詩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/15 09:55 UTC 版)
詩型
多くの文化がそれぞれ独自の詩型を発展させてきた。成熟・完結し、もしくは「広く認められた」詩型では、押韻構成やメーターやその他の要素は一連の規則に基づく。エレジーのように比較的ゆるやかな構成規則を持つものから、ガザルやヴィラネルのように高度に様式化された構造を持つものまでがある。以下では複数の言語に跨って広く用いられている詩型の一部を記述する。
ソネット
ソネットは時代を通じて(西洋詩で)最も一般的な詩型であり、13世紀頃には14行から成り一式の押韻構成と論理構造に従う詩として成立していた。典型的には、ソネットの最初の4行は「a-b-a-b」の押韻構成を取り、主題を導入する。ソネットに纏わる慣習はその歴史と共に変化し、結果としてさまざまな異なったソネット形式が存在する。伝統的に、英語の詩人はソネットには弱強五歩格を用いる。特にスペンサー風ソネットやシェイクスピア風ソネットが代表的である。ロマンス諸語では、十一音節詩やアレクサンドラン(十二音節詩)が最も広く使用されるメーターであるが、イタリアでは14世紀以降ペトラルカ風ソネットが使用された。ソネットは恋愛詩と特に結び付けられ、鮮明なイメージに基づく詩語を用いることが多かったが、8行から6行へ、及び最後の二行連への移行に伴う転換はまたソネットを数多くの主題にとって使いやすくダイナミックな形式ともした。シェイクスピアの諸ソネットは英詩で最も有名なものの1つであり、20作が『Oxford Book of English Verse』に収められている[53]。
日本では明治以降蒲原有明、上田敏、中原中也、立原道造などがソネットでの詩作を行ったほか、戦中・戦後にもマチネ・ポエティクの詩人たちが定型押韻詩の試みとして押韻したソネットを集団的に書いた。
セスティーナ
プロヴァンスのトルバドゥールたちを起源とするセスティーナには6つのスタンザがあり、各々が押韻しない6行から形成され、最初のスタンザの各行末の単語が周期的なパターンで他のスタンザに再登場する。これを各語を2つずつ含む3行から成るスタンザが締め括る。
ヴィラネル
ヴィラネル(原義は「田園詩」)は5つの三行連と末尾の四行連から成る19行詩である。最初のスタンザの1行目と3行目に用いられた2つのリフレインが以降のスタンザの末尾で交互に用いられ、最後の四行連は両方のリフレインで締め括られるのが特徴となっている。それ以外の各行は「a-b」の交韻を持つ。19世紀末以降、ディラン・トマス[54]、W・H・オーデン[55]、エリザベス・ビショップ[56]などに見られるように英詩でしばしば用いられるようになった。全体として既存の詩型が用いられなくなる時代にあって、逆に広く用いられるようになった詩型である[要出典]。
パントゥーン
パントゥーン (en:pantoum) はヴィラネルに類似した比較的稀な詩型である。四行連の連続により構成されており、各スタンザの2行目と4行目が次のスタンザの1行目と3行目として繰り返される。
ロンドー
ロンドーは元々はフランスの詩型であり、2つの脚韻を用いた「5-4-6」の3連15行で書かれ、1行目の冒頭部がリフレインとして第2・第3連の最後の行に用いられる。
近体詩
近体詩は古典中国語の四声(平声、上声、去声、入声)を用いた各二行連での声調のパターンに基づく中国の詩型である。近体詩の基本形は二行連4つの計8行(8句)から成り、第2・第3の二行連の各行は対句となっている律詩である。対句では、平行関係にある行は対照的な内容を持つが単語(漢字)の間の文法関係は同一でなければならない。近体詩は豊かな詩語を持ち、引喩に満ちていることが多く、歴史や政治を含む幅広い主題に亘っていた。8世紀、唐王朝の杜甫や李白などがこの詩型の達人であった。律詩の他に、4行から成る絶句、12行以上から成る排律などがあり、1行の文字数が5文字の「五言」と7文字の「七言」があるなどのバリエーションがある。
近体詩以前から存在した比較的自由な漢詩の詩体は古体詩と呼ばれ、楽府などの形式がある。
短歌
