詩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/15 09:55 UTC 版)
ジャンル
個々の形式に加え、詩はさまざまなジャンルやサブジャンルによって捉えられることも多い。 詩のジャンルは概して、主題、スタイル、その他のより広範な文学的特徴に基づく詩の伝統もしくは分類である[65]。ジャンルを文学の自然な形式であると見做す批評家もいる[66]。またジャンルを、異なった作品がいかに他の作品と関連し言及するかの研究であると見做す批評家もいる[67]。
叙事詩は広く認められるジャンルの1つであり、その時代の文化にとって英雄的もしくは重要な性質の出来事に関する長大な詩としてしばしば定義される[68]。抒情詩も広く認められるジャンルであり、短く、美しい調子を持ち、観照的な傾向を持つ。批評家によってはより細かいサブジャンルへと詩を分類し、個々の詩は数多くの異なったジャンルに同時に属すると見做されもする[注釈 25]。多くの場合、共通する伝統の結果として、詩のジャンルは文化を超えて同じ特性を見せる。
以下に一般的なジャンルをいくつか記述するが、ジャンルの分類、その特質の記述、そして詩をジャンルに分類しようとする理由そのものすらもさまざまな形を取りうる。
物語詩
物語詩は物語を語る詩のジャンルである。広義には叙事詩も物語詩に含まれるが、「物語詩」という用語はより小さな、概してより人間的興味に訴えるような作品に用いられることが多い。
物語詩は最も古い詩の種類であったかもしれない。多くのホメロス研究者は、『イーリアス』と『オデュッセイア』が一晩の娯楽により適している個別のエピソードに関する短い物語詩の編集(コンピレーション)により構成されたものであると結論している。多くの物語詩――スコットランド人やイングランド人のバラッドやスラヴ人の英雄詩など――は文字使用以前の口承に起源を持つ実演詩 (en:performance poetry) である。メーター、頭韻法、ケニングなどの詩を散文と区別する要素のいくつかはかつて伝統的な物語を暗唱する吟遊詩人たちの記憶術として機能していたのではないかと推測されている。
主要な物語詩人としては、オウィディウス、ダンテ・アリギエーリ、ファン・ルイス、ジェフリー・チョーサー、ウィリアム・ラングランド、ルイス・デ・カモンイス、ウィリアム・シェイクスピア、アレキサンダー・ポープ、ロバート・バーンズ、フェルナンド・デ・ロハス、アダム・ミツキェヴィチ、アレクサンドル・プーシキン、エドガー・アラン・ポー、アルフレッド・テニスンなどがいる。
叙事詩
叙事詩は詩のジャンルの1つであり、また物語文学の主要な形式の1つでもある。叙事詩は持続的な語りにより英雄的もしくは神話的な人物(たち)の生涯と業績を物語る。
叙事詩の例として、ホメロスの『イーリアス』と『オデュッセイア』、ウェルギリウス『アエネーイス』、『ローランの歌』、『ニーベルンゲンの歌』、ルイス・デ・カモンイス『ウズ・ルジアダス』、『わがシッドの歌』、『ギルガメシュ叙事詩』、『マハーバーラタ』、ヴァルミキ (en:Valmiki)『ラーマーヤナ』、フェルドウスィー『シャー・ナーメ』、ニザーミー『ハムセ』(「五部作」)、チベットの叙事詩『リン・ケサル大王伝』、アイヌのユーカラなどがある。
西洋では20世紀初頭以降は叙事詩や長詩全般があまり書かれなくなったが、それでも若干の重要な叙事詩は書かれ続けている。デレック・ウォルコットはその叙事詩『オメロス』に主によりノーベル文学賞を受賞した[69]。
劇詩
劇詩は語りもしくは歌われるよう書かれた韻文の演劇である。多くの文化にさまざまな、また場合によっては類似した形式で存在する。韻文劇はサンスクリットやギリシアの叙事詩のような初期の口誦叙事詩から発達したものであるかもしれない[70]。
韻文によるギリシア悲劇は紀元前6世紀に遡り、サンスクリット劇の発達に影響を与えた可能性がある[71]。同様にインドの演劇は中国の戯曲の先触れとなった「変文」(zh:變文)の韻文劇の発達に影響を与えた可能性がある[72]。東アジアの韻文劇には日本の能(謡曲)もある。
