有するほか、胎児母体外での生存が可能となる時点以降は、州は生命の可能性保護するやむにやまれない利益有するとされた。 以上の分析もとづき最高裁妊娠を三半期毎に分けそれぞれについて州による中絶規制憲法上の制限定めた。第1三半期においては政府中絶禁止してはならず、(免許のある産科医によらなければならないなど)医療上の要件だけを定めることができる。第2三半期に入ると、政府中絶禁止することはできないが、母体の健康のために合理的に必要な範囲中絶方法制限することができる。第3半期、すなわち胎児独立生存可能性を備えた後は、政府母体生命・健康を保護するために必要な場合除いて中絶禁止することができる。なお、この妊娠を三半期分け枠組みは、1992年プランド・ペアレントフッド対ケイシー事件判決覆された。 この結果母体生命保護するために必要な場合除き中絶全面的に禁止したテキサス州法の規定違憲無効とされた。同日下されたドウボルトン事件判決では、母体の健康・生命の危険、胎児深刻な障害レイプによる妊娠の各場合除き中絶禁止していたジョージア州法が違憲とされた。また、上記枠組み従わない多くの州の中絶禁止規定自動的に無効となった。 なおテキサス州は、原告ロー最高裁での口頭弁論時点ですでに出産していたため、判決によって救済を受けることはできず、事件ムート仮定上のもの)となり請求却下されるべきであると主張した。これについて多数意見は、妊娠期間中に訴訟提起し上級審判断を仰ぐことは困難であるため、ムート法理適用する実質的に司法審査不可能になってしまうとして、「繰り返される審査免れる」の例外適用しテキサス州主張退け実体判断行った

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多数意見

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/20 06:32 UTC 版)