短歌は、「5-7-5 7-7」のパターンに構成された5つの部分から成る31の「音字」(モーラと同一の音韻単位)で作られる日本の押韻しない詩(和歌)の形式である。前半の「5-7-5」のフレーズ(上の句)と後半の「7-7」のフレーズ(下の句)の間(もしくは他の位置)で調子や題材に転換があるのが普通である(句切れ)。短歌は奈良時代には柿本人麻呂などの歌人によって詠まれており、この時期に日本は中国から借用した形式による詩が大半であった時代から抜け出し始めた。短歌は当初は日本の定型詩(倭歌)のうち短いものであり、公の主題よりも個人的な主題を探求するのに大いに用いられ、従ってより形式張らない詩語を有した。13世紀までには短歌は日本の最有力な詩型となり、今日でも広く詠まれている。日本語以外の言語で短歌を書く詩人は31音の規則は無視する場合が多い。
連歌と呼ばれる多人数による短歌の連作も行われた。また短歌形式で風刺・皮肉・滑稽を盛り込んだものを狂歌と呼ぶ。
俳句
俳句は17世紀に俳諧における連句の最初の句である「発句」から発展して形成された、日本の大衆的な押韻しない詩型である。俳句は「5-7-5」のパターンに構成された3つの部分から成る17音字で作られ、縦1行に書かれるのが普通である。伝統的に俳句は、通常は3つの部分のいずれかの末尾に切れ字と呼ばれる流れを切る語が置かれ、また季語と呼ばれる季節の言葉を1つ含む。俳句の最も有名な唱道者は松尾芭蕉 (1644-1694) であった。芭蕉の句とその英訳例(6-5-5の16音節となっている)[57]:
- 富士の風や扇にのせて江戸土産
- the wind of Mt. Fuji
- I've brought on my fan!
- a gift from Edo
五七五形式で、季語や切れ字の規則もなくより庶民的な内容を扱うものを川柳と呼ぶ。
ルバーイイ
ルバーイイはアラビア、ウルドゥー、ペルシア、アゼルバイジャンの詩人たちに用いられる4行(四行連)の詩である。ペルシアの詩人ウマル・ハイヤームはその『ルバイヤート』(「ルバーイイ集」を意味する)で高名である。ウマル・ハイヤームのルバイヤートのエドワード・フィッツジェラルドによる英訳も有名であり、日本へもまずフィッツジェラルド訳からの重訳により紹介された。ハイヤームのルバイヤートから一例:
ペルシア語原文[58] | 日本語訳[59] |
---|---|
آن قصر که جمشید در او جام گرفت | ジャムシードが酒盃を手にした宮居は |
آهو بچه کرد و شیر آرام گرفت | 狐の巣、鹿のすみかとなりはてた。 |
بهرام که گور میگرفتی همه عمر | 命のかぎり野驢を射たバハラームも、 |
دیدی که چگونه گور بهرام گرفت | 野驢に踏みしだかれる身とはてた。 |
時調
時調は朝鮮の詩人が用いる短い音楽詩である。およそ14-16音節から成る3行で書かれ、合計44-46音節となる。各行の中間で休止が置かれるので、英語などでは3行ではなく6行で印刷されることもある。尹善道 (1587 - 1671) の作品から:
中期朝鮮語[60] | 現代朝鮮語 | 日本語訳 |
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내버디 멋치나 ᄒᆞ니 수석과 송죽이라 | 내 벗이 몇인가하니 수석과 송죽이라 | 僕に友達が何人いるかって? 水に石に、竹に松。 |
동산의 ᄃᆞᆯ오르니 긔더옥 반갑고야 | 동산에 달오르니 그 더욱 반갑도다 | 東の丘に昇る月も楽しい仲間。 |
두어라 이다ᄉᆞᆺ밧긔 또더ᄒᆞ야 머엇ᄒᆞ리 | 두어라, 이 다섯 밖에 또 더해야 무엇하리 | この5人の仲間の他に、どんな楽しみが要るというんだい? |
頌歌
頌歌(頌詩、オード)はピンダロス[61]などの古代ギリシア詩人やホラティウスなどのラテン詩人によって作り出された。ギリシア・ローマの影響を受けた数多くの文化で頌歌の形式が見出される[注釈 23]。頌歌は通常ストロペー、アンティストロペー、エポードの3つの部分から成る。アンティストロペーは類似した韻律構造と、伝統にもよるが、類似した押韻構造を持つ。対比的に、エポードは異なった配置と構造で書かれる。頌歌はフォーマルな詩語を持ち、概して厳粛な主題を取り扱う。ストロペーとアンティストロペーは主題を異なった(しばしば相反する)視点から見ており、エポードでは両視点からより高い水準へと移行し、あるいはその根底にある問題を解決する。頌歌はしばしば2組の合唱隊(または2人)で朗読もしくは詠唱されることを意図しており、一方がストロペーを、もう一方がアンティストロペーを語り、両者がエポードを語る。時代と共に、頌歌の形式と構造には相当なバリエーションが発達したが、概してピンダロスとホラティウスの頌歌の影響を残している。西洋以外で頌歌に類似したものとしてペルシアのカスィーダ (en:qasida) がある。
