集団左遷!!
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/08 09:41 UTC 版)
集団左遷!! | |
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ジャンル | 連続ドラマ |
原作 | 江波戸哲夫 『新装版 銀行支店長』 『集団左遷』 |
脚本 | いずみ吉紘 |
演出 | 平川雄一朗 田中健太 韓哲 |
出演者 | 福山雅治 香川照之 神木隆之介 中村アン 井之脇海 市村正親 小手伸也 別所哲也 八木亜希子 西田尚美 尾美としのり 三上博史 |
ナレーター | 貫地谷しほり |
音楽 | 佐橋俊彦 |
エンディング | エレファントカシマシ 「俺たちの明日」 |
国・地域 | ![]() |
言語 | 日本語 |
製作 | |
プロデューサー | 飯田和孝 中前勇児 |
製作 | TBSテレビ |
放送 | |
映像形式 | 文字多重放送 番組連動データ放送 |
音声形式 | ステレオ放送 |
放送国・地域 | ![]() |
放送期間 | 2019年4月21日 - 6月23日 |
放送時間 | 日曜 21:00 - 21:54 |
放送枠 | 日曜劇場 |
放送分 | 54分 |
回数 | 10 |
公式サイト | |
特記事項: 初回は25分拡大(21:00 - 22:19)。 第2話は15分拡大(21:00 - 22:09)。 |
『集団左遷!!』(しゅうだんさせん)は、TBSテレビ系日曜劇場で、2019年4月21日から6月23日まで放送されていたテレビドラマである[1]。主演は福山雅治[1]。原作は江波戸哲夫が著した経済小説『新装版 銀行支店長』と『集団左遷』(ともに講談社文庫刊)[1]。「平成最後の日曜劇場」と銘打っている[2] とともに「令和最初の日曜劇場」でもある[2][3]。
あらすじ
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この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。
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三友銀行で働くサラリーマンの片岡洋。ある日蒲田支店の支店長に昇任したが、徹底した合理化を目指す常務取締役の横山輝生からは「ノルマを達成しなければ蒲田支店は廃店」「廃店が決まっているから頑張らなくていい」と念を押される。片岡は頑張らないなんてできないとして、本部と対立してでも蒲田支店を存続させるために奮闘する。
廃店による大規模リストラを断行したい横山常務は、様々な手段を使って蒲田支店を潰そうとするが、片岡は「頑張ろう」と行員達を励ましながら、率先して新規開拓に励み、ノルマである100億達成を目指していく。
キャスト
主要人物
- 片岡洋(かたおか ひろし)
- 演 - 福山雅治[4]
- 本部業務統括部店舗開発室次長→支店長→本部融資部 部付部長→人材育成研修センター長
- 本作品の主人公。支店長に抜擢されるものの、横山常務から「頑張らずに廃店させる」ことを要請される。しかし、理不尽さに納得がいかず、やがて行員と一丸となって抗おうとする。
- 真山徹(まやま とおる)
- 演 - 香川照之[4]
- 副支店長→日本橋支店 副支店長→退社後妻の有里の実家が経営する丸山建材の経理担当に転職
- 横山輝生(よこやま てるお)
- 演 - 三上博史
- 常務取締役 人事担当→専務取締役[注 1]→副頭取[注 2]
- 不正に融資金を受け取った問題などにより最終回終盤で解任。
三友銀行蒲田支店
- 滝川晃司(たきがわ こうじ)
- 演 - 神木隆之介[5]
- 法人営業1課社員→品川支店 法人営業課→三友証券
- 木田美恵子(きだ みえこ)
- 演 - 中村アン
- 法人営業1課主任→目黒支店 法人営業課
- 平正樹(たいら まさき)
- 演 - 井之脇海
- 法人営業2課社員→高井戸支店 法人営業課
- 花沢浩平(はなざわ こうへい)
- 演 - 高橋和也
- 法人営業1課課長→スーパー川栄 経理部長
- 横溝厚男(よこみぞ あつお)
- 演 - 迫田孝也
- 法人営業2課課長→町田支店 法人営業課課長 →森村電機へ出向[注 3]
- 三宅庄司(みやけ しょうじ)
- 演 - 増田修一朗
- 個人営業窓口課課長→小岩支店 個人営業課
- 宮田学(みやた まなぶ)
- 演 - 谷口翔太
- 法人営業2課主任→練馬支店 法人営業課
- 藤枝薫(ふじえだ かおる)
- 演 - 橋本真実
- 個人営業窓口課兼テラー主任→用賀支店 個人営業課
三友銀行本店融資部
三友銀行本店
- 藤田秀樹(ふじた ひでき)
- 演 - 市村正親
- 頭取→不正に融資金を受け取った問題により、最終回終盤で解任
