RCEPの最終的な合意内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 02:09 UTC 版)
「地域的な包括的経済連携協定」の記事における「RCEPの最終的な合意内容」の解説
最終的な合意内容の主な内容 1 物品の貿易 日本の輸入 農産品 重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)を関税削減・撤廃から除外。 中国に対しては、鶏肉調製品や野菜等(たまねぎ、ねぎ、にんじん、しいたけ、冷凍さといも、冷凍ブロッコリー、うなぎ調製品等)を関税削減・撤廃の対象 農林水産品の関税撤廃率は、TPP、日EU・EPA(各82%)よりも大幅に低い水準(対ASEAN・豪州・NZは61%、初のEPAとなる中国は56%、韓国は49%)に抑制 鉱工業品 関税撤廃率: 98.6% (品目数ベース)。国内産業の厳しい革靴その他の履物等は、対ASEAN・豪州・ニュージーランドに対しては、16年目撤廃、関税維持、中国に対しては21年目撤廃、除外等、韓国に対しては除外。衣類については、対ASEAN・豪州・ニュージーランドに対しては、ほとんどは即時、一部は16年目撤廃等、中国に対してはほとんどは16年目、一部は11年目撤廃、韓国に対してはほとんどは16年目撤廃 日本の輸出 対日関税撤廃率(品目数ベース)86%~100% (ASEAN・豪・NZ) 、86%(中国)、83%(韓国) 農産品 中国のほたて貝やぶり、韓国の菓子(キャンディー及び板チョコレート)、インドネシアの牛肉や醤油など輸出関心品目で相手国の関税撤廃を獲得。 鉱工業品 中国に対しては、 対日無税品目の割合が、上昇(8%→86%)、韓国に対しては対日無税品目の割合が、上昇(19%→92%)、対ASEANで、既存EPAからの上積みを確保。 2 原産地規則 他の締約国の原産材料を自国の原産材料とみなすこと(「累積」)ができる旨を規定。 第三者証明及び認定輸出者制度を採用し、一定期間以内に生産者・輸出者自己申告も導入する旨を規定。これらに加え、日本は、発効時から輸入者自己申告を導入。 3 サービスの貿易 サービスの貿易に関する内国民待遇義務、市場アクセス義務、最恵国待遇義務、規制・措置の透明性の確保等を規定。金融サービス、電気通信サービス及び自由職業サービスに関する追加的なルール等も規定。 4 自然人の一時的な移動 物品の貿易、サービスの提供又は投資の遂行に従事する自然人の一時的な入国及び滞在の許可及び手続等を行う際のルールを規定。締約国が他の締約国の自然人の一時的な入国又は一時的な滞在を規制するための措置を適用することや、査証等の出入国管理に関する文書を取得するよう要求することは認められており、また、日本国の附属書Ⅳでは、GATS及び日本の締結済みのEPAを上回る約束は行っておらず、例えば「単純労働者」の受入れを義務付けるような規定はない。従ってRCEPが移民の自由化を規定しているということはない。 5 投資 内国民待遇義務、最恵国待遇義務及び特定措置の履行要求(技術移転要求やロイヤリティ規制を含む)の禁止(これらの義務に適合しない各締約国の措置は、留保表に記載。)、投資財産に対する公正かつ衡平な待遇並びに十分な保護及び保障を与える義務や、正当な補償等を伴わない収用の禁止等について規定。 6 知的財産 著作権及び関連する権利、商標、地理的表示、意匠、特許等を対象に、知的財産権の取得や行使について規定。 周知商標や部分意匠の保護、悪意の商標出願の拒絶・取消の権限、職権による輸入差止め手続の確保に関する義務等を規定。 知的財産権の取得及び行使についてTRIPS協定を上回る規定を置く。 TRIPS協定及び公衆の健康に関するドーハ宣言において正当に認められた柔軟性を十分に利用する権利を確認することにより交渉中に提起された医薬品の発展途上国への供給阻害への懸念を払拭、また遺伝資源、伝統的な知識及び民間伝承に関連する規定も含む。 7 電子商取引 電子商取引の促進のため、電子的送信に対する関税の不賦課、コンピュータ関連設備の設置要求の禁止、情報の電子的な手段による越境移転(データ・フリーフロー)、電子署名、消費者保護等について規定。 8 紛争解決 協定の解釈又は適用に関する締約国間の紛争を解決する際の協議、パネル手続等について規定。
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