ガザル
ガザル(en:ghazel; アラビア語: ghazal, ペルシア語: ghazel, トルコ語: アゼルバイジャン語: gazel, ウルドゥー語: gazal, ベンガル語: gozol〔シレット方言を含む〕)はアラビア、ペルシア、トルコ、アゼルバイジャン、ウルドゥー語、ベンガル語の詩で共通して用いられている形式である。古典的な形式では、ガザルは2行目の終わりに共通のリフレインを持つ押韻した5から15の二行連で構成される。このリフレインは1音節もしくは複数の音節から成り、その直前で押韻する。各行は同一のメーターを持つ。二行連はそれぞれが完結した思考を持ち独立しており、ガザル全体が「叶わぬ愛」や神性などの主題を試案する形になっていることが多い。最後の二行連に作者の署名が書かれるのが普通である。
多くの言語で長い歴史を持つ他の詩型と同様に、ガザルにもさまざまな変種が形成され、その中にはウルドゥー語のほとんど音楽にも等しい詩語を持つ形式も含まれる。ガザルは伝統的にスーフィズムとの親和性があり、数多くのスーフィズム宗教の作品がガザル形式で書かれた。比較的規則正しいメーターとリフレインの使用は呪術的な効果を生み出し、これがスーフィズムの秘教的な主題を良く補完している。この形式の達人としては、13世紀ペルシアのコンヤ(現在のトルコ)の詩人であったジャラール・ウッディーン・ルーミーがいる。
アクロスティック
アクロスティック(後期ギリシア語 akrostichon < akros「先頭」 + stichos「詩行」)、「折句」はアルファベットなどで書かれた詩やその他の書き物で、各行/段落/その他の反復構造の最初の文字/音節/単語を合わせると別のメッセージとなるものである。この窮屈な形式は、想起を簡単にするための記憶術として使われたものであるのかもしれない。有名なアクロスティックとして、ギリシア語での神を称える文句 Ιησούς Χριστός, Θεού Υιός, Σωτήρ「イエス・キリスト、神の子、救世主」がある。最初の文字を綴り合わせると ΙΧΘΥΣ となり、これはギリシア語で「魚」を意味した。よって、初期のキリスト教徒は頻繁に魚を用い、今日でもイエス・キリストのシンボルとなっている[62]。
日本の折句としては「かきつばた」を折り込んだ伊勢物語の和歌「からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」が高名である。今日では「縦読み」としても親しまれている。
カンツォーネ
イタリア語で文字通り「歌」を意味するカンツォーネ(複数形カンツォーニ)はイタリアもしくはプロヴァンスの歌・バラッドである。マドリガルに類似した歌曲のタイプを指して使われることもある。シンプルでメロディアスな曲も、特にイタリア人以外によるものの場合カンツォーネと呼ばれる場合がある。モーツァルト『フィガロの結婚』のアリア「恋とはどんなものかしら」が典型的な例の1つである。
カンツォーネは(曲に合わせ)5-7スタンザで構成され、最初のスタンザの押韻構成と行数(通常7-20行)を引き継ぐ。典型的には各行は11音節である。
四行連詩
四行で構成されるスタンザ形式の詩で「aabb」「abab」「abba」「abcb」などの押韻構成でなる。ヨーロッパの詩の中で最も一般的なスタンザ形式である。
リメリック
「a-a-b-b-a」の押韻構成の厳格な形式をもつ五行詩で滑稽五行詩、五行戯詩とも呼ばれる。リメリックという名前はアイルランドのリムリック県(リメリック県とも)から由来している。イギリスではエドワード・リアによって広まった。
シンケイン
cinquain(シンケイン < フランス語: cinq 「5」)はアメリカ合衆国の詩人アデレイド・クラプシーが考案した詩型を特に指す。クラプシーの歿した翌年の1915年に刊行された全詩集に収められたのがその最初の例である。シンケインは日本の俳句と短歌にその発想を得ていた。
