軌条の登場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 21:38 UTC 版)
原始的なレール(軌条)を使って動物や人に荷車をひかせる方法は紀元前から行われていたとされ、ドイツ・フライブルクにあるフライブルク大聖堂のステンドグラス(1350年製作)にもその光景は残されている。16世紀のイギリスには無数の馬車軌道(ワゴンウェイ、Wagonway)があったとされている。 その後レールは鉱山地帯における輸送に広く用いられ、次第に改良が進められていった。当初は鉄が貴重品であったため樫の木が用いられていたが、磨耗が激しく保守担当者の悩みの種となっていた。1738年、カンバーランドにおいて初めて鋳鉄を利用したレールが登場したが、これは木材の基盤の上に薄い帯状の鉄を貼り付けただけのもので、しかもカーブなど磨耗しやすい場所にだけ用いられていた。1750年代頃になると、カーブだけではなく全ての区間で鋳鉄の板を取り付けることが一般化した。しかし鋳鉄は曲げに弱く、脱線事故も多発し続けた。 1767年、コールブルックデールの製鉄所技師、リチャード・レイノルズは、生産量が増加して余剰気味になってきた鋳鉄の使い道として、トロッコに使う目的のレールの生産を開始し、この時にレールにフランジが取り付けられた。レールの両側につばが取り付けられて、車輪の脱落を防ぐ仕組みとなっていた。しかしレールと車輪がきしみあってうまく走れず、また雨水や落ち葉などが溝に溜まるという問題があった。 1776年、ベンジャミン・カーがこの欠点を解消するために片方のつばを取り除いた、L字形のレールを発明した。これにより車両の走行は格段に容易となった。
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