ペルシア文学の劇詩には、ニザーミーの著名な劇作品『ライラとマジュヌーン』『ホスローとシーリーン』[73][74]、フェルドウスィーの『ロスタムとソラブ』などの悲劇、ジャラール・ウッディーン・ルーミーの『マスナヴィー』、アサド・グルガニーの悲劇『ヴィスとラミン』[75]、Vahshi Bafqiの悲劇『Farhad』などがある。
西洋では伝統的に悲劇と喜劇を二大分野としてきた。韻文による悲劇ではギリシア悲劇の三大悲劇詩人(アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデス)、後世のシェイクスピア、ジャン・ラシーヌなどがいる。喜劇ではアリストパネスやモリエールなどが代表的であるが、「喜劇」は必ずしも滑稽さを前提とはせず、ダンテの『神曲』(La Divina Commedia) なども分類上は喜劇となる。ゲーテ『ファウスト』のようにどちらにも分類されない劇詩も多い。今日では戯曲が韻文で書かれることは稀である。
風刺詩
詩は風刺の強力な媒体にもなりうる。韻文で表された侮辱の一撃は、散文で言われもしくは書かれたものより格段に強力かつ記憶に残りやすいものになりうる。古代ローマ人は風刺詩の強い伝統を有しており、しばしば政治的な目的で書かれた。有名な例としては詩人ユウェナリスの風刺詩があり、その侮辱は社会のあらゆる範囲を刺した。
イギリスの風刺の伝統にも同じことが言える。当時の加熱した政治状況に巻き込まれ、かつての友人であったホイッグ党のトマス・シャドウェルに風刺されたトーリー党のジョン・ドライデン(最初の桂冠詩人)は、1682年に『マクフレクノー』、副題「真の保守プロテスタント詩人T.S.の風刺」という、英語で書かれた息の長い罵詈雑言作品としては最も偉大なものの1つを著した。この中で、当時既に故人であった実に凡庸な詩人リチャード・フレクノーは「絶対的ナンセンスの全ての領域の」支配者として「統治し、ウィットに対する永遠の戦争を遂行する」べく誰を自身の後継者にすべきか熟考していると描かれた。
第2代ロチェスター伯のジョン・ウィルモットもまた17世紀イギリスの風刺詩の名手であり、『人類に対する風刺』(1675) や『チャールズ2世の風刺』などの容赦ない風刺で知られた。アレキサンダー・ポープも風刺詩で知られ、『批評論』(1709) において批評家たちをたしなめたのは有名である。ドライデンとポープは叙事詩の書き手であったので、その風刺のスタイルも叙事詩的なものであった。とはいえ、風刺詩にはこれといった決まった形式はない。
イギリス以外での偉大な風刺詩人としてはポーランドのイグナツィ・クラシツキ (en:Ignacy Krasicki)、アゼルバイジャンのサビール、ポルトガルのマヌエル・マリア・バルボサ・ド・ボカージェなどが挙げられる。
日本でも平安時代より諷意を含む狂歌が書かれ、匿名で狂歌を掲示して政治批判などを行う「落首」の慣行があった。一例として寛政の改革を諷した「白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき」が知られている。現代でも風刺的な川柳が広く詠まれている。
抒情詩
抒情詩(叙情詩)は叙事詩や劇詩のように物語を語ろうとするのではない、より個人的な性質のジャンルである。人物とその行動を描写するよりも、詩人自身の感情や精神状態や知覚を表現する。西洋の抒情詩(英: lyric poetry, 仏: poésie lyrique)はリラ (lyre) を語源とし、歌うものであるという含意があるが、実際の抒情詩には純粋に読まれることを前提としたものも多い。日本の和歌は文字通り「歌」であり、その多くが抒情詩(もしくは風景のみを詠う叙景詩)であった。
抒情詩は古くから愛を主題とするものとして知られてきたが、多くの宮廷風恋愛(ミンネ)詩人たちはまた戦争と平和、自然と郷愁、悲しみと喪失などを扱う抒情詩も書いた。中でも15世紀フランスの抒情詩人クリスティーヌ・ド・ピザンとシャルル・ド・ヴァロワが高名である。霊性や宗教的な主題も十字架のヨハネやアビラのテレサのような神秘主義抒情詩人によって歌われた。霊的な経験に基づく抒情詩の伝統は後のジョン・ダン、ジェラード・マンリ・ホプキンス、アントニオ・マチャード、T・S・エリオットといった詩人たちにも受け継がれている。