- 隅田勝
- 演 - 別所哲也
- 融資担当常務→最終回終盤で頭取。
- 上層部の中では唯一まともな人物として描かれており、片岡に横山の不正を調査するよう指示する
- 郷田成道(ごうだ なりみち)
- 演 - 津嘉山正種
- 会長→不正に融資金を受け取った問題で8話で解任
- 南口優(なんこう まさる)
- 演 - 橋爪淳
- 副頭取→不正に融資金を受け取った問題で8話で解任
- 宿利雅史(やどり まさし)
- 演 - 酒向芳
- 支店統括部部長→総務部 人材開発室付[注 1]。片岡の元上司
- 鮫島正義(さめじま まさよし)
- 演 - 小手伸也[6]
- 検査部次長→日本橋支店 支店長[注 3]
- 横山常務の側近。
- 梅原尊(うめはら たかし)
- 演 - 尾美としのり
- 審査部次長→支店統括部部長[注 1]
その他
- 青島憲二(あおしま けんじ)
- 演 - 赤堀雅秋
- 片岡の幼なじみ。通称「チンタオ」。
- 鈴木将之(すずき まさゆき)
- 演 - パパイヤ鈴木
- 片岡の幼なじみ。通称「パチ」。
- 片岡かおり(かたおか かおり)
- 演 - 八木亜希子[7]
- 片岡洋の妻。
- 片岡裕太(かたおか ゆうた)
- 演 - 絃瀬聡一[8]
- 洋・かおりの息子。
- 真山有里(まやま ゆり)
- 演 - 西田尚美
- 真山徹の妻。
- 三友銀行イメージガール
- 演 - 生田絵梨花(乃木坂46)[9]
- 金村勇二
- 演 - 川原和久
- 三友銀行日本橋支店 支店長→辞職[注 3]
- 融資の書類偽装の責任を取らされ支店長を辞職。片岡に不正融資に関することを追及されても黙秘していたが、横山と会った後にダイバーサーチの代表と会談するところを目撃してしまう。その後、片岡にメモを渡す。
ゲスト
- 第1話
- 第2話
- 第3話
- 第4話
- 第5話
- 第6話
- 第7話
- 第8話
- 第9話
スタッフ
- 原作 - 江波戸哲夫『新装版 銀行支店長』『集団左遷』(講談社文庫刊)
- シリーズ構成(第5話 -) - 李正美
- 脚本 - いずみ吉紘[4]
- テーマソング - エレファントカシマシ「俺たちの明日」(ユニバーサルシグマ)
- 音楽 - 佐橋俊彦
- ナレーション - 貫地谷しほり[3]
- 撮影特別協力 - 城南信用金庫、GLORY
- 金融監修 - 宿輪純一
- 銀行監修 - 早川憲治
- リサーチ - 朝倉燎子
- 医療監修 - 岩崎善毅(イムス東京葛飾総合病院)
- お天気 - 森朗
- アクションコーディネーター - 佐々木修平
- プロデュース - 飯田和孝、中前勇児
- 演出 - 平川雄一朗、田中健太、韓哲
- 製作著作 - TBS
放送日程
話数 | 放送日 | サブタイトル[21] | 演出 | 視聴率[22] |
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第1話 | 4月21日 | 俺達に明日はない!? ノルマ100億に挑め! ド根性男の奇跡始動 |
平川雄一朗 | 13.8% |
第2話 | 4月28日 | 逆転不可能に挑め!!ダメ社員達の奇策!? | 8.9% | |
第3話 | 5月 | 5日絶体絶命大ピンチ!! 裏切り者はだれだ!? | 田中健太 | 10.1% |
第4話 | 5月12日 | 遂にリストラ決定!? 土壇場支店の結末!! | 韓哲 | 9.2% |
第5話 | 5月19日 | さらば、愛しの男!? 前代未聞の大失敗!! | 平川雄一朗 | 9.0% |
第6話 | 5月26日 | 全員リストラ決定!? 支店長最後の大選択 | 田中健太 | 7.8% |
第7話 | 6月 | 2日本部編始動!! 巨大な上層部の悪事を暴け | 韓哲 | 9.4% |
第8話 | 6月 | 9日因縁上司をやっつけろ!? | 平川雄一朗 | 11.9% |
第9話 | 6月16日 | 託された不正の証拠! 最後の大逆転目前! | 田中健太 | 10.1% |
最終話 | 6月23日 | 完結〜下克上の行方 熱き男が起こす奇跡 | 平川雄一朗 | 13.1% |
平均視聴率 10.3%(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム) |
脚注
注釈
出典
- ^ a b c “福山雅治:「日曜劇場」で初主演 “普通”の銀行員役で香川照之と9年ぶり共演”. MANTANWEB (MANTAN). (2019年1月3日) 2019年2月14日閲覧。
- ^ a b はじめに 公式サイト
- ^ a b “貫地谷しほり、福山雅治主演『集団左遷!!』ナレーション担当「濃いお芝居に負けないように」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年4月19日) 2019年4月19日閲覧。