五行連詩
五行連詩 (quintain, quintil) は5行から成るパターンを用いた詩全般を指す用語であるが、その中でも特有の規則とガイドラインによって定義される特別な詩型が存在する。他に、現代日本では「5行で書く」ことのみを規制とした五行詩や五行歌という詩型もある。
その他の形式
以上の他にも無数の詩の形式が存在する:
- ミンネザング - 12-14世紀ドイツの恋愛詩。
- パストゥレイユ - 女羊飼いの恋愛を扱うトルバドゥールの詩型。
- en:Stev - スカンジナビアの抒情詩の形式。
- ヨイク (Yoik) - サーミ人の伝統的な歌。
- 琉歌 - 八八八六を基本形とする琉球諸島の定型詩。
- クローン詩形 (klon)、クローン詩形 (khlong) - タイの定型詩。詩形 (タイ文学)を参照。
- フォークソング - 口承による音楽的な詩の伝承(を本来は指した)。
- en:Carmina figurata - 普通に書かれた詩の外形が何らかの物の形になっている詩。文字を直接的に配置したものはカリグラム。
- 具体詩 (en:Concrete poetry) - 語の配置、活字、色その他の視覚的効果を、使用されている語の意味を補いもしくは脚色するのに用いる詩。
- ポエトリー・スラム (en:Poetry slam) - スポークン・ワード詩の現代形で、独特の発表形式(朗読合戦)としばしば関連付けられる。日本では「詩のボクシング」が知られている。
- ダブ・ポエトリー - ダブやレゲエのリズムに合わせて朗詠される朗読詩の一種。ダブ・ポエトリーを行う詩人のことをダブ・ポエットといい、リントン・クエシ・ジョンソンらが著名。
- 定型詩 - 定型を持つ詩の総称。
- 自由詩 - 従来的なメーターに代わり、リズム的なケイデンスや反復、フレーズ、イメージ、文法的パターンなどに基づいた詩。
近現代日本の詩の分類
明治15年の『新体詩抄』に始まる明治時代の新体詩は、日本古来の文語と七五調によって西洋詩 (poetry) を再現しようと試み[63]、同じ明治期のうちに言文一致運動によりその否定を迎える。このため文語を用いるか否かで文語詩と口語詩、七五調などの音数律を用いるか否かで定型詩と自由詩を区別し、その組み合わせで「文語定型詩」「文語自由詩」「口語定型詩」「口語自由詩」(行分け詩)の分類が行われる[注釈 24]。また明治以降の、従来の和歌・俳句・漢詩などではない西洋式の詩を近代詩(新体詩を含む場合と含まない場合がある[64])、戦後のそれを現代詩と呼ぶ。短歌や俳句で音数律に従わないものは自由詩ではなく自由律と呼ばれる。
注釈
- ^ 今日ではデジタルメディアの特性を取り込んだ詩 (en:Digital poetry) も行われ、また小説投稿サイトなど投稿形式でインターネットに詩を載せる営みもある。
- ^ 逆に日本の読者の場合、適当に行分けされた断片的な書き物を想像するかもしれないが、(優れたものであれば)そうした詩にも隠れたリズムや音調があるものである。萩原朔太郎『詩の原理』1928年 。2009年12月30日閲覧。"すべての詩は、必ずしも規約された形式韻文ではないけれども、しかもすべての詩は――自由詩でも定律詩でも――本質上に於て音律を重要視し、それに表現の生命的意義を置いている。"。
- ^ これらの出典から明らかなように、(少なくとも優れた詩人の作品においては)対比やサプライズのような詩的ではない効果を得たり不規則なリズムを詩的に用いたりといった詩的な理由があるものである。
- ^ 多くの学者、とりわけホメロスの流儀やバルカン諸国の口承叙事詩の研究者たちは、初期の文書が大きな詩のユニットを構築するためのブロックとして繰り返し句を用いるなどのより古い詩の伝統の跡をはっきりと示しているのではないかと示唆している。記憶の補助として筆記が利用できるようになる前にはリズミカルで繰り返しのある形式が長い物語を記憶し再び語るのを容易にしたのであろう。
- ^ 例えば、16世紀のアラブ世界では外交の多くは詩的な形式を通じて行われた。See Natalie Zemon Davis. Trickster's Travels. Hill & Wang, (2006), ISBN 0809094355.