西洋の抒情詩で最も一般的な形式は14行のソネットであり、ペトラルカやシェイクスピアなども実践したが、その他にも抒情詩には途方に暮れるほどさまざまな形式が見られ、押韻しないものも20世紀以降増加している。作者自身の感情や考えを入り組んだ形で取り扱う抒情詩は詩の中で最も一般的なジャンルとなっている。
明確な形を持たない、より自由なスタイルを取る者もいる。たとえばラップの歌詞は、ビートを伴う詩であると考えられることもある。
エレジー
エレジー(哀歌、挽歌、悲歌)は悲しげな、憂鬱もしくは哀調を帯びた詩であり、特に死者のための哀悼詩(ラメント)または葬儀のための歌を指す。死者を悼む詩は普遍的なものであるが、エレジー (英: elegy, 仏: élégie) という語は元来はエレゲイア体というメーターの種類を指すもので、一般に喪の詩を表現する。また作者にとって不思議もしくは神秘的と見えるものを表すこともある。死や、より一般的に悲しみや、神秘的な何かを表したものとしてのエレジーは、抒情詩の一種として捉えることも可能である。古代の歌われる詩の伝統に遡る関連性から、「エレジー」はまた、悲しくもしくは陰鬱な性質であるのが普通のある種の音楽作品のタイプも指しうる。
エレジーは古代から書き続けられている。主要な作者としては セクストゥス・プロペルティウス、ホルヘ・マンリケ、ヤン・コハノフスキ、チディオック・ティッチボーン、エドマンド・スペンサー、ベン・ジョンソン、ジョン・ミルトン、トマス・グレイ、シャーロット・ターナー・スミス、ウィリアム・カレン・ブライアント、パーシー・ビッシュ・シェリー、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、イフゲニー・バラトゥインスキー、アルフレッド・テニスン、ウォルト・ホイットマン、ルイ・ガレ、アントニオ・マチャード、フアン・ラモン・ヒメネス、ウィリアム・バトラー・イェイツ、ライナー・マリア・リルケ、ヴァージニア・ウルフ、フェデリコ・ガルシーア・ロルカ、カマウ・ブラスウェイトなどがいる。
「挽歌」という語は中国で棺車を挽く時に歌われた歌を指した。日本では『萬葉集』(8世紀頃)の3つの部立て(雑歌・相聞歌・挽歌)のうちの1つとなり、柿本人麻呂による皇族の死に際しての多数の儀礼的な挽歌と、妻の死に際しての悲痛な挽歌の双方が収められている[76]。『古今和歌集』以降では「哀傷歌」として多くの歌人により詠まれ続けた。
寓話詩
寓話は古代からある、ほぼどこにでも見られる文学ジャンルであり、(常にではないが)しばしば韻文で表現される。人間化された動物・植物・無生物・自然の力などを登場させ道徳的な教訓を説明する簡潔な物語である。寓話詩はさまざまなメーターと押韻構成を用いてきた。例えばイグナツィ・クラシツキは『寓話とたとえ話』を13音節から成る押韻した二行連で書いた。
重要な寓話詩人にはアイソーポス(イソップ)(BC6世紀中葉)、ヴィシュヌ・シャルマ(BC2世紀頃)、パイドロス (BC15-AD50)、マリー・ド・フランス(12世紀)、ロバート・ヘンリスン(1470-1500頃活躍)、en:Biernat of Lublin (1465?-1529?)、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ(1621-95)、イグナツィ・クラシツキ(1735-1801)、フェリックス・マリア・デ・サマニエゴ (1745-1801)、トマス・デ・イリアルテ (1750-1791)、イヴァン・クルィロフ(1769-1844)、アンブローズ・ビアス (1842-1914) などがいる。イソップの訳者や継承者は全てこの半ば伝説的な寓話作家に借りがある。
寓話詩の一例として、イグナツィ・クラシツキ『寓話とたとえ話』(1779)から「仔羊と狼たち」を挙げる。
ポーランド語原詩[77] | 日本語訳 |
---|---|
Zawżdy znajdzie przyczynę, kto zdobyczy pragnie. | 必要となればいつだって攻撃には大義が見付かるもの。 |
Dwóch wilków jedno w lesie nadybali jagnię; | うろつく二人の狼が森で仔羊を追い詰めて |
