蟹立高校
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/11 15:00 UTC 版)
東京都郊外に位置する都立高校。学校名と、連載当時の最寄り駅の外観から、都立国立高校をモデルにした可能性が高い。 不破 謙司(ふわ けんじ) 蟹立高校二年生。第二部の中心人物。 小学校時代から暗く内気な性格をしており、相応の学校生活を送ってきた少年。加えて過去のある出来事がきっかけで「自分の手は汚れている」との強迫観念に駆られるようになり、手の皮を延々剥き続けるという異様な行為に嵌まり込んでいる。 高校ではどこにも居場所がなく、小学校時代からの親友・桐野湧作に対するいじめにも見て見ぬ振りを続けざるを得ず、旧校舎の物置代わりになった教室でいつも休み時間をやり過ごしていた。 そんな境遇にあっても、自身とどこかしら同じ雰囲気を持ったクラスメイト・並木由佳里にいつしか心酔するようになり、彼女