- ^ 政治的毒舌の例としてはリベル(中傷文)や、マルティアリスとカトゥルスの古典的エピグラムなどがある。
- ^ 古代ギリシアでは、医学や学問的な作品はしばしば韻文形式で書かれた。1500年後のイブン・スィーナーの医学的テクストの多くも韻文であった。
- ^ イブン・ルシュドはアリストテレスの『詩学』の、原典の例文をアラビアの詩人たちのものに置き換えた注釈を著した。 See, for example, W. F. Bogges. 'Hermannus Alemannus' Latin Anthology of Arabic Poetry,' Journal of the American Oriental Society, 1968, Volume 88, 657-70, and Charles Burnett, 'Learned Knowledge of Arabic Poetry, Rhymed Prose, and Didactic Verse from Petrus Alfonsi to Petrarch', in Poetry and Philosophy in the Middle Ages: A Festschrift for Peter Dronke. Brill Academic Publishers, (2001), ISBN 90-04-11964-7.
- ^ 例えば、イマヌエル・カント『判断力批判』(J.H.バーナード訳、p.131)では詩の自意識的な抽象と美しい形式という性質は言葉による芸術の中で最高位へと詩を引き上げ、より論理的・物語的な散文はその下に来るものとされていた。
- ^ Negative Capabilityに適切な訳語を当てるのは極めて困難である。藤本周一 (3 2005). “John Keats: “Negative Capability”の「訳語」をめぐる概念の検証” (pdf). 大阪経大論集 55 (6): 5 - 27. ISSN 04747909 2009年12月2日閲覧。.
- ^ "A poem should not mean / But be" 『詩論』という題名はホラティウスの同名の評論への言及である。この詩は詩がどのようなものでなければならないかの宣言を列挙し、この著名な2行で結んでいる。[1]
- ^ 『失楽園』の2つの版がプロジェクト・グーテンベルクで利用できる。Project Gutenberg text version 1 and Project Gutenberg text version 2.
- ^ ロシア語原典[2]と、チャールズ・ジョンストンによる英訳[3]が利用可能。英語版ウィキペディアのEugene OneginとNotes on Prosodyの項目およびその注釈にある、翻訳上の問題点や、ロシア語と英語の弱強四歩格の違いに関する議論も参照。
- ^ 脚韻、頭韻、類韻、子音韻はまた反復する音声のパターンからは分離された意味をも持ちうる。例えば、ジェフリー・チョーサーは古英語の詩を嘲笑し、人物を時代遅れに見せるために過度の頭韻を使用したし、クリストファー・マーロウは"th", "f", "s"による頭韻と子音韻の組み合わせを用いて、女々しく描写したい人物に舌足らずに喋らせた。一例として、マーロウ『タンバレイン大帝』の冒頭のスピーチを見よ(Project Gutenberg)。
- ^ 日本語はほぼ全てのモーラが開音節で、全てで100種類強しかないので単調になり押韻には適さなかった(金田一春彦『日本語の特質』NHKブックス、1991年)。「日本語の音韻」も参照。
- ^ 日本語でも藤原公任の和歌「たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほきこえけれ」や島崎藤村『千曲川旅情の歌』「こもろなる こじょうのほとり」のようにモーラ単位の頭韻法が散見される。
- ^ フランス詩法では、place/masseのように末尾が無音のeで終わる韻を女性韻、pleur/fleurのようにそれ以外で終わる韻を男性韻と呼ぶ。両者を交互に配する交韻を正則とし、他に「a-a-b-b」と配する平韻、「a-b-b-a」と配する抱擁韻がある(fr:rime参照)。英詩では最後の音節にアクセントがあれば男性韻、なければ女性韻(この場合2音節以上の押韻を求められる)となる。
- ^ 実際に、ウマル・ハイヤームの『ルバイヤート』の翻訳にあたって、エドワード・フィッツジェラルドは原詩の押韻構成を保持しようと試みた。この翻訳はプロジェクト・グーテンベルクで利用できる[4]。