核兵器の威嚇または使用の合法性国際司法裁判所勧告的意見」の記事における「多数意見」の解説

国連憲章96条1項により、国連総会は「いかなる法律問題についても」裁判所勧告的意見要請できることとされており、このことから国連総会国連憲章によって裁判所への意見要請許可され団体とされた。本件では宣言付した判事が5名、個別意見付した判事が3名、反対意見付した判事が6名と、14名の判事全員個別意見発するなど、個々裁判官の間でも大きく意見分かれた。多数意見の評価・解釈多様である。以下裁判所の多数意見を論点ごとに紹介する適用法規 国連総会諮問回答するためには、本件適用される関連法規決定しなければならない。まず国際人権B規約第6条定められた「生命対す権利」は敵対行為にも適用されるが、生命恣意的剥奪と言えるかどうか武力紛争適用される法によって判断されるべきであり、人権規約から判断されるものではない。ジェノサイド条約定められジェノサイド禁止は、同条約批准していない国も拘束する国際慣習法であるが、これは同条約第2条が言うところの集団それ自体向けられ攻撃である場合にのみ適用される規則であり、核兵器威嚇または使用各々事例考慮入れなければ条約上の義務との適否について判断することはできないジュネーヴ諸条約第一追加議定書第35条3項環境改変技術軍事使用禁止条約人間環境宣言21原則などといった、環境保護に関する規範も本件に直接適用される法規とは言えない。したがって、この問題に最も関連する適用法規は、国連憲章中の武力行使に関する規定、および敵対行為規制する武力紛争適用される法であると裁判所判断する核兵器の特性 様々な条約による核兵器の定義によると、核兵器とは核分裂核融合によって甚大な熱エネルギー放射線放出する爆発装置である。その特徴は他の兵器よりもはるかに甚大な被害もたらし放射線の影響を残すことにある。こうした核兵器の特性により核兵器潜在的に破滅的な力を持ち、その使用による効果時間的に空間的に限定されず、地球上全ての文明生態系破壊しうる。放射線自然環境にも広範囲にわたり影響与え未来世代にも深刻な危険を与える。 国連憲章と核兵器 国連憲章第2条4項には「すべての加盟国は、その国際関係において武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合目的両立しない他のいかなる方法よるものも慎まなけれならない」と定められており、これは同42条や同51条などの関連規定照らして判断されなければならないが、これらの規定核兵器含め特定の兵器言及しておらず、使用される兵器の種類問わず全ての武力行使適用される規定である。国連憲章51条に定められる自衛権に基づく武力行使には、相手国による急迫不正の侵害存在するという必要性要件と、相手国の侵害行為釣り合いのとれた自衛措置なければならないという均衡性要件が、国際慣習法により求められる均衡性要件は、それ自体あらゆる自衛状況における核兵器使用禁止するわけではないが、しかし自衛権行使による均衡性ある武力行使合法であるためには、武力紛争適用される法の要求を満たさなければならない国連憲章第2条4項が言うところの武力の「行使」と「威嚇」は、ある武力の行使違法であればそのような武力行使するとの威嚇もまた違法となるという意味で、一体の概念である。核抑止政策効果的であるためには、核兵器使用意図が明らかでなければならないこうした核抑止政策国連憲章第2条4項に違反する威嚇」に相当するかどうかは、それが他国の「領土保全又は政治的独立に対するもの」であるか、「国際連合目的両立しない」ものであるか、あるいはそれが自衛措置として行われた場合必要性均衡性要件必然的に満たしえないか、これらの要件によって判断されることになる。 武力紛争に適用される法と核兵器 核兵器使用それ自体規制する特定の国際法規則が存在するかどうかについて、核兵器含めある特定の兵器違法である場合にはその兵器禁止する形で定められる毒ガス禁止宣言ハーグ陸戦条約附属ハーグ陸戦規則第23条aが言うところの「毒又ハ毒ヲ施シタル兵器」、毒ガス議定書などの解釈は様々であるが、少なくともこれらの条約当事国はこれらの規定核兵器当てまるものとしては扱ってこなかった。生物・毒素兵器禁止条約化学兵器禁止条約にも核兵器特定して禁止する規定見られない近年核拡散防止条約無期限延長との関連トラテロルコ条約ラロトンガ条約などといった非核地帯条約締結され核兵器使用について取り扱っているが、しかしもっぱら核兵器取得生産保有配備実験を扱うこれらの条約は、核兵器使用禁止する条約ではない。 国際慣習法と核兵器 国際慣習法形成されるためには、大多数国家による同様の行為反復一般慣行)と、その行為を行う国家にそれが国際法基づいたのであるという認識法的信念)が必要とされる核兵器使用違法とする国々1945年以来核兵器恒常的に使用されていないことを、核兵器保有国法的信念現れであると主張する。それに対し、ある特定の状況における核兵器威嚇または使用合法性主張する国々は、核抑止理論実践援用し、核兵器使用されなかったのは単に幸いにもその使用正当化するような状況発生しなかったからだと主張する裁判所は、冷戦の間一定の国々核抑止政策依拠し続けてきたことは事実であることに鑑み、また国際社会構成員の間で意見大きく分かれていることからも、核兵器威嚇または使用全般違法とするような法的信念存在認めることはできない国際人道法および中立法と核兵器 国際人道法文書基本的原則は、民間人・民用物の保護目的とする戦闘員非戦闘員区別に関する第1原則戦闘員不必要な苦痛与えることを禁じる第2原則存在し、これらの原則照らし国家使用する兵器について無制限な自由を有するわけではない主文 以下に裁判所下した勧告的意見主文引用する(1)意見要請可否 勧告的意見要請応じることを決定する。(賛成13/反対1) (2)諮問への回答 A. 核兵器威嚇または使用特段認可する国際慣習法条約法存在しない。(全員一致B. 核兵器威嚇または使用包括的かつ普遍的に禁止する国際慣習法条約法存在しない。(賛成11/反対3) C. 国連憲章第2条4項に違反し、かつ同第51条の要件満たさない核兵器用いた武力による威嚇武力の行使違法である。(全員一致D. 核兵器威嚇または使用武力紛争適用される国際法要件、特に国際人道法上の原則・規則や、明示的に核兵器取り扱う条約その他の国際約束の下での義務適合するものでなければならない。(全員一致E.上のことから、核兵器威嚇または使用武力紛争適用される国際法規則、特に国際人道法上の原則・規則一般的には違反するであろう。しかし、国際法現状裁判所確認した事実に照らすと、国家存亡そのもの危険にさらされるような、自衛極端な状況extreme circumstance of self-defence)における、核兵器威嚇または使用合法であるか違法であるかについて裁判所最終的な結論下すことができない。(賛成7/反対7) F. 厳格かつ実効的な国際管理のもとで、全面的な核軍縮向けた交渉誠実に行い、その交渉完結させる義務がある。(全員一致