- ^ a b c “福山雅治、TBS「日曜劇場」初主演で銀行員に 香川照之と『龍馬伝』以来9年ぶり共演”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年1月3日) 2019年2月14日閲覧。
- ^ “神木隆之介、福山雅治の部下に 4月期日曜劇場『集団左遷!!』追加キャスト決定”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年2月24日) 2019年2月24日閲覧。
- ^ “小手伸也、日曜劇場初出演で福山雅治を追い詰める?「あまり面白くなり過ぎないように…」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年3月16日) 2019年3月16日閲覧。
- ^ “八木亜希子、日曜劇場『集団左遷!!』で福山雅治の妻役に「私でいいの!?」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年3月13日) 2019年3月13日閲覧。
- ^ “演技未経験17歳新人、絃瀬聡一 福山息子役で俳優デビュー”. スポニチアネックス (スポーツニッポン). (2019年4月21日) 2019年4月22日閲覧。
- ^ “生田絵梨花、ポスターで福山雅治と“共演”「いろいろなところに私が潜んでいます」”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2019年4月15日) 2019年4月16日閲覧。
- ^ a b “福山雅治主演『集団左遷!!』初回ゲストに平山浩行、中村静香ら”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年4月17日) 2019年4月22日閲覧。
- ^ “「笑点」座布団運び・山田たかお 日曜劇場「集団左遷」で約20年ぶりドラマ「ついに時代が…」”. スポニチアネックス (スポーツニッポン). (2019年4月20日) 2019年4月22日閲覧。
- ^ “LiLiCo『集団左遷!!』第1話ゲスト出演 事件解決のカギを握るクラブのママ役”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年4月13日) 2019年4月22日閲覧。
- ^ “石井亮次アナ、日曜劇場に出演 主演・福山雅治は『ゴゴスマ』毎日登場へ”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年4月12日) 2019年4月22日閲覧。
- ^ “浅野ゆう子、“ファン”だった福山雅治をいじめる? 『集団左遷!!』第3話ゲスト”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年5月3日) 2019年5月6日閲覧。
- ^ “戸次重幸、福山雅治と『ガリレオ』以来12年ぶり共演「当時、僕は本名で活動して…」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年5月10日) 2019年5月10日閲覧。
- ^ a b “集団左遷!!:第5話ゲストに宮川一朗太&浅香航大 三遊亭小遊三も再登場”. まんたんウェブ (MANTAN). (2019年5月17日) 2019年5月19日閲覧。
- ^ “集団左遷!!:松居直美がゲスト出演 “同世代”福山雅治に驚いたこととは…”. まんたんウェブ (MANTAN). (2019年5月24日) 2019年6月4日閲覧。
- ^ 未来(miku) [@@39__MIKU__39] (2019年5月24日). "【ドラマ出演】". X(旧Twitter)より2022年9月14日閲覧。
- ^ “集団左遷!!:筒井道隆が「日劇」第1作目以来、26年ぶり出演 別所哲也も15年ぶりに”. まんたんウェブ (MANTAN). (2019年5月27日) 2019年6月2日閲覧。
- ^ “福山雅治、“小梅”大路恵美と21年ぶり共演「相変わらず守ってあげたくなる存在」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年6月4日) 2019年6月4日閲覧。
- ^ 集団左遷!! - U-NEXT
- ^ “福山雅治主演「集団左遷!!」最終回は高視聴率13.1%で有終の美”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2019年6月24日) 2019年6月24日閲覧。
参照話数
- ^ 第8話
外部リンク
TBS 日曜劇場 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
グッドワイフ
(2019年1月13日 - 3月17日) |
集団左遷!!