- ^ ウィキソースに原典、英訳あり。
- ^ モダニズム以前のカリグラムの好例として、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』での、鼠の話が長い尻尾の形になっている詩がある。ウィキソースの原文参照。
- ^ 詩での象徴主義と隠喩の用例として良く知られたものにサミュエル・テイラー・コールリッジ『老水夫行』がある。水夫に殺される信天翁は伝統的に幸運の象徴であり、その死には象徴的な含意がある。
- ^ 『イソップ寓話』は紀元前500年頃に最初の記録が現れて後、何度となく韻文と散文の双方で翻訳されてきた。時代を超えた単体のアレゴリー詩の情報源として恐らく最も豊かなものであろう。その他の主要な例として、13世紀フランスの詩『薔薇物語』、ウィリアム・ラングランドの『農夫ピアズの夢』、17世紀フランスのジャン・ド・ラ・フォンテーヌ『寓話集』[5](イソップに影響されている)なども参照。
- ^ ジョン・ドライデンによるホラティウスの頌歌の翻訳が、英語圏でのこの形式の成立に特に影響を持った。ただしドライデンはホラティウスが行わなかった押韻を訳詩で用いている。
- ^ 福永武彦らマチネ・ポエティクの詩人たちによるソネットなどの押韻定型詩の試みも存在した。
- ^ シェイクスピアは『ハムレット』においてそのような分析を戯画化し、ジャンルが「悲劇詩、喜劇詩、歴史詩、田園詩、田園喜劇詩、歴史田園詩、悲劇歴史詩、悲劇喜劇歴史田園詩…」から成っていると書いた。
出典
- ^ 「(創造のうち)音楽と韻律に関わる物のみがポイエーシスと呼ばれ、この意味でのポイエーシスを有する者のみがポイエーテースと呼ばれるのです。」(プラトン『饗宴』)
- ^ "詩者、志之所之也。在心為志、發言為詩。" 「詩とは志の赴くところである。それが心の中にあるのが『志』、言葉として発したものが『詩』である。」(『詩経』序)
- ^ 外山正一、井上哲次郎、谷田部良吉『新体詩抄』1882年8月 。2023年2月26日閲覧。"均シク是レ志ヲ言フナリ、而シテ支那ニテハ之ヲ詩ト云ヒ、本邦ニテハ之ヲ歌ト云ヒ、未ダ歌ト詩トヲ総称スルノ名アルヲ聞カズ、此書ニ載スル所ハ、詩ニアラス、歌ニアラス、而シテ之ヲ詩ト云フハ、泰西ノ「ポエトリー」ト云フ語即チ歌ト詩トヲ総称スルノ名ニ当ツルノミ、古ヨリイハユル詩ニアラザルナリ"。
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- ^ See Robert Pinsky's discussion of the difficulties of replicating terza rima in English in Robert Pinsky (trans). The Inferno of Dante: A New Verse Translation. (1994).
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- The Poetics of Aristotle - プロジェクト・グーテンベルクの22ページ参照。
- ^ 『ジュリアス・シーザー』第3幕第2場。ウィキソースの原文参照。
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- ^ 財団法人新村出記念財団 編『広辞苑』(第5版)岩波書店、1998年11月。ISBN 4-00-080111-2。"広義には新体詩を含み、狭義には文語自由詩以後を指す。"。
- ^ ジャンル理論に関する総合的な議論については、Daniel Chandler's [Introduction to Genre Theory[7]も参照。
- ^ 一例としてNorthrop Frye. Anatomy of Criticism. Princeton, New Jersey: Princeton University Press, (1957)(ノースロップ・フライ『批評の解剖』)を見よ。
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- ^ 松本洋子 (7 1987). “挽歌の中の人麻呂” (pdf). 日本文學誌要: 13 - 34. ISSN 02877872. NAID 110000208340 2010年1月2日閲覧。.
- ^ ウィキソース原文
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