Już go mieli rozerwać; rzekło: "Jakim prawem?" | 飛びかかろうとするところ。仔羊は問うた「一体なんの権利があって?」 |
"Smacznyś, słaby i w lesie!" — Zjedli niezabawem. | 「お前は旨そうだし、弱いし、森にいたから。」――狼たち難なく羊を平らげた。 |
散文詩
散文詩は散文と詩の両方の性質を見せる異種交配的なジャンルである。超短篇小説(ショートショート、フラッシュフィクション〔en:flash fiction〕)や随筆との区別が困難な場合もある。簡潔さ、隠喩の使用、言語への格別な注意などの理由から詩と見做される。
早期の散文の中にも現代の読者に詩的な印象を与えるものがあるが、一般的には散文詩はアロイジウス・ベルトラン、シャルル・ボードレール、アルチュール・ランボー、ステファヌ・マラルメなどの(象徴派)詩人の実践により19世紀フランスで起こったものと考えられている。
その後、このジャンルには数多くの言語で注目に値する例が現れた:
- 英語:オスカー・ワイルド、T・S・エリオット、ガートルード・スタイン、シャーウッド・アンダーソン、アレン・ギンズバーグ、シェイマス・ヒーニー、ラッセル・エドソン、ロバート・ブライ、チャールズ・シミック、ジョゼフ・コンラッド
- フランス語:マックス・ジャコブ、アンリ・ミショー、フランシス・ポンジュ、ジャン・タルデュー、ジャン=ピエール・ヴァロットン
- (現代)ギリシア語:アンドレアス・エンビリコス、ニコス・エンゴノプロス
- イタリア語:エウジェーニオ・モンターレ、サルヴァトーレ・クァジモド、ジュゼッペ・ウンガレッティ、ウンベルト・サバ
- ポーランド語:ボレスワフ・プルス、ズビグニェフ・ヘルベルト
- ポルトガル語:フェルナンド・ペソア、Mário Cesariny de Vasconcelos、Mário de Sá-Carneiro、ウォルター・ソロン、エウジェニオ・デ・アンドラーデ、アル・ベルト、アレクサンドル・オニール、ジョゼ・サラマーゴ、アントニオ・ロボ・アントゥーネス
- ロシア語:イワン・ツルゲーネフ、レジーナ・デリエヴァ、アナトリー・クドリャヴィツキー(俳人としても知られる)
- スペイン語:オクタビオ・パス、ジャンニナ・ブラスキ(西語・英語・スパングリッシュで詩作している)、アンヘル・クレスポ、フリオ・コルタサル、ルベン・ダリオ、オリベリオ・ヒロンド
- スウェーデン語:トーマス・トランストロメル
- ベンガル語:マイケル・マドゥスダン・ダット、ラビンドラナート・タゴール
- 日本語:萩原朔太郎、三好達治、田村隆一、入沢康夫、谷川俊太郎
注釈
- ^ 今日ではデジタルメディアの特性を取り込んだ詩 (en:Digital poetry) も行われ、また小説投稿サイトなど投稿形式でインターネットに詩を載せる営みもある。
- ^ 逆に日本の読者の場合、適当に行分けされた断片的な書き物を想像するかもしれないが、(優れたものであれば)そうした詩にも隠れたリズムや音調があるものである。萩原朔太郎『詩の原理』1928年 。2009年12月30日閲覧。"すべての詩は、必ずしも規約された形式韻文ではないけれども、しかもすべての詩は――自由詩でも定律詩でも――本質上に於て音律を重要視し、それに表現の生命的意義を置いている。"。
- ^ これらの出典から明らかなように、(少なくとも優れた詩人の作品においては)対比やサプライズのような詩的ではない効果を得たり不規則なリズムを詩的に用いたりといった詩的な理由があるものである。
- ^ 多くの学者、とりわけホメロスの流儀やバルカン諸国の口承叙事詩の研究者たちは、初期の文書が大きな詩のユニットを構築するためのブロックとして繰り返し句を用いるなどのより古い詩の伝統の跡をはっきりと示しているのではないかと示唆している。記憶の補助として筆記が利用できるようになる前にはリズミカルで繰り返しのある形式が長い物語を記憶し再び語るのを容易にしたのであろう。
- ^ 例えば、16世紀のアラブ世界では外交の多くは詩的な形式を通じて行われた。See Natalie Zemon Davis. Trickster's Travels. Hill & Wang, (2006), ISBN 0809094355.