(2019年4月21日 - 6月23日) |
ノーサイド・ゲーム
(2019年7月7日 - 9月15日) |
集団左遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/06 09:54 UTC 版)
集団左遷 | ||
---|---|---|
著者 | 江波戸哲夫 | |
発行日 | 1993年6月 | |
発行元 | 世界文化社 | |
ジャンル | 経済小説 | |
国 | ![]() |
|
言語 | 日本語 | |
形態 | 単行本 | |
ページ数 | 353 | |
公式サイト | [] | |
コード | ISBN 978-4418935116 | |
![]() |
||
|
『集団左遷』(しゅうだんさせん)は、江波戸哲夫が1993年に発表した小説。また、これを原作とする1994年に東映が製作した映画[1]。
概要
![]() |
この節の加筆が望まれています。
|
映画
集団左遷 | |
---|---|
監督 | 梶間俊一 |
脚本 | 野沢尚 |
原作 | 江波戸哲夫 |
出演者 | 柴田恭兵 中村敦夫 伊東四朗(特別出演) 高島礼子 小坂一也 河原崎建三 |
音楽 | 小玉和文 |
撮影 | 鈴木達夫 |
編集 | 西東清明 |
製作会社 | 東映京都撮影所 |
配給 | 東映 |
公開 | ![]() |
上映時間 | 107分 |
製作国 | ![]() |
言語 | 日本語 |
製作費 | 5億円[2] |
配給収入 | 1.6億円[3] |
柴田恭兵主演、梶間俊一監督により1994年10月29日に公開。東映東京撮影所制作、東映配給。
概要
大手企業でサラリーマン生活の経験を持つ江波戸哲夫が1993年に世界文化社で発表した小説の映画化[2][4][5]。1989年のバブル景気から1994年のカンフル景気までの期間で大手不動産会社を舞台に、1991年から1993年までの平成不況(バブル崩壊)の影響をきっかけに社員のリストラを強引に進めようとする会社側とこれに抵抗する中年サラリーマンたちとの熾烈なサバイバルを描く[6][7]。1994年7月クランクイン[2]、この年日本でも大ヒットした『シンドラーのリスト』にあやかり当初はキャッチコピーを『リストラのリスト』としていた[2]。
あらすじ
バブル期に拡大しすぎた事業と人員の合理化を迫られている大手の太陽不動産。強引かつ非情なやり口の副社長・横山輝生(津川雅彦)は、自分に逆らう硬骨漢・篠田洋(中村敦夫)を新設の首都圏特販部の本部長に据え、リストラの候補者となったダメ社員50人をそこへ押し込み、実現不可能な目標値を示して全員解雇を目論む。しかし第三営業部長・滝川晃司(柴田恭兵)を中心に社員は結束。追い詰められた男たちは、必死に業績を上げて副社長に対抗する[8]。
キャスト
- 滝川晃司 - 柴田恭兵
- 篠田洋 - 中村敦夫
- 横山輝生 - 津川雅彦
- 今村春子 - 高島礼子
- 花沢浩平 - 小坂一也
- 柳町敏夫 - 河原崎建三
- 南野晴彦 - 湯江健幸
- 赤倉志郎 - 河原さぶ
- 久保昭彦 - 丹波義隆
- 菊川伊佐美 - 神山繁
- 上岡研一 - 亀石征一郎
- 織田雅之 - 浜田晃
- 若松一博 - 北村総一朗
- 高杉文世 - 江波杏子
- 原俊子 - 萬田久子
- 藤尾三郎 - 伊東四朗(特別出演)
- 柳町良子 - 佳那晃子
- 岡部栄一 - 下絛アトム
- 本田博太郎、松村邦洋、水島新太郎、長谷川哲夫、佐藤仁哉、青山知可子
- 増田由紀夫、趙方豪、梅津栄、石山雄大、堀田真三、平野稔、飯島大介、相馬剛三、一柳みる、きくち英一、大塚良重、望月太郎、キモサベポン太、成清加奈子、泉福之助、町田政則、江口尚希、種子、吉田淳、俊藤光利、森みつえ、羽柴誠、濱近高徳、伊藤幸純、岩岡真裕 ほか
スタッフ
- 原作 - 江波戸哲夫
- 脚本 - 野沢尚
- 監督 - 梶間俊一
- 宣伝アドバイザー - 舛添要一
- 音楽 - 小玉和文
- 撮影 - 鈴木達夫
- 美術 - 桑名忠之
- 照明 - 山口利雄
- 録音 - 林鑛一
- 編集 - 西東清明
- スクリプター - 勝原繁子
- 助監督 - 香月秀之、金佑彦、宮村敏正、山内健嗣
- 進行主任 - 菊池淳夫
