ギルガメシュ叙事詩とは? わかりやすく解説

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ギルガメシュ叙事詩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/28 14:44 UTC 版)

ギルガメシュ叙事詩』(ギルガメシュじょじし)は、古代メソポタミアの文学作品。実在していた可能性のある古代メソポタミアの伝説的な王ギルガメシュを巡る物語。人間の知られている歴史の中で、最も古い作品[1]


注釈

  1. ^ ルガルバンダのような祖先神としての意味合いが強い守護神とは別に、個人を守護する「個人神」。古代メソポタミアでは、男児には誕生と同時に個人神があてがわれた。 月本(1996)pp.194,197,注p.18)
  2. ^ 王の務めである神殿の建設などによい資材は欠かせなかったが、古代の南部メソポタミアでは森が枯渇していた。
  3. ^ 当時のシュメール・アッカド地方の言葉で「護符」に当たる単語はなく、「アミュレット」と呼ばれていた。アミュレットは幸運をもたらしたり厄を払うとされる、守護力を持ったいわゆる"魔除け"のことである。自然素材や加工品などを用い、置物にしたり身に付けたりするが、アミュレットとは別に権力者であることを示す色石や貴金属なども護身に繋がると信じられ、身を飾ることは身を守ることと同義であった。 月本(2011)pp.16,104
  4. ^ 目的地は西方となっているが、一説には東方に位置するザグロス山脈にあたる地域でもあるとされている。 岡田・小林(2008)p.239
  5. ^ または13の風。 月本(1996) p.59
  6. ^ イシュタルの悪癖が明らかにされる貴重なシーンだが、このときギルガメシュが発した雑言の数々は、ほとんどが推定的な訳となっている。 矢島(1998)p.244
  7. ^ 讃えられるのはギルガメシュのみであり、それを本人が望んだ、という解釈もあり、そういったことから「友と平等に扱われなかった」としてエンキドゥが嘆く例もあるが(月本 p.p80,86 / pp.332-336)、2人が共に讃えられエンキドゥがギルガメシュに嫉妬するような描写も特に見当たらない書版も多い。
  8. ^ 普通、シュメールにおける地上の7大神は天神アヌ・風神エンリル・水神エアを筆頭に、月神シン・太陽神シャマシュ・金星神イシュタル・大地母神ニンフルサグを指すが、本件で集まったと確認できるのはアヌ・エンリル・エア・シャマシュの4名のみ。
  9. ^ 蜜(蜂蜜)はその特性から、古代文明の重要な儀礼で頻繁に使用されたことが知られている。
  10. ^ これは、大層な埋葬儀礼を施すことで死者が迷わず冥界へ赴けるように、の意。 月本(1996)p.101
  11. ^ アッカド語の「医術文書」に皮膚変色を患った者が快復した際の儀礼として、これと似たような叙述がある。曰く「患者は包帯を焼却し、太陽神シャマシュに蜜とバターの入った菓子らを供え、シャマシュの前に立ち、そして感謝する」。 月本(2011)p.35
  12. ^ マシュ(またはマーシュ)はアッカド語で双生児の意。ここではシャマシュが出入りする日の出の山のこと。 矢島(1998)p.192,月本(1996)p.328。
  13. ^ 2つの山の間は太陽(冥界を巡り日の出と共に現れるシャマシュ)が昇ってくる場所、つまり、マシュ山の麓が冥界に達していることを示している。 月本(1996)p.107
  14. ^ 樫の一種(月本 1996 p.295)
  15. ^ この、楽器(太鼓)或いは遊具(フープ・ローリング)とされる(アッシリア学者ベンノ・ランズベルガーによる仮説)、エルラグ(プック)とエキドマ(メックー)は、ギルガメシュが作ったとも言われる。 岡田・小林(2008)p.244(器具名は月本1996 p.295による)
  16. ^ ギルガメシュは「(ウルクの守護神であり軍神でもある)イシュタルを信頼し、キシュに立ち向かう」ことを決心した。 杉(1978)p.40
  17. ^ ギルガメシュはかつて庇護を求めてアッガの元へ亡命し、アッガはそれを受け入れたという。 杉(1978)p.42
  18. ^ 歌の部分は矢島文夫の訳詩(筑摩世界文学大系Ⅰ 古代オリエント集)に、語りの部分は山室静の著書(児童世界文学全集 世界神話物語集)に基づいた作品。
  19. ^ 1982年に「出発の巻」が、1983年に「帰郷の巻」が、それぞれ関西学院グリークラブにより初演されたが、当時はそれぞれ「前編」「後編」と題されていた。
  20. ^ 1992年に、合唱/関西学院グリークラブ 指揮/北村協一 ナレーション/青島広志にて、東芝EMIよりCDが発売されている。

