大法廷判決とは? わかりやすく解説

大法廷判決

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 14:23 UTC 版)

死刑制度合憲判決事件」の記事における「大法廷判決」の解説

最高裁判所裁判官11人による最高裁大法廷塚崎直義裁判長)は、1948年昭和23年3月12日に「日本国憲法主旨死刑制度存在矛盾せず、合憲である」として、被告人Mの上告を棄却する判決言い渡した。これにより、被告人Mの死刑確定した判決文では「生命尊貴である。一人生命は、全地球より重い。……憲法第十三条においては、すべて国民個人として尊重せられ、生命対す国民の権利については、立法その他の国政の上最大尊重必要とする旨を規定している。しかし、同時に……もし、公共の福祉という基本的原則反す場合には、生命対す国民の権利といえども立法制限ないし剥奪されることを当然予想しているといわねばならぬ。そしてさらに憲法第三十一条によれば国民個人生命尊貴といえども法律の定める適理の手続によって、これを奪う刑罰科せられることが、明らかに定められている。すなわち憲法は、現代多数文化国家におけると同様に刑罰として死刑存置想定し、これを是認したものと解すべきである。」として、「社会公共の福祉のために死刑制度存続必要性承認されている」と結論付けた次いで残虐な刑罰」と主張した点については、「刑罰としての死刑そのものが、一般に直ちに同条にいわゆる残虐な刑罰該当するとは考えられない。ただ死刑といえども、他の刑罰場合におけると同様に、その執行方法等がその時代と環境とにおいて人道上の見地から一般に残虐性有するものと認められる場合には、勿論これを残虐な刑罰といわねばならぬから、将来若し死刑について火あぶりはりつけさらし首釜ゆでの刑のごとき残虐な執行方法定め法律制定されたとするならば、その法律こそは、まさに憲法第三十六条違反するものというべきである。」としている。 なお、この判決には島保藤田八郎岩松三郎河村又介の4裁判官による補充意見と、井上登裁判官意見付せられている。 島裁判官ら4人の補充意見は、「ある刑罰残虐であるかどうか判断国民感情によつて定まる問題である。而して国民感情は、時代とともに変遷することを免かれないのであるから、ある時代残虐な刑罰でないとされたものが、後の時代反対に判断されることも在りうることである。したがつて、国家文化が高度に発達して正義秩序基調とする平和的社会実現し公共の福祉のために死刑威嚇による犯罪防止を必要と感じない時代達したならば、死刑もまた残虐な刑罰として国民感情により否定されるにちがいない。かかる場合には、憲法第31条解釈おのずから制限されて、死刑残虐な刑罰として憲法に違反するものとして、排除されることもあろう。しかし、今日はまだこのような時期達したものとはいうことができない。」としている。 井上裁判官意見は、島裁判官らの補充意見は「何と云つても死刑はいやなものに相違ない一日早くこんなものを必要としない時代来ればいい」といったような思想ないし感情が基になっているであろう推察した上で、「この感情に於て私も決し人後落ちるとは思はない、しかし憲法絶対に死刑許さぬ趣旨ではないと云う丈けで固より死刑存置命じて居るものでないことは勿論だから若し死刑を必要としない若しくは国民全体感情死刑忍び得ない云う様な時が来れば国会進んで死刑条文廃止するであろうし又条文は残つて居て事実上裁判官死刑選択しないであろう今でも誰れも好んで死刑言渡すものはないのが実状だから。」とする。

※この「大法廷判決」の解説は、「死刑制度合憲判決事件」の解説の一部です。
「大法廷判決」を含む「死刑制度合憲判決事件」の記事については、「死刑制度合憲判決事件」の概要を参照ください。

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