- 音楽プロデューサー - 石川光
- 宣伝担当 - 遠藤茂行、小出真佐樹、稲本千春、又木たみえ
- 特殊効果 - 大平特殊効果(坂本佐幸)
- プロデューサー - 佐藤和之、野村敏哉
- 企画 - 坂上順
製作
1990年代に入り東映は、アニメーション映画のヒットは続けるものの、劇映画のヒット作が出ず[9]。1994年も同様で[10]、この年東映関係で一番マスメディアに取り上げられたのは、三十年の歴史を刻み、日本映画の一時代を画したヤクザ映画が1994年5月14日公開の『首領を殺った男』の興行不振を持って基本的に製作を中止したニュースだった[3][8][11][12][13][14][15]。それに代わる新路線開拓としてサラリーマンを映画館に呼び込む"サラリーマン路線"を看板にしようと企業のリストラをテーマに本作の製作を決めた[2][3][8][11]。東映は「舞台を企業に移し、ヤクザ映画にも通じる男たちのプライドと存在をかけた戦いのドラマにする。企業映画をヤクザ映画に代わる柱に育てたい」と意気込んだ[4][16]。東映はこれに似た試みを1989年の『社葬』、1990年の『遺産相続』で試みたことがあったが[10][17][18]、それらは無かったことにして盛んに新路線をアピールした[2][19]。
製作発表
1994年8月17日に製作発表があり、主要キャストと梶間俊一監督、宣伝プロデューサー・舛添要一らが出席[6]。梶間は東映東京撮影所で、伊藤俊也らと共に労組の闘士として知られた人で[20][21][22][23]、1993年まで東映専属のサラリーマン監督であった[6][23]。梶間は「私も企業内失業者という問題に無関心ではいられない。この映画は厳しい現実の中で戦っているサラリーマン諸氏へのエール。男と男の戦いという心意気です。ヤクザが出てこない活劇になっていると思います」などと述べた[6][19]。舛添は「サラリーマンの実像を描くこの作品は、4600万人といわれる日本のサラリーマンに必ず支持されると確信している。この予想は政治の予想より簡単」と述べた[6]。
キャスティング
サラリーマン役は初めての柴田恭兵は「ワイルドな面を内に秘めた男を演じるので、やり過ぎてヤクザにならないようにしなくては。普通なら悪役の津川さんが失脚するところですが、そんな単純な映画でありません。劇場を出てネクタイを締め直すような気持になってくれれば...」 などと話した[6]。
リストラ対象になった社員をまとめ、戦う集団にする部長を演じる中村敦夫は、本格的映画出演は10年ぶり[7]。「最近のテレビドラマや映画は絵空事になってリアリティーがない。面白くないし出る気もしなかった。『集団左遷』はタイトルを聞いただけでインパクトのある作品だと思ったし、東映が今までにない冒険をやろうと勝負を賭けると言うことで、そういう火花が散る職場からは何かが生まれそうだと思って出演を決めた」[7][24]「映画は『南十字星』以来ですから、もう10年以上出ていません。『帰ってきた木枯し紋次郎』はハイビジョンだったから勘定に入れていません。なぜ映画に出なかったかというと、この10年間は激動の時代でフィクションを超えていた。そっちを追いかけた方が面白かったからです。『集団左遷』のリストラ問題は映画に関係なく経済問題としてジャーナリストの目で見ていました。リストラはこれからどんどん進めますよ。理由は産業空洞化で労働者が職を失うこと、高度情報化つまりコンピューター社会でサラリーマンの三分の一がいらなくなること、行政改革で組織の統廃合が進むことなどが挙げられます」[7]「国を代表する宗教は日本にないが、サラリーマンが企業の論理を信じるのがこれに近い。企業を心のより所としている彼らが、景気が悪くなって初めてロボットから個人に戻る。そのドラマチックな変化が作品のテーマです」などと話した[24]。中村は、俳優座を造反脱退したり[24]、キャスターを務めていた『中村敦夫の地球発22時』(毎日放送製作・TBS系列)で、放送時間変更を批判して降板したこともある気骨の人で[24]、1980年代前半のアイドル映画全盛時代に[25]、当時の映画誌のインタビューで、「映画というものは、日本ではもう潰れたもんだと思ってるからね(笑)。映画は今や破綻産業だよ。あまり真剣に考えたこともないよ。それに今は子供相手にやってるワケでしょ。薬師丸ひろ子とか、漫画とか、お子様産業なのよ。今の日本の大人は映画を見に行く状況にないんだな。社会生活のあり方をみても、おとっつあんは家に帰ってこないしさ。アメリカの映画が今もって盛んなのは、大人が映画人口を支えているからだよ。見てくれる人がいれば、儲かる。儲かれば才能が集まる。そうすれば水準も上がるという相乗効果ですよ。才能ある人間は儲からんことはやらんからね。今、映画なんてやってるのは時代遅れの人間ばっかりでしょうが。何かもう気の毒な位、遅れちゃってるんだよね」などと言いたい放題話したこともある[26]。