出典

  1. ^ a b c d 矢島(1998)p.10
  2. ^ 月本(1996)p.3
  3. ^ ギルガメシュ叙事詩研究の第一人者に本当のギルガメシュ像について聞いてみた”. Pokke (2019年). 2020年4月12日閲覧。
  4. ^ Hay, Noelle. "Evolution of a sidekick," SFFWorld.com (2002).
  5. ^ George (2003). The Babylonian Gilgamesh Epic. Oxford University Press 
  6. ^ a b 月本(1996)p.283
  7. ^ 矢島(1998)p.145
  8. ^ 矢島(1998)pp.138-144
  9. ^ 月本昭男 (1996). ギルガメシュ叙事詩. 岩波書店 
  10. ^ a b c d e f g 岡田・小林(2008)p.224
  11. ^ A. George, The Babylonian Gilgamesh Epic, 2003
  12. ^ 矢島(1998)p.63
  13. ^ 矢島(1998)p.188
  14. ^ 松村(2015)p.232
  15. ^ a b c d e f g 岡田・小林(2008)p.16
  16. ^ 岡田・小林(2008)p.248
  17. ^ 三笠宮(2000)p.251
  18. ^ 月本(1996)pp.21,84
  19. ^ 矢島(1998)p.117
  20. ^ 矢島(1998)p.128
  21. ^ A. George (2014). “Back to the Ceder Forest”. Journal of Cuneiform Studies 66: 69–90. 
  22. ^ 渡辺和子 (2016). “『ギルガメシュ叙事詩』の新文書―フンババの森と人間”. 『死生学年報2016』: 167-180. 
  23. ^ 矢島(1998)p.238
  24. ^ 矢島(1998)pp.194-195
  25. ^ 矢島(1998) pp.156,189
  26. ^ 月本(1996)p.115-116
  27. ^ 松村(2015)p.233
  28. ^ 三笠宮(2000)p.248
  29. ^ 松村(2015)p.217
  30. ^ 月本(1996)p.35
  31. ^ 月本(1996)pp.37-40
  32. ^ 矢島(1998)p.65
  33. ^ 岡田・小林(2008)p.239
  34. ^ 月本(1996)p.195/注p.17
  35. ^ a b 矢島(1998)p.161
  36. ^ 岡田・小林(2008)p.240
  37. ^ 月本(1996)p.334
  38. ^ 月本(1996)p.85
  39. ^ 矢島(1998)p.135
  40. ^ 月本(1996)p.156
  41. ^ 月本(1996)p.4
  42. ^ a b c 岡田・小林(2008)pp.243-247
  43. ^ 岡田・小林(2008)p.252
  44. ^ 岡田・小林(2008)p.255
  45. ^ 前田(2003)pp.138-144
  46. ^ 岡田・小林(2008)pp.iii,259
  47. ^ 岡田・小林(2008)p.250
  48. ^ 月本(1996)pp.307-313
  49. ^ 矢島(1998)p.199
  50. ^ 金子(1990)p.39
  51. ^ 前田(2003)p.141
  52. ^ 月本(1996)p.313
  53. ^ 矢島(1998)p.198
  54. ^ 月本(1996)p.324
  55. ^ 月本(1996)p.332
  56. ^ a b 月本(1996)pp.338-339
  57. ^ 月本(2011)p.63
  58. ^ 岡田・小林(2008)p.iii



