軌条 日本での歴史

軌条

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/11 07:22 UTC 版)

日本での歴史

輸入

日本初の営業用鉄道の開業は1872年(明治5年)のことであるが、最初に使われたのは、イギリス DARLINGTON IRON 社の1870年製の双頭レールである。双頭レールとは、レール底部の平らな部分がなく、上下とも走行用に使用可能なI字形の形状をしていた。

日本では1927年(昭和2年)頃まで、イギリス、ドイツアメリカ合衆国などから輸入したレールを使用していたが、国内生産品でまかなえるようになったことから、レールの輸入は原則として終焉を迎えた。

ただし路面電車用の特殊形状のレール(みぞレール護輪みぞレールなど)は、わずかではあるが後年まで輸入品が使用された。近年になって、保守の軽減性から溝レール類が再輸入され、富山ライトレール土佐電気鉄道熊本市交通局路面電車などで使用されている。

国産化

1901年(明治34年)の官営八幡製鐵所の開所に伴い、日本国内でもレールの圧延が開始された[24]。1901年の生産はわずか1,086トンとされている[25]1926年大正15/昭和元年)頃までは生産が追い付かず輸入品と併用されたが、この頃より生産体制が整い、レールの国産化が完了した。八幡製鐵所では、富士製鐵との合併により新日本製鐵(新日鉄)となりさらに住友金属工業(住金)との合併により新日鐵住金となった現在でも、八幡地区でレールの生産が行なわれている。

1952年(昭和27年)からは、富士製鐵釜石製鐵所でもレールの生産が開始された。1970年(昭和45年)の八幡製鐵と富士製鐵の合併の際、日本国内のレール生産が合併後の新日本製鐵1社のみとなり、独占禁止法に抵触する可能性が高くなったため、この釜石の設備を日本鋼管福山製鉄所に売却、移設を行った。日本鋼管は2003年(平成15年)に川崎製鉄と合併し、JFEスチールと名前を変えたが、現在もレールの生産を行っている。

以後、現在にいたるまで、レールのほとんどが国産品でまかなわれている。また、日本で製造されたレールは海外にも輸出され、高い評価を得ている。

再利用

摂津富田駅の上屋根を支持する双頭レール

使用後のレールは、駅のプラットホームの屋根や跨線橋などの骨組み、電化線路の架線柱、線路際のなどの部材として再利用されることがある[26]。現在は、建築基準法などの改正や、レール自体がよりレールとしての使用に特化した素材組成へと変化しているため、建築資材には使われなくなった。また、古いレールを再利用したホームの屋根なども、高架化地下化バリアフリー対応などに伴う駅の改築で、徐々に姿を消しつつあるが、もともとの古レールの再利用例が多いことから各所で見ることができる。

現状は、鉄道関連イベントなどで、1 cm程度に薄くスライスしてメッキ等を施したものが、文鎮などの記念品として販売されることがあるほかは、屑鉄として回収され、製鋼原料として再利用されている。屑鉄としては高品位であるため、廃線跡に残されたレールが盗難に遭う事件も発生している。


注釈

  1. ^ ロングレールを積載した貨車は半径300 m程度のカーブを苦もなく通過するが、このことと安定した軌道を構成できることは全く別の問題である。
  2. ^ 引っ張り試験、荷重試験、破断面試験、曲げ試験、硬度試験、磨耗試験、腐食試験、顕微鏡試験を行う。
  3. ^ 日本の普通レールはJIS E 1101 により、レール腹面に鋼塊又は鋳片の頭部方向、レールの種類の記号、製鋼炉の記号、製造業者名又はその略号、製造年月又はその略号 について浮き出し表示を求めている。また逆の腹面には、鋼塊又は鋳片の順位番号、鋼塊注入順位記号、製鋼番号、作業組の記号、炭素含有量、マンガン含有量(60N、70S、80Sに限る)、鋼の種類(種類 AR は無表示)を刻印することを求めている。
  4. ^ 成分は、C 0.60-0.75%、Si 0.10-0.30% Mn 0.7-1.1% P≦0.035% S≦0.040% 引っ張り強さ≧80Kgf/mm2 伸び≧8%である。
  5. ^ 日本においても茅沼炭鉱軌道木道社藤枝焼津間軌道で木道が使用された。

出典

  1. ^ 西亀ら 1980, p. 121.
  2. ^ 高橋 2006, p. 519.
  3. ^ a b 天野ら 1984, p. 16.
  4. ^ 片岡 2007, p. 24.
  5. ^ 片岡 2007, p. 25.
  6. ^ JIS E 1101:2001 普通レール及び分岐器類用特殊レール. 日本規格協会. (2001/6/30) 
  7. ^ レール | 鉄道用語辞典 | 日本民営鉄道協会”. www.mintetsu.or.jp. 2020年1月10日閲覧。
  8. ^ 稲田 隆『鐵道工学 上巻』誠文堂〈総合工学全集2・土木工学科、13巻の7〉、1937年10月18日、299頁。
  9. ^ 天野ら 1984, p. 22.
  10. ^ “世界最長となる鉄道用 150mレールの製造・出荷体制を整備” (プレスリリース), 新日鐵住金, (2014年4月16日), http://www.nssmc.com/news/20140416_100.html 
  11. ^ 西亀ら 1980, p. 147.
  12. ^ 西亀ら 1980, p. 147,149.
  13. ^ “接着絶縁レールの継目構造とその製造方法” (pdf). RRR (鉄道総合技術研究所): 38-39. (8 2011). http://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0004/2011/0004005484.pdf 2017年11月6日閲覧。. 
  14. ^ a b 天野ら 1984, p. 19.
  15. ^ 片岡 2007, p. 27.
  16. ^ 名村ら 2007, p. 6.
  17. ^ 名村ら 2007, pp. 6-7.
  18. ^ 高屋 2015.
  19. ^ a b 名村ら 2007, p. 7.
  20. ^ a b c 天野ら 1984, p. 20.
  21. ^ 小代ら 2012, p. 986.
  22. ^ クリスティアン・ウォルマー著 安原和見・須川綾子訳『世界鉄道史』河出書房新社、2012年、p.28-29
  23. ^ a b c 片岡 2012, p. 28.
  24. ^ 佐伯ら 2013, p. 19-20.
  25. ^ 佐伯ら 2013, p. 20.
  26. ^ 西野ら 1982, p. 30.


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