脚本
1994年1月末、佐藤和之東映プロデューサーより、野沢尚に脚本の発注があった[27]。佐藤と野沢は『さらば愛しのやくざ』『赤と黒の熱情』の二本で一緒に仕事をし、野沢は「東映の映画作りの楽しさを教えてもらった」と感謝があったことから快諾した[27]。『赤と黒の熱情』の興行的失敗で東映で仕事が出来なくなって二年[27]。佐藤から「やくざ映画の撤退で、次の鉱脈をサラリーマンの競争物語に求めている。左遷されたサラリーマンたちの復讐の物語」とプロットを聞き、「今、東映がやらなければならない映画だ」と感心し、原作を受け取った[27]。スケジュールは1994年夏に撮影し、年末の最終番組を予定していると聞かされた[27]。当時野沢はフジテレビの連続ドラマ『この愛に生きて』が入っていて、それが落ち着く6月まで執筆を待ってほしいと伝えた[27]。また「東映の勝負作なら『社葬』を成功させた松田寛夫さんじゃないですか?」と佐藤プロデューサーと聞いたら、やはり坂上順プロデューサーらが反対し、野沢に決まるまで、社内で揉めたと聞かされ、佐藤がそれを押し切ったと想像した[27]。原作を読んで1994年2月3日に正式に脚本を受けた[27]。それからホン作りの前に坂上、佐藤と若手の野村敏哉プロデューサーと野沢を合わせた5人でチームを作り脚本が練られた[27]。連ドラの最終回を上げて、野沢は同年5月30日から脚本に取りかかり、6月10日に最終稿を渡した[27]。
ここから約1ヵ月坂上プロデューサーと揉めた[27]。本作は東映内部でも議論白熱する素材。リストラの波に喘ぐ企業。それはすなわち当時の東映の姿であり、もっと言えば、日本映画界そのもの[27]。誰もが意見を言いたくてしょうがない。自身の社内的立場を映画に反映させて欲しいと誰もが願った。東映の起死回生作であり、東映のトップや営業・宣伝サイド、多くの意見を抱え、坂上は誰にも文句を言わせない脚本を提示しなければならないという大きな重圧を抱えていた[27]。当時の坂上は組合運動の責任者でもあり、映画の登場人物に対する思い入れも激しいものがあった[27]。東映は岡田茂会長からOKが取れれば、他の者の意見は全て押さえ込むことが出来る水戸黄門の印籠ではあったが、それが容易でないことを坂上はよく知るためそのストレスも大きかった[27]。
延々と続いた坂上と野沢の話し合いの争点は、主に人間のリアリズムとエンディングの二点だった[27]。坂上は「野沢さんは就職したこともないし、サラリーマン世界を身を以て実感していない。私達は組織の中で様々な軋轢を体験している」と言い張り、切る切らないで揉めた[27]。坂上から助監督が書いたという大幅に手直しされたコピーを渡される屈辱にも遭う[27]。岡田会長は台本は悪くないと言っているという話も聞いた[27]。ところが更に津川雅彦が「この仇役のキャラクターでは出たくない」と言って来た[27]。津川なくして企画は成立しないと考える東映は、津川の納得するホンに書き換えろと指示した[27]。1994年7月17日、疲れ切った野沢は坂上に最終原稿を渡し、暫定的にOKを出した[27]。このとき、坂上から 「撮影台本という形で、現場サイドでホンを直させてもらう」と言われ、「好きにして下さい」と半ば投げた[27]。実際は「このホンで作られる映画に脚本クレジットされるのはたまらない。結果的に騙されたというほど、それ以外もズタズタになるほど手が入れられた。東映カラーはえてして細かい人物計算をしない。極めて大雑把に捉え、荒っぽい作りで観客を乗せようとする。映画界にほとほと嫌気がさした」と、東映批判を自身が連載の持っていた『シナリオ』で行った[27][28]。この連載は東映からの圧力で終了されたといわれる[28]。同じ年の松竹『RAMPO』も最初は黛りんたろう監督と野沢が組み、企画を通し、脚本もかなり進んだ後、企画から降りた。この時点では脚本クレジットは黛との連名を承諾していたが、脚本直しに松竹の社員ライター・榎祐平が入って来て、さらに奥山和由もホンを書いてないのに名前を入れて来たため、奥山と揉めて脚本クレジットから名前を外してもらったと話している[28]。皮肉なことに『集団左遷』『RAMPO』の両方がこの年の日本アカデミー賞脚本賞にノミネートされた(最優秀は古田求・深作欣二『忠臣蔵外伝 四谷怪談』)[28]。