- ^ 政治的毒舌の例としてはリベル(中傷文)や、マルティアリスとカトゥルスの古典的エピグラムなどがある。
- ^ 古代ギリシアでは、医学や学問的な作品はしばしば韻文形式で書かれた。1500年後のイブン・スィーナーの医学的テクストの多くも韻文であった。
- ^ イブン・ルシュドはアリストテレスの『詩学』の、原典の例文をアラビアの詩人たちのものに置き換えた注釈を著した。 See, for example, W. F. Bogges. 'Hermannus Alemannus' Latin Anthology of Arabic Poetry,' Journal of the American Oriental Society, 1968, Volume 88, 657-70, and Charles Burnett, 'Learned Knowledge of Arabic Poetry, Rhymed Prose, and Didactic Verse from Petrus Alfonsi to Petrarch', in Poetry and Philosophy in the Middle Ages: A Festschrift for Peter Dronke. Brill Academic Publishers, (2001), ISBN 90-04-11964-7.
- ^ 例えば、イマヌエル・カント『判断力批判』(J.H.バーナード訳、p.131)では詩の自意識的な抽象と美しい形式という性質は言葉による芸術の中で最高位へと詩を引き上げ、より論理的・物語的な散文はその下に来るものとされていた。
- ^ Negative Capabilityに適切な訳語を当てるのは極めて困難である。藤本周一 (3 2005). “John Keats: “Negative Capability”の「訳語」をめぐる概念の検証” (pdf). 大阪経大論集 55 (6): 5 - 27. ISSN 04747909 2009年12月2日閲覧。.
- ^ "A poem should not mean / But be" 『詩論』という題名はホラティウスの同名の評論への言及である。この詩は詩がどのようなものでなければならないかの宣言を列挙し、この著名な2行で結んでいる。[1]
- ^ 『失楽園』の2つの版がプロジェクト・グーテンベルクで利用できる。Project Gutenberg text version 1 and Project Gutenberg text version 2.
- ^ ロシア語原典[2]と、チャールズ・ジョンストンによる英訳[3]が利用可能。英語版ウィキペディアのEugene OneginとNotes on Prosodyの項目およびその注釈にある、翻訳上の問題点や、ロシア語と英語の弱強四歩格の違いに関する議論も参照。
- ^ 脚韻、頭韻、類韻、子音韻はまた反復する音声のパターンからは分離された意味をも持ちうる。例えば、ジェフリー・チョーサーは古英語の詩を嘲笑し、人物を時代遅れに見せるために過度の頭韻を使用したし、クリストファー・マーロウは"th", "f", "s"による頭韻と子音韻の組み合わせを用いて、女々しく描写したい人物に舌足らずに喋らせた。一例として、マーロウ『タンバレイン大帝』の冒頭のスピーチを見よ(Project Gutenberg)。
- ^ 日本語はほぼ全てのモーラが開音節で、全てで100種類強しかないので単調になり押韻には適さなかった(金田一春彦『日本語の特質』NHKブックス、1991年)。「日本語の音韻」も参照。
- ^ 日本語でも藤原公任の和歌「たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほきこえけれ」や島崎藤村『千曲川旅情の歌』「こもろなる こじょうのほとり」のようにモーラ単位の頭韻法が散見される。
- ^ フランス詩法では、place/masseのように末尾が無音のeで終わる韻を女性韻、pleur/fleurのようにそれ以外で終わる韻を男性韻と呼ぶ。両者を交互に配する交韻を正則とし、他に「a-a-b-b」と配する平韻、「a-b-b-a」と配する抱擁韻がある(fr:rime参照)。英詩では最後の音節にアクセントがあれば男性韻、なければ女性韻(この場合2音節以上の押韻を求められる)となる。
- ^ 実際に、ウマル・ハイヤームの『ルバイヤート』の翻訳にあたって、エドワード・フィッツジェラルドは原詩の押韻構成を保持しようと試みた。この翻訳はプロジェクト・グーテンベルクで利用できる[4]。
- ^ ウィキソースに原典、英訳あり。
- ^ モダニズム以前のカリグラムの好例として、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』での、鼠の話が長い尻尾の形になっている詩がある。ウィキソースの原文参照。
- ^ 詩での象徴主義と隠喩の用例として良く知られたものにサミュエル・テイラー・コールリッジ『老水夫行』がある。水夫に殺される信天翁は伝統的に幸運の象徴であり、その死には象徴的な含意がある。
- ^ 『イソップ寓話』は紀元前500年頃に最初の記録が現れて後、何度となく韻文と散文の双方で翻訳されてきた。時代を超えた単体のアレゴリー詩の情報源として恐らく最も豊かなものであろう。その他の主要な例として、13世紀フランスの詩『薔薇物語』、ウィリアム・ラングランドの『農夫ピアズの夢』、17世紀フランスのジャン・ド・ラ・フォンテーヌ『寓話集』[5](イソップに影響されている)なども参照。
