よるのガスパール【夜のガスパール】
ラヴェル:夜のガスパール
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ラヴェル:夜のガスパール | Gaspard de le nuit | 作曲年: 1908年 出版年: 1908年 初版出版地/出版社: Durand |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | オンディーヌ "Ondine" | 6分30秒 | No Image |
2 | 絞首台 "Le gibet" | 6分30秒 | No Image |
3 | スカルボ "Scarbo" | 9分00秒 | No Image |
作品解説
「夜のガスパール」というタイトルは、ボードレールにも影響を与えたという夭折した無名の詩人アロイジュス・ベルトラン(1807~1841)の64篇から成る散文詩集のタイトルである。ラヴェルはこの中から幻想的で怪奇性の強い3篇を選び、そのイメージに大変な技巧を織り交ぜながら情熱的なピアノ曲に仕上げた。
1.オンディーヌ / "Ondine"
第1曲の「オンディーヌ」では、細かく刻まれた右手の連打の響きの中に、優雅で幻想的なメロディーが浮ぶ。人間の男に恋をしたオンディーヌ(水の精)が結婚をして湖の王になってくれと頼む。男がそれを断ると、オンディーヌはくやしがり、しばらく泣くが、やがて大声で笑い、激しい雨の中を消え去る。この上なく緻密な書法によって、水の世界を見事に表現している。
2.絞首台 / "Le gibet"
絞首刑囚の死を告げるような鐘の音が、終始一貫して変ロの音で刻まれる。夜になると、その鐘の音に交じって聞こえてくるのは、風か、死者のすすり泣きか、頭蓋骨から血のしたたる髪をむしっている黄金虫か……。不気味な夜の世界、死の世界を、鋭い和声感やリズムをもって、リアルに描き出している。
3.スカルボ / "Scarbo"
「スカルボ」とは悪戯好きの妖精のことで、部屋の中を目まぐるしくかけめぐり、悪戯ばかりする。この様子をかなり特殊なテクニックを含む名人芸的な難技巧を盛り込み、鮮やかに表現している。あらゆるピアノ曲の中でも技術的に最も弾きにくい難曲として知られる1曲である。
夜のガスパール
夜のガスパール
夜のガスパール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/17 04:22 UTC 版)
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『夜のガスパール』(よるのガスパール、Gaspard de la nuit)は、フランスの詩人ルイ・ベルトランによる詩集である。
モーリス・ラヴェルが作曲したピアノ独奏のための同名の組曲は、この詩集に収められた3篇の詩を題材としている。
概要
『夜のガスパール』は、ルイ・ベルトラン(雅号アロイジウス、1807年 - 1841年)の遺作詩集である。ベルトランは生前は無名だったが、没後再評価された。
1842年に アンジェとパリで、友人の彫刻家ダヴィッドの努力により、Victor Pavie書店で刊行された。著者の序2、ヴィクトル・ユーゴーへの献辞、詩52篇、断篇13篇で構成されている。1842年の初版にはシャルル=オーギュスタン・サント=ブーヴの序があるが、再刊出版では省かれる版が多い。作者原稿に基づくゲカン版(1925年)が定本とされている。断篇とされた13篇を除く部分は、1836年に成立していた。
西洋文学で散文詩という様式を確立し、ボードレールの散文詩に大きな影響を与えた。アンドレ・ブルトンは、幻想性に注目し評価した。
日本語訳
- 伊吹武彦 訳、青木書店、1939年、全訳
- 伊吹武彦 訳、改訳『世界名詩集』15巻に収録、平凡社、1969年、序2+ユーゴーへの献辞+正編52+「絞首台」
- 城左門 訳、操書房、1948年、抜粋
- 及川茂 訳、岩波文庫、1991年/水声社 1992年、全訳
脚注
外部リンク
- 『夜のガスパール 抄』:新字新仮名 - 青空文庫(庄野健訳)
固有名詞の分類
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