ギルガメシュ叙事詩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 02:13 UTC 版)

イシュタル」の記事における「ギルガメシュ叙事詩」の解説

「ギルガメシュ叙事詩」も参照 あるときイシュタルは、フンババ征伐から帰ったウルク都城の王ギルガメシュ美しさに目を上げ求婚を迫る。彼女は様々な贈呈品や権力誇示してギルガメシュ誘惑しようとしたが、ギルガメシュイシュタル愛人選ばれ男たち不遇の死遂げていることを知っていたために、その誘い拒んだ屈辱覚えたイシュタルは、父アヌギルガメシュ振られたことを訴えたが、アヌもまたイシュタル気まぐれ愚かな行い数々知っていたため、泣きつくイシュタル取り静めようとする。だが可愛さ余って憎さ百倍とばかりに、イシュタルギルガメシュへの怒りは収まらなかった。復讐のため、ギルガメシュ殺害し彼が統治するウルクごと破壊しようとしたイシュタルは、アヌグガランナ天の雄牛)たる巨大な怪獣地上差し向けるよう指示し冥界から死者引き連れてくるなどと言ってアヌ脅してグガランナを造らせる。グガランナイシュタル導かれウルク降りると、地面割れ川の水干上がり、国を荒らし回って多く人間の命を奪ったギルガメシュ親友エンキドゥと共にグガランナ仕留めたが、イシュタル振られた上に雄牛をも退治されたことで更に激情し、ギルガメシュ向かって呪い吐いた。これを聞いたエンキドゥグガランナの腿を投げつけられ、「お前を捕まええすれば、あれ(天の雄牛)にしたのと同じようにお前もこうしてやりたいところだ!」と言い放たれるイシュタル泣く泣く退きウルクを後にした。

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ギルガメシュ叙事詩

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シャマシュ」の記事における「ギルガメシュ叙事詩」の解説

詳細は「ギルガメシュ叙事詩」を参照 主な活躍シーン主人公ギルガメシュとその親友エンキドゥフンババの住む行きレバノンスギ持ち帰ると言うので、ギルガメシュに旅の加護与える。ウルクの長老たちシャマシュを「(ギルガメシュ対する)あなたの神」と呼んで遠征の無事を祈りギルガメシュはなむけ言葉を掛け送り出したギルガメシュ旅の途中で見た夢には姿を変えて現れエンキドゥが言うには、シャマシュギルガメシュ守ってくれることを表す吉夢だという。予感通りシャマシュフンババ戦でギルガメシュエンキドゥ励まし言葉を掛け後押しし強い風起こして援護するなどフンババ征伐一役買ったギルガメシュエンキドゥ天の雄牛退治した際、ギルガメシュシャマシュにその心臓捧げ礼拝した。後に聖牛退治の件を受け神々エンキドゥの死定めると、シャマシュはその採決最後まで反論する判決翻ることはなく、無情にエンキドゥは死の呪いを受け病床伏せることとなる。死に恐怖気持ち不安定になったエンキドゥに、シャマシュは「野人から人間らしくなれた」ことや「ギルガメシュという友を得た」ことなどを述べエンキドゥの心を落ち着かせた。 エンキドゥの死後、シャマシュギルガメシュと共に手厚く葬儀執り行う親友の死直面したことで精神変化起き不死希求の旅に出るというギルガメシュ見て困惑したシャマシュは、「お前は何処まで彷徨うのか」と問い続けて「お前が求め生命は見つかることがないだろう」と諭したシャマシュ具体的に描かれる場面は、これを以って最後となる)。 また叙事詩本編から独立した別のエピソードで、ギルガメシュ冥界の穴落としてしまった私物楽器の類)をエンキドゥ取り戻しに向かう、というものがある。冥界降りるエンキドゥに、ギルガメシュは「冥界でしてはならぬこと」を教えるが、エンキドゥはそれらを守らなかったために冥界から帰れなくなってしまう。このことでギルガメシュエア泣きつくと、シャマシュ冥界天井穴を開け無事エンキドゥ救出した