- ^ ジョン・ドライデンによるホラティウスの頌歌の翻訳が、英語圏でのこの形式の成立に特に影響を持った。ただしドライデンはホラティウスが行わなかった押韻を訳詩で用いている。
- ^ 福永武彦らマチネ・ポエティクの詩人たちによるソネットなどの押韻定型詩の試みも存在した。
- ^ シェイクスピアは『ハムレット』においてそのような分析を戯画化し、ジャンルが「悲劇詩、喜劇詩、歴史詩、田園詩、田園喜劇詩、歴史田園詩、悲劇歴史詩、悲劇喜劇歴史田園詩…」から成っていると書いた。
出典
- ^ 「(創造のうち)音楽と韻律に関わる物のみがポイエーシスと呼ばれ、この意味でのポイエーシスを有する者のみがポイエーテースと呼ばれるのです。」(プラトン『饗宴』)
- ^ "詩者、志之所之也。在心為志、發言為詩。" 「詩とは志の赴くところである。それが心の中にあるのが『志』、言葉として発したものが『詩』である。」(『詩経』序)
- ^ 外山正一、井上哲次郎、谷田部良吉『新体詩抄』1882年8月 。2023年2月26日閲覧。"均シク是レ志ヲ言フナリ、而シテ支那ニテハ之ヲ詩ト云ヒ、本邦ニテハ之ヲ歌ト云ヒ、未ダ歌ト詩トヲ総称スルノ名アルヲ聞カズ、此書ニ載スル所ハ、詩ニアラス、歌ニアラス、而シテ之ヲ詩ト云フハ、泰西ノ「ポエトリー」ト云フ語即チ歌ト詩トヲ総称スルノ名ニ当ツルノミ、古ヨリイハユル詩ニアラザルナリ"。
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- ^ Arthur Quiller-Couch (Ed). Oxford Book of English Verse. Oxford University Press, (1900). 英詩では『Oxford Book of English Verse』もしくは『Norton Anthology of Poetry』が権威であり、ある詩人や主題にどれだけの紙幅が割かれているかで相対的な重要度を測る人が多い。
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- ピンダロスの現存する頌歌 - プロジェクト・グーテンベルク:Ernest Myersによる翻訳。
- ^ “Acrostic”. Answers.com. 2009年12月8日閲覧。
- ^ 外山正一、井上哲次郎、谷田部良吉『新体詩抄』1882年8月 。2023年2月26日閲覧。"而シテ之ヲ詩ト云フハ、泰西ノ「ポエトリー」ト云フ語即チ歌ト詩トヲ総称スルノ名ニ当ツルノミ……而シテ此書ニ載スル所モ亦七五ナリ、七五ハ七五ト雖モ、古ノ法則ニ拘ハル者ニアラス、且ツ夫レ此外種々ノ新体ヲ求メント欲ス、故ニ之ヲ新体ト称スルナリ"。
- ^ 財団法人新村出記念財団 編『広辞苑』(第5版)岩波書店、1998年11月。ISBN 4-00-080111-2。"広義には新体詩を含み、狭義には文語自由詩以後を指す。"。
- ^ ジャンル理論に関する総合的な議論については、Daniel Chandler's [Introduction to Genre Theory[7]も参照。
- ^ 一例としてNorthrop Frye. Anatomy of Criticism. Princeton, New Jersey: Princeton University Press, (1957)(ノースロップ・フライ『批評の解剖』)を見よ。
- ^ Jacques Derrida, Beverly Bie Brahic (Trans.). Geneses, Genealogies, Genres, And Genius: The Secrets of the Archive. New York, New York: Columbia University Press(2006), ISBN 0231139780.
- ^ Hatto, A. T.. Traditions of Heroic and Epic Poetry (Vol. I: The Traditions ed.). Maney Publishing
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- ^ ニザーミー 著、岡田恵美子 訳『ライラとマジュヌーン』平凡社、1981年。ISBN 4-582-80394-6。
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- ^ Dick Davis (January 6, 2005), "Vis o Rāmin," in Encyclopaedia Iranica Online Edition. Accessed on April 25, 2008.
- ^ 松本洋子 (7 1987). “挽歌の中の人麻呂” (pdf). 日本文學誌要: 13 - 34. ISSN 02877872. NAID 110000208340 2010年1月2日閲覧。.
- ^ ウィキソース原文
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