評価
興行成績
配収1.6億円[3]。大惨敗に終わり[3][10]、路線化は中止され、東映はまた混迷の中に入った[10]。社運を賭けた大作がテレビドラマを映画化した『NIGHT HEAD』(東宝配給)と配収がほぼ同額で東映のショックは大きかった[10]。これを受け、「テレビ局は映画会社の従来の映画づくりや企画力の古さをバカにしていて、映画会社がテレビ局と組もうとしても断られる、若者に受けるようなアンテナの張り方をしているテレビ局の頭脳と映画人の企画力方向が開きすぎているのではないか」などという論調が出た[10]。1994年の邦画興行はどこも一年間振るわず[10]、秋の邦画興行も本作も含め、東宝『四十七人の刺客』、松竹『忠臣蔵外伝 四谷怪談』と、派手な宣伝合戦を展開し[16]、多くのメディアで露出も多かったが、全て興行は惨敗した[10]。このため秋の興行は1994年の日本映画の現象を象徴していると評された[10]。しかし三作品とも作品は評価され、多くの映画賞を受賞している[10][29]。
作品の評価
当時のリストラの嵐が吹き荒れる中で、サラリーマンがどう生きるかという題材を取り上げていたため、それなりの数字を出すのではと映画関係者も期待したが、それが興行に結び付かなかった[10]。しかしバブル崩壊直後に製作された虐げられた企業戦士の逆襲、過酷な状況での逆転劇を題材としている点で先駆的評価もある[5]。
受賞歴
- 第18回日本アカデミー賞優秀主演男優賞(柴田恭兵)、優秀助演男優賞(津川雅彦)、優秀脚本賞(野沢尚)、優秀録音賞(林鑛一)[30]
- 第49回毎日映画コンクール男優助演賞(中村敦夫)
- 第37回ブルーリボン賞男優助演賞(中村敦夫)
- 第7回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞男優助演賞(津川雅彦)、『忠臣蔵外伝 四谷怪談』と合わせ。
ネット配信
脚注
- ^ “集団左遷”. 日本映画製作者連盟. 2019年1月7日閲覧。
- ^ a b c d e f “『リストラのリスト』製作へ、東映がサラリーマン映画。”. 日本経済新聞夕刊 (日本経済新聞社): p. 5. (1994年7月8日)
- ^ a b c d e 「日本映画 観客動員の低迷と興行界の新しい動き 文・大高宏雄」『キネマ旬報増刊 ビデオイヤーブック1995』1995年4月28日発行、キネマ旬報社、388頁。
- ^ a b ““集団左遷”90年代サラリーマンは企業といかに戦ったのか”. RBB TODAY. (2007年2月9日)
- ^ a b “【不朽の名作】サラリーマンの痛快な逆転劇が魅力! 「集団左遷」”. リアルライブ. (2015年10月31日)
- ^ a b c d e f “東映、企業戦士ドラマを製作 脱ヤクザ映画路線第一弾 『集団左遷』”. 産経新聞東京夕刊エンタ (産経新聞東京本社): p. 1. (1994年8月17日)
- ^ a b c d “〔毎日コンの顔〕 男優助演賞 中村敦夫 ジャーナリストの目で演技”. 毎日新聞東京夕刊 (毎日新聞東京本社): p. 7. (1995年2月7日)
- ^ a b c “『会社に固執』『離れて自分発見』 対照的サラリーマン映画、公開中”. 朝日新聞夕刊 (朝日新聞社): p. 7. (1994年11月4日)
- ^ 大高宏雄「東映"呪縛"の10年」『日本映画 逆転のシナリオ』WAVE出版、2000年、74-75頁。ISBN 978-4-87290-073-6。
- ^ a b c d e f g h i j k 脇田巧彦・川端靖男・黒井和男・植草信和「映画トピックジャーナル アニメーションとファミリーピクチャー、人気テレビドラマ以外の劇映画が全く不発に終わった1994年の日本映画」『キネマ旬報』1995年1月上旬号、キネマ旬報社、170頁。
- ^ a b 東直子 (1994年9月28日). “東映、『首領を殺った男』―発想・脚本、新味なし (なぜ売れない新誤算の研究)”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社): p. 29
- ^ 北川れい子「やくざ映画を見て育ってきた私だけれどもうこの路線の復活はないだろう 封切時期が重なったやくざ映画を語る」『映画撮影』1994年6月号 No.212、日本映画撮影監督協会、22-25頁。
- ^ 橋口一成・福間健二・細野辰・荒井晴彦「ヤクザ映画に延命の可能性はあるか『首領を殺った男』『大阪極道戦争しのいだれ』」『映画芸術』1994年夏号 No.372、プロダクション映芸、61頁。
- ^ 山根貞男「東映やくざ映画の最後か 『首領を殺った男』の現場へ」『映画の貌』みすず書房、1996年、194-201頁。ISBN 4-622-04412-9。
- ^ 山平重樹『高倉健と任侠映画』徳間書店、2015年、438-446頁。ISBN 978-4-19-907028-0。
- ^ a b “邦画大手3社、秋の大作に意気込む(文化往来)”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社): p. 40. (1994年10月21日)
- ^ 「『遺産相続』をみて 文・小野民樹(岩波書店)」『映画撮影』1991年1月30日発行 No.111、日本映画撮影監督協会、4頁。
- ^ 岡田茂・並木俊守・福島瑞穂 司会・鈴木康雄「好奇心座談会 映画の上を行く『遺産相続』」『月刊経営塾』1990年12月号、経営塾、44–50頁。
- ^ a b “『ヤクザ路線からサラリーマンものへ」第一弾 東映の映画 『集団左遷』”. 毎日新聞東京夕刊 (毎日新聞東京本社): p. 9. (1994年11月7日)
- ^ 「"スタジオ派"の新たな挑戦 『ちょうちん』監督 梶間俊一インタビュー」『シナリオ』1987年6月号、日本シナリオ作家協会、52–56頁。
- ^ 桂千穂「クローズアップ・トーク 猫の好きなシナリオライターの書斎にて <ゲスト>佐伯俊道」『シナリオ』1990年8月号、日本シナリオ作家協会、88頁。
- ^ 日本のドキュメンタリー作家インタビュー No. 24 呉徳洙(オ・ドクス) 聞き手・門間貴志 – 山形国際ドキュメンタリー映画祭公式サイト。
- ^ a b 川崎宏「旗手たちの行方 梶間俊一インタビュー 『スタジオ派の意地を忘れない!』 聞き手・鈴木義昭」『狂おしい夢 不良性感度の日本映画 東映三角マークになぜ惚れた!? 』青心社、2003年、229-233頁。 ISBN 978-4-87892-266-4。
- ^ a b c d “【土曜映画館】インタビュー 中村敦夫 "硬派の血"が騒いだ”. 産経新聞 (産業経済新聞社): p. 5. (1994年11月5日)
- ^ 進藤良彦「『仔犬ダンの物語』澤井信一郎インタビュー」『キネマ旬報』2003年1月下旬号、キネマ旬報社、71頁。
- ^ 「気になるスター 中村敦夫 『自分で何か一つ納得のいく表現手段をもたないと健康に悪いね』」『映画情報』1984年12月号、国際情報社、22-23頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 野沢尚『映画館に、日本映画があった頃』キネマ旬報社、338–359頁。
- ^ a b c d FB編集同人編「書評のような映画評 野沢尚 『映画館に、日本映画があった頃』(1995年2月、キネマ旬報社) 文・重政隆文」『FB 映画研究誌』1995年 第5号、行路社、232-238頁。
- ^ 東映ビデオ|集団左遷
- ^ “第18回日本アカデミー賞 優秀賞”. 日本アカデミー賞公式サイト. 日本アカデミー賞協会 (1995年3月18日). 2025年6月6日閲覧。
外部リンク
固有名詞の分類
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