2015年 韓国
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「中東呼吸器症候群」の記事における「2015年 韓国」の解説
2015年5月4日、バーレーンに半月間滞在した68歳の韓国人男性が、MERSに感染とは知らずに大韓民国に帰国し、11日に発症、複数の病院(忠清南道牙山市屯浦面のソウル医院、京畿道平沢市の平沢聖母病院、ソウル特別市江東区千戸洞の365ヨルリン医院)で受診を行い、20日にMERSと確定し、韓国は中央防疫対策本部を設置した。他の病院では小規模な感染であったが、平沢聖母病院では大きな感染が起こり、韓国内で感染が広がった。 最初の感染者が入院した平沢聖母病院8階8104号室は、一つの病室を二つに分割したために排気口が存在しなかった。当初、韓国防疫当局は密接接触者(2m以内)のみを監視対象としていたが、8階の滞在者に感染が広がってしまった。原因は不明だが、エアコンによるエアロゾル形態のウイルスの拡散が疑われている。 5月26日、上記感染者に接触し、隔離対象であるはずの家族が、アシアナ航空723便(OZ723、機材はHL7789、乗員乗客166名)で香港へと飛んだ。香港国際空港到着時に発熱があり咳をしていたため、検疫官が「MERS患者と接触したか、MERS患者がいる病院に訪問したかどうか」などを尋ねたが、すべてを否定した。空港からバスで沙頭角(中国語版)を経由して広東省深圳市と恵州市へと移動した。その後恵州市で隔離され、中国国内でも航空機やバスの同乗者を含めた接触者追跡調査(コンタクトトレーシング)及び隔離が始まっている。29日、感染が確認された。なお、感染者を載せたアシアナ航空機は、28日まで消毒しないままフライトを行っており、27日には名古屋の中部国際空港、中国の大連・長沙でも発着している。 6月2日の報道では、韓国で25人が感染していて(死者2人を含む)、これは中東地域以外での最大感染者数であり、3次感染者も出始めている。韓国では臨時休業を行う学校が増え、6月4日には1000校を越えた。感染者との接触の可能性がある人の自宅隔離が行われているが、自宅隔離を無視してゴルフ場へ出かける人も現れており、韓国人の市民意識の低さが問題となっている。 6月5日、韓国保健福祉部長官は、不安解消のために大きな感染の起きた平沢聖母病院の名前を公開し、病院訪問者に対し相談窓口を設けた。同日、全羅北道淳昌郡の村で、自宅隔離を守らずに平沢市から帰ってきて多くの村民と接した感染疑い患者がMERS陽性と確認され、その村全体が危険地域に指定され、出入りが禁じられ隔離されることとなった。なお、この患者と接触したとされ、淳昌郡で自宅隔離を要求された医師夫婦は、6月6日韓国からフィリピンへ出国し、翌7日に帰国した。2人は保健当局から隔離の通知を受けたことさえなくて、メディアで初めて患者と接触したことを知ったと主張した。 6月6日、京畿道富川市は、京畿道保健環境研究院の予備検査で非隔離対象者にMERS陽性反応が出たと発表し、韓国国立保健環境研究院で疫学調査を行った。 台湾では、ソウルを感染症警戒地域に指定し、住民に対し、現地医療機関への出入りの自粛を求めている。ベトナムでは、住民に対し、感染地域への旅行の自粛を求めている。ロシア、UAE、香港、マカオも渡航自粛を勧告した。 6月14日、釜山広域市で初めての死者が出た。同日、隔離対象者の1人が12日に隔離室の扉を破壊し、病院から逃げ出したことも明らかにした。この対象者はのち、MERS陽性と認定された。また、この患者は潜伏期間内の6月5日から6月8日までに家族・友人9人とともに済州島の西帰浦で旅行したことも判明したため、現地のホテル・観光地の職員や患者が利用した航空会社の社員に対して隔離措置を取らざるを得ない 6月15日、韓国政府は日本人を含む外国人が隔離対象者に含まれていることを発表した。 6月20日、大邱において、MERS患者が発症後の6月13日に利用した公衆浴場の利用者の追跡調査(コンタクトトレーシング)が進んでいるが、6月20日時点で、監視カメラで確認された266人のうち103人の身元が判明していない。 6月22日、隔離解除後に発症する患者が現れるので、潜伏期間の設定に疑問を呈する意見も出てきた。また、当日から韓国に入国した外国人は自動的に韓国政府の支援を得る「外来観光客対象MERS補償保険」の適用を受けることになった。その内容とは「韓国に入国した外国人が20日以内にMERS陽性反応が出れば500万ウォン(約55万円)の治療補償金、感染が確定してから20日以内に死亡すれば最大1億ウォン(約1100万円)の補償金を受け取れる」というものである。 @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}10月12日、韓国保健福祉省は感染後に陰性と判定された男性1人が再発したと公表した。[要出典] 韓国では、MERSの流行に便乗して、消毒作用の無い偽造消毒薬の流通が起きており(偽造ラベルの印刷を依頼された印刷所が警察に通報して発覚)、韓国警察がECサイトで販売された偽造消毒薬の回収を行っている。 なお韓国政府は、MERS患者の周辺にいた感染可能性のある人物の追跡を諦め、「自己申告」に頼ることを決定。これにより見かけ上、隔離対象者は減ったが、感染の経路や実際の感染者数が不明確となっている。 「自由貿易#自由貿易の問題」も参照 「2015年韓国におけるMERSの流行」および「ko:2015년 대한민국 중동호흡기증후군 유행」も参照
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