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ギルガメシュ叙事詩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 02:44 UTC 版)

初夜権」の記事における「ギルガメシュ叙事詩」の解説

紀元前古代メソポタミア文明叙事詩ギルガメシュ王権限ひとつとして全ての民の初夜権有した」と伝えられている。

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ギルガメシュ叙事詩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 18:24 UTC 版)

エンリル」の記事における「ギルガメシュ叙事詩」の解説

詳細は「ギルガメシュ叙事詩」を参照 現存する最古英雄譚1つ『ギルガメシュ叙事詩』登場するエンリルは、理不尽な決定によって主人公ギルガメシュ親友エンキドゥ死に至らしめた。 エンリル起こした大洪水後のこと。エンリル人間たちへの脅威として、レバノン杉フンババという自然神守人として定めたフンババは全悪と呼ばれる恐ろしい怪物であり、太陽神ありながら正義司るシャマシュフンババ良く思っていなかった。そんなあるとき、主人公ギルガメシュシャマシュ加護を受けエンキドゥと共にフンババ退治成功するその後展開されるイシュタルギルガメシュの恋沙汰巡ってエンキドゥイシュタル激しく罵倒し挑発的な行動取ってしまう。この一連の事件受けてアヌ会議開催、するとエンリルエンキドゥ処するべきであると主張したエンキドゥ神意逆らえ落命し、ギルガメシュ悲嘆暮れ長らく死の恐怖陥った。 この神話でのエンリルエンキドゥ守護神であるが、守護対象であるエンキドゥ容赦ない制裁浴びせている。他に確認できる行いフンババ派遣したこと・ギルガメシュ知恵王権授けたことであり、会議シーン以外ではほとんど発言しない。なお、大洪水伝説ではエア衝突することの多いエンリルだが、『ギルガメシュ叙事詩』ではシャマシュ対立し口論を展開させている。

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ギルガメシュ叙事詩

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バナナ型神話」の記事における「ギルガメシュ叙事詩」の解説

ギルガメシュ叙事詩は、紀元前2600年頃に実在した考えられている、ウルク第1王朝の王「ギルガメシュ」(シュメール語読みでビルガメシュ(「老人若者である」の意))の物語紀元前3千年紀末(ウル第三王朝)にはシュメール語版成立し紀元前2千年紀初めにアッカド語版が成立した考えられている。1872年大英博物館ジョージ・スミスが、ニネヴェの「アッシュールバニパル在位紀元前668年 - 紀元前627年頃)王宮図書館」跡から発掘されアッシリア語版(標準アッカド語版、紀元前1300年~前1000年頃)粘土板文書楔形文字解読したことから、忘れ去られていた物語が再び世に知られることとなった物語11(+番外編1枚)の粘土板文書から成る物語の内容大きく第一から第八までの書板エンキドゥの死まで)と、第九から第十一までの書板不老不死探求)に分けられその内第九から第十一までの書板(特に第十一の書板)にかけて、不老不死賢人「ウトナピシュティム」(シュメール語版では「ジウスドラ」、アッカド神話アトラ・ハシース叙事詩紀元前18世紀成立)では「アトラ・ハシース」、ギリシア神話では「デウカリオーン」、旧約聖書創世記紀元前5世紀頃成立)では「ノア」インド神話では「マヌ」に相当する)と「大洪水」と「不老不死」について言及されている。 ここでは、ギルガメシュ叙事詩が創世記ギリシア神話先行しており、これらの間に何らかの関係があると考えられるので、比較のために、不要部分省いて記述することとする

※この「ギルガメシュ叙事詩」の解説は、「バナナ型神話」の解説の一部です。
「ギルガメシュ叙事詩」を含む「バナナ型神話」の記事については、「バナナ型神話」の概要を参照ください。

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