アラム文字とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 言葉 > 表音文字 > アラム文字の意味・解説 

アラム‐もじ【アラム文字】

読み方:あらむもじ

Aramaic letter》北セム系表音文字子音だけを表す22文字からなり、アラビア・ヘブライ・シリア、さらにソグド・ウイグル・モンゴルなど各文字母体となった


アラム文字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/21 09:41 UTC 版)

アラム文字
アショーカ王の碑文。ギリシア文字とアラム文字による2言語併記。紀元前3世紀カンダハール
類型: アブジャド
言語: アラム語ヘブライ語シリア語マンダ語
時期: 紀元前600年頃から紀元後600年
親の文字体系:
子の文字体系: ヘブライ文字
シリア文字
ナバテア文字
パルミラ文字
マンダ文字
パフラヴィー文字
ソグド文字
Unicode範囲: U+10840-U+1085F
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号 (IPA) を含む場合があります。
テンプレートを表示
メロエ 前3世紀
カナダ先住民 1840年
注音 1913年

アラム文字(アラムもじ)は、かつての中東国際語リンガ・フランカ)であった古代アラム語英語版(古代アラム語、帝国アラム語、中期アラム語、後期アラム語などのアラム語に属す現代アラム語の祖語)の文字。中東系文字の大部分は、この文字から派生した。フェニキア文字と密接な関係がある。

概要

アラム文字は、ユーフラテス川上流からシリア地域にかけて定住し、地域の交易を担ってきたアラム人によって、近隣地域で用いられていたフェニキア文字を転用する形で生み出された。新アッシリア新バビロニアアケメネス朝ペルシャなどの帝国が地域の覇権を握った時代に、領内にアラム人・アラム語と共に広がり、かつてのメソポタミアバビロニア地方にて使われていた楔形文字から代替されると急速に普及した。また、古代ユダヤ人が使用していた古ヘブライ文字は、アラム文字に代替されたが、アラム文字からは現ヘブライ文字が生み出されている。

アラム文字は時代・地域によって非常に多くの字形があり、アラム文字から派生した他の言語の文字も非常に多い。ペルシア帝国時代に行政言語としてエジプトからアフガニスタン中央アジアインドまで広範囲に渡って普及し、紀元前後にはアラム語の諸方言のみならずパルティア語やソグド語などの中期イラン語の表記にもメソポタミア地方で使用されていたアラム文字が用いられた。

一覧

フェニキア文字 名称 字形 フォント ヘブライ文字 シリア文字 ナバテア文字 アラビア文字 音価
Ālaph 𐡀 א أ /ʔ/; /aː/, /eː/
Bēth 𐡁 ב ب /b/, /v/
Gāmal 𐡂 ג ج /ɡ/, /ɣ/
Dālath 𐡃 ד د,ذ /d/, /ð/
𐡄 ה /h/
Waw 𐡅 ו و /w/; /oː/, /uː/
Zain 𐡆 ז ز /z/
Ḥēth 𐡇 ח خ,ح /ħ/
Ṭēth 𐡈 ט ط /tˤ/
Yudh 𐡉 י ي /j/; /iː/, /eː/
Kāph 𐡊 כ ך ك /k/, /x/
Lāmadh 𐡋 ל ل /l/
Mim 𐡌 מ ם م /m/
Nun 𐡍 נ ן ن /n/
Semkath 𐡎 ס س /s/
‘Ē 𐡏 ע غ,ع /ʕ/
𐡐 פ ף ف /p/, /f/
Ṣādhē , 𐡑 צ ץ ص /sˤ/
Qoph 𐡒 ק ق /q/
Rēsh 𐡓 ר ر /r/
Shin 𐡔 ש ش /ʃ/
Tau 𐡕 ת ت,ث /t/, /θ/

アラム文字から派生した文字

アラム語はアケメネス朝の公用語であり、アケメネス朝の継承者を自称したパルティアでもアラム語を採用した。このため、非常に多くの言語でアラム文字そのものか、アラム文字に由来する文字体系が使われるようになった。

セム系の言語の表記に使われたものではヘブライ文字パルミラ文字ナバテア文字マンダ文字シリア文字アラビア文字がある。

イラン語派の言語の表記にもアラム文字やシリア文字、およびアラム文字系統のパフラヴィー文字アヴェスター文字ソグド文字が使われた。ソグド文字からはまたウイグル文字モンゴル文字満洲文字などが派生した。

突厥文字もアラム文字系統である可能性が高い。

インドカローシュティー文字はアラム文字の系統であるが、アブギダに変化している。ブラーフミー文字についてもアラム文字由来説がある。

Unicode

Unicode では、以下の領域に次の文字が収録されている。

U+ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
10840 𐡀 𐡁 𐡂 𐡃 𐡄 𐡅 𐡆 𐡇 𐡈 𐡉 𐡊 𐡋 𐡌 𐡍 𐡎 𐡏
10850 𐡐 𐡑 𐡒 𐡓 𐡔 𐡕 𐡗 𐡘 𐡙 𐡚 𐡛 𐡜 𐡝 𐡞 𐡟

参考文献

  • 「アラム文字」『言語学大辞典 別巻 世界文字辞典 』三省堂書店、2001年 7月10日発行

外部リンク


アラム文字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/16 03:59 UTC 版)

準母音」の記事における「アラム文字」の解説

アラム語表記では ', h, w, y の子音を表す文字準母音として用いられたが、このうち ' と h は語末母音のみを表した。w は/uː, oː/を、y は/iː, eː/を表した。h は/aː, eː/を表したが、/eː/を表す用途特定の語に限られ、後に地域によって y または ' に取ってかわられた。時代が下がるにつれて h で /aː/ を表すことも少なくなり、' に取ってかわられた。' は h と同じく /aː, eː/を表したが、初期においては /aː/ を表すのは一部の語に限られ、また /eː/ を表すようになったのは中期および後期アラム語になってからである。 初期アラム語では長母音にのみ準母音用いられた。中期アラム語紀元前200年以降)では短母音準母音表記されるようになっていったが、これは母音長短区別消滅反映する考えられる。 アラム文字から派生したマンダ文字では、母音はほとんど常に表記されるようになり、ほとんどアルファベット近くなっている。

※この「アラム文字」の解説は、「準母音」の解説の一部です。
「アラム文字」を含む「準母音」の記事については、「準母音」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「アラム文字」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「アラム文字」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



アラム文字と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アラム文字」の関連用語

アラム文字のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アラム文字のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
中西印刷中西印刷
世界の文字LOD by 中西印刷 is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアラム文字 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの準母音 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS