都市再生緊急整備地域とは? わかりやすく解説

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都市再生緊急整備地域

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/16 14:47 UTC 版)

都市再生緊急整備地域(としさいせいきんきゅうせいびちいき)は都市再生特別措置法第2条第3項の規定に基づき、「都市の再生の拠点として、都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域」として政令[注 1]で指定された地域で、都市開発事業などにより緊急かつ重点的に市街地整備を推進し都市再生拠点となるべき地域のことである。その中でも、都市国際競争力強化の観点から特に重要な地域については、同法第2条第5項の規定に基づき特定都市再生緊急整備地域として指定されている[1]

概要

アジア地域の台頭などにより都市の国際競争が激化する中で、日本においても海外から企業人材が集まる魅力的な都市拠点を形成すべく、国全体の成長を牽引することが可能な大都市の市街地整備を官民の連携により重点的に推進する上で、全国各地の候補地域が選定されている[1]

2002年平成14年)6月1日施行された都市再生特別措置法により都市再生の拠点として「都市再生緊急整備地域」が選定され[2]、さらに2011年(平成23年)7月25日には都市再生特別措置法が改正(平成23年法律第24号)となり、前述の地域の中から国際競争力を強化する上で特に重要な地域として「特定都市再生緊急整備地域」が選定された[3]

これらの地域のうち、既存の規制の一部を適用除外とし自由度の高い計画の制定(高度利用)を可能とした区域として、各市区町村の都市計画により都市再生特別地区が定められている。

地域選定による特別措置等

都市再生緊急整備地域に選定された地域では、以下の措置を受けることができる[1][4]

(認定のための申請期限は都市再生特別措置法附則第3条により、2027年(令和9年)3月31日までと定められている[5]

また、特定都市再生緊急整備地域に選定された地域では上述の措置に加えて、以下の追加措置を受けることができる[1][4]

  • 下水の未利用エネルギーにおける民間利用や道路の上空利用に関する規制の緩和
  • 民間都市再生事業計画における国土交通大臣認定の迅速化
  • 民間都市開発プロジェクトでの許認可等の手続きおよび実施に必要な都市計画決定の迅速化
  • 更なる税制支援等による民間都市開発を対象とした支援
  • 都市拠点におけるインフラの整備を対象とした予算支援
(インフラの整備を重点的に行うために「国際競争拠点都市整備事業」が創設されている)

選定地域一覧

都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域を定める政令により、2023年(令和5年)9月1日時点で以下の52地域が都市再生緊急整備地域に指定されている。このうち、特定都市再生緊急整備地域に指定されているのは15地域である[6]。※以下の一覧のうち、太文字表記(特定)は特定都市再生緊急整備地域

北海道・東北地方

北海道
  • 札幌都心地域(特定)(※札幌駅大通駅周辺や札幌北4条東6丁目周辺地域を含む)[7]
宮城県[8]
  • 仙台都心地域(特定)

関東地方

東京都[9][10]
神奈川県
埼玉県
千葉県

中部地方

静岡県

  • 沼津駅周辺地域(令和6年12月12日追加)
新潟県
  • 新潟都心地域
愛知県[4]
岐阜県
福井県
  • 福井駅周辺地域

近畿地方

京都府
大阪府[25]
兵庫県

中国・四国地方

岡山県
広島県
香川県

九州地方・沖縄

福岡県
長崎県
  • 長崎中央地域
沖縄県

候補地域

指定されていたが解除されたもの

宮城県
  • 仙台長町駅東地域 - 2017年8月解除
東京都
神奈川県
千葉県
静岡県
愛知県
京都府
  • 京都久世高田・向日寺戸地域[24] - 2016年11月解除
  • 長岡京駅周辺地域 - 2017年8月解除
大阪府
兵庫県
  • 尼崎臨海西地域[44] - 2016年11月解除
  • 西日本旅客鉄道尼崎駅北地域[45] - 2016年11月解除
福岡県

脚注

注釈

  1. ^ 都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域を定める政令 - e-Gov法令検索
  2. ^ 東京都大田区も含む
  3. ^ 2015年7月24日名称変更(旧名:相模原橋本駅周辺地域)

出典

  1. ^ a b c d 都市再生関連施策:民間の活力を中心とした都市再生(国土交通省 > 都市再生)
  2. ^ 都市再生関係法令(国土交通省 > 都市再生)
  3. ^ 改正都市再生特別措置法の施行について(国土交通省 報道発表資料, 平成23年(2011年)7月25日)
  4. ^ a b c 都市再生緊急整備地域の概要について(名古屋市公式ウェブサイト > 都市計画)
  5. ^ 都市再生特別措置法(最終改正:平成30年6月1日公布(平成30年法律第38号))e-Gov法令検索 2020年1月22日閲覧
  6. ^ 都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧 - 地方創生推進事務局”. 内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局. 2024年7月7日閲覧。
  7. ^ 都市再生緊急整備地域(札幌市公式ウェブサイト)
  8. ^ 都市再生緊急整備地域(仙台市公式ウェブサイト)
  9. ^ 都市再生緊急整備地域関連(東京都都市整備局)
  10. ^ 東京の都市づくり (PDF) (アジア人材バンク)
  11. ^ a b c d 東京の国際競争力の一層の強化に向けた都市再生の推進 (PDF) (東京都都市整備局, 2011年11月)
  12. ^ 大崎駅周辺地域都市再生ビジョン(品川区公式ウェブサイト)
  13. ^ a b c d 横浜市の都市再生の取組について(横浜市都市整備局)
  14. ^ 横浜駅周辺地区・エキサイトよこはま22(横浜市都市整備局)
  15. ^ 川崎殿町・大師河原地域都市再生緊急整備協議会
  16. ^ a b 臨海部の都市再生(川崎市公式ウェブサイト)
  17. ^ 都市再生緊急整備地域「川崎駅周辺地域」について(川崎市公式ウェブサイト)
  18. ^ 都市再生緊急整備地域(第四次指定)について(厚木市公式ウェブサイト)
  19. ^ 都市再生緊急整備地域の指定(川口市公式ウェブサイト)
  20. ^ a b c 都市再生特別措置法関連(千葉市公式ウェブサイト)
  21. ^ 柏駅周辺における再開発事業 (PDF) (柏市公式ウェブサイト > 中心市街地整備課)
  22. ^ 都市再生特別措置法に係る都市再生緊急整備地域等の指定について(岐阜市公式ウェブサイト)
  23. ^ 岐阜駅北・柳ヶ瀬通周辺地域のプロフィール (PDF) (国土交通省中部地方整備局 > 建政部, 2012年4月1日)
  24. ^ a b c 都市再生緊急整備地域(京都市公式ウェブサイト「京都市情報館」)
  25. ^ 都市再生緊急整備地域(大阪府公式ウェブサイト)
  26. ^ a b c d e 都市再生緊急整備地域とは(INVEST OSAKA)
  27. ^ a b c 都市再生(堺市公式ウェブサイト)
  28. ^ a b 都市再生緊急整備地域・特定都市再生緊急整備地域(神戸市公式ウェブサイト)
  29. ^ 都市再生緊急整備地域について(岡山市公式ウェブサイト)
  30. ^ 都市再生緊急整備地域について(広島市公式ウェブサイト)
  31. ^ 都市再生緊急整備地域の概要(福山市公式ウェブサイト)
  32. ^ 都市再生緊急整備地域(高松市公式ウェブサイト「もっと高松」)
  33. ^ 特定都市再生緊急整備地域の指定等について(福岡市公式ウェブサイト, 2012年3月27日更新)
  34. ^ 福岡香椎・臨海東地域 (PDF) (福岡市公式ウェブサイト)
  35. ^ 市街地整備課:事業・計画・制度(那覇市公式ウェブサイト)
  36. ^ モノレール旭橋駅周辺地区再開発事業:上位計画(旭橋都市再開発株式会社)
  37. ^ 都市再生緊急整備地域指定に向けて|金沢市公式ホームページ いいね金沢”. 金沢市 都市再生推進室. 2024年7月7日閲覧。
  38. ^ 都ホテル跡地など金沢市都心軸「都市再生緊急整備地域」候補に 民間の再開発後押しへ | 石川県のニュース|MRO北陸放送 (1ページ)”. MRO北陸放送 NEWS (2024年2月16日). 2024年7月7日閲覧。
  39. ^ 都市再生緊急整備地域”. 松山市. 2024年7月7日閲覧。
  40. ^ 日本放送協会. “松山市中心部の再開発 協議会初会合|NHK 愛媛のニュース”. NHK NEWS WEB. 2024年7月7日閲覧。
  41. ^ 西富久地区第一種市街地再開発事業(事業中)(新宿区公式ウェブサイト)
  42. ^ 都市再生緊急整備地域とは(静岡市公式ウェブサイト)
  43. ^ 都市再生緊急整備地域(浜松駅周辺地域) (PDF) (浜松市公式ウェブサイト)
  44. ^ 尼崎臨海地域整備事業の経緯(尼崎市公式ウェブサイト)
  45. ^ JR尼崎駅周辺地域:都市計画マスタープラン(尼崎市公式ウェブサイト)
  46. ^ 北九州黒崎駅南地域 (PDF) (首相官邸 > 地域活性化統合本部会合 > 都市再生)

関連項目

外部リンク


都市再生緊急整備地域

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 15:05 UTC 版)

堺市」の記事における「都市再生緊急整備地域」の解説

都市再生緊急整備地域は都市再生拠点として国が定めたもので、都市開発事業などを通じて重点的に市街地整備推進すべき地域とされている。堺市内では以下の3地域指定されている。 堺臨海地域 新日本製鐵製鐵所高炉休止事業所縮小1990年)によって生じた遊休地開発する計画堺市は「臨海新都心」(愛称堺浜」)と位置づけマリーナ、海とのふれあい広場干潟などを整備している。2006年3月21日に「堺浜シーサイドステージ」の第1期工事完成シネコンなどを備えた大型複合施設堺浜えんため館)も同年4月15日開業したまた、2010年には天然芝のサッカーグランドやクラブハウス宿泊施設備えた西日本初のサッカー・ナショナルトレーニングセンター「J-GREEN堺」が完成した将来的にはLRT乗り入れ検討されており、堺製鐵所敷地内には「トランスロール堺浜試験線引かれている。なお、新日本製鐵当初、堺製鐵所遊休地アメリカユニバーサルスタジオ誘致することでユニバーサル社と話を進めていた。かねてより日本進出目論んでいたユニバーサル社北九州市スペースワールド開業したノウハウを持つ新日本製鐵思惑合致したためだが、交通の便悪さ理由合意得られなかった。 堺東駅西地域 大きく3地区開発計画がある。(1)裁判所庁舎建て替え工事など官庁街整備、(2)銀座商店街南側市民ホールなどを備えた再開発ビル建設(3)西地域ではないが)駅東側車庫跡に高層マンション建設、である。このうち(3)完成、(1)も一部完成している。堺地方合同庁舎2013年10月竣工している。堺東駅前はジョルノ1981年開業して以来市役所除いてほとんど変化がない。むしろ寂れる一方で1990年代にはスーパーマーケット長崎屋・イズミヤ・ニチイ)の撤退相次いだ堺市玄関駅でもあり、最も開発急がれている地域である。 鳳駅南地域 東急車輛工場跡地に、高層マンションシネコンなどが入った大型複合商業施設アリオ鳳」(イトーヨーカドーの[[が中核)が2008年開業した鳳駅阪和線でも重要な駅の一つにもかかわらず駅前」と呼べるものがなく、周辺道路も幅が狭いうえ歩道もなく不便であったが、2019年駅前土地区画整備事業道路鳳上線)が整備され駅前バスターミナル交通広場完成しバス南海バス)が乗り入れ開始した

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「都市再生緊急整備地域」を含む「堺市」の記事については、「堺市」の概要を参照ください。

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