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多数意見

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/01 15:26 UTC 版)

ローレンス対テキサス州事件」の記事における「多数意見」の解説

合衆国最高裁は、6対3で、テキサス州法を違憲判断し無効とした。多数意見を構成した5人の裁判官は、同法合衆国憲法修正第14条デュー・プロセス条項違反していると述べ、バウアーズ判決判例変更しテキサス州のみならず他の12州のソドミー法無効にした。多数意見はケネディ判事執筆しスティーブンススーターギンズバーグおよびブレイヤー判事同調した。多数意見は、欧州人権裁判所判例などを引用し同性愛者による同性間性行為歴史的に広く西欧社会において非難されてきた行為であるというバウアーズ判決認識批判した判決次のように結論述べた。 「バウアーズ判決は、決定され時点誤っており、今日誤っている。同判決拘束力のある判例として存続するべきではない。バウアーズ対ハードウィック事件判決判例変更されるべきであり、本判決によって覆される。」 多数意見は、「本事件問題となっている成人による合意にもとづく性的行為は、修正第14条によるデュー・プロセス条項のうち実質的権利として保護される自由の一つである」との判断下した判決は「テキサス州法は、個人私的な生活への介入正当化するような正当な州の利益何ら促進しない」と述べテキサス州ソドミー法違憲とした。ケネディ判事意見は、成人同意にもとづく性行為権利を、社会による伝統的な保護(バウアーズ判決)、出産との関係(アイゼンスタット判決ロー判決)や婚姻関係(グリズウォルド判決ではなく行為私的な性質によって基礎づけたことが重要である。この判決により、理論上これまで他の判例によって保護されていなかった成人による同意にもとづく性行為保護されることになった

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 00:30 UTC 版)

アシュクロフト対表現の自由連合裁判」の記事における「多数意見」の解説

議会表現の自由侵害する法律作らない」べきであり、保護され表現刑事制裁課すことは、「表現抑圧深刻な例」である。同時に子供の性虐待は、「犯罪であり、人々道徳的本能反す行為」である。議会は、子供虐待から守るための有効な法律通過させるかもしれない。しかし、この事件争点となっているCPPAの2つ条項大きな問題は、猥褻児童ポルノの定義過度に広範であることだった。 連邦最高裁は、この法律の下ではルネサンス絵画性的に明示的な行為をしている未成年者のように見える絵に含まれることを指摘し性的に明示的な行為をしている17歳人物のように見える絵は、常にコミュニティ基準違反するものではないとした。そして、「CPPAは、真剣な文学、芸術政治、または科学的価値有無にもかかわらず表現禁止している」と結論付けた。 特に、性的行為行っているティーンエイジャー視覚的描写は、「現代社会事実」を表現しており、芸術と文学テーマとなっている。このような描写を含む作品には、ウィリアム・シェイクスピアによる戯曲を基にしたバズ・ラーマン1996年の映画『ロミオ+ジュリエット』や、アカデミー賞受賞した映画トラフィック』と『アメリカン・ビューティー』などがある。 「これらの映画、または他の人がそれらの主題探索し創作した作品法律の定義内で性的活動単一視覚的描写を含むならば、作品著作者は、作品の価値問わず厳し刑罰科されることになるが、これは合衆国憲法修正第1条基本的な精神矛盾している。作品芸術的価値は、単一明示的なシーン存在依存していない」。 したがって、CPPAは反児童ポルノ法とは異な理由表現禁止している。児童ポルノ流通所有禁じ法律は、その真の文学的価値芸術的価値かかわらず、それが生産される方法によって流通禁止している。しかし、CPPAによって禁止されている物は、「犯罪記録されておらず、生産によって被害者発生していない」。児童ポルノは必ずしも価値がないわけではなく児童ポルノ作成配布は、必然的に子供に害を及ぼすという理由違法となっている。「ファーバー事件」は、バーチャル児童ポルノを、文学的価値を持つと思われる児童ポルノ保護することを、実在する子供使ったポルノ作ることによる害を軽減する代替手段として明示的に許可した。CPPAは、この区別排除しこれまで法的な代替案従事してきた人々罰している。 政府は、CPPAがなければ子供対す凶悪犯罪者がバーチャル児童ポルノ使って子供誘惑する可能性があると反論した。しかし、「不道徳な目的のために使われるかもしれないおもちゃ映画ゲームビデオゲームキャンディーお金など、無実のものは多くあるが、それらが誤用される可能性があるからといって禁止されないように、合衆国憲法修正第1条は、表現行為区別し、単に表現が悪い行為につながる可能性があるからといって表現禁止容認しない。CPPAの目的違法行為禁止することであったが、法を遵守している大人表現制限させているので、その目標遥かに逸脱している。児童ポルノ市場排除することが目標だった場合裁判所合法的な表現排除して政府がその目標達成できない判断した。しかし、彼の表現合法であることを証明するために、表現者負担をかけてはならない。更に、そのような積極抗弁は、子どもが生産悪用されていないことを証明することができる場合でも、有罪判決を受ける恐れがあるので、それ自体条件では不完全なものとなってしまう。 性的行為従事する未成年者描写した印象伝え宣伝禁止する条項については、裁判所はこの条項が更に無差別であると判断した例え映画未成年者関わる性的に露骨なシーン含まれていなくても、タイトル予告編にそのシーン映画にあるという印象伝えれば児童ポルノとして扱うことができてしまう。猥褻行為忌避争点であるかもしれないが、「感情伝える」という禁止は、全く合法だった音声広告描写禁止している。合衆国憲法修正第1条は、CPPAが策定したものよりも、より精密な定義を要求している。

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多数意見

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/20 09:02 UTC 版)

アメリカ証券取引委員会対W. J. Howey社事件」の記事における「多数意見」の解説

多数意見を作成したマーフィー判事は、この訴訟主要な争点は、W. J. Howey社が土地販売する契約基本的にリースバック契約である)が1933年証券法第2条(a)(1)定める「投資契約investment contract)」を構成するか否かであるとした。Murphy判事は、「投資契約」の定義は証券法規定されていないものの、各州の不正証券取引取締法(ブルースカイ法)において、資金調達し当該資金利用して収入利益得ようとする契約その他の仕組み広くカバーする語として用いられてきたことを指摘した最高裁判所は、議会コモンローのもとで従前から適用されてきたこの語の意味認識したうえで、この語を法令記載した結論付けた続いてマーフィー判事は、あるものが証券法における「投資契約」に該当するかを決定するために、(1)発起人又は第三者努力にのみ依拠し(2)共同事業からの (3)収益期待して行われる (4)金銭投資、という審査基準設定した。これは最高裁判所が最も初期定めた投資契約該当性の審査基準のひとつであり、後年「Howey test」と呼ばれることとなったマーフィー判事は、W. J. Howey社の契約はこの審査基準4つ要件をすべて満たしW. J. Howey社は1933年証券法第5条違反する判断した。さらに、第5条届出書提出を欠く証券販売のみならず勧誘禁止しているため、果樹管理のためにHowey-in-the-Hills Service以外のサービス利用していた購入者がいたことは結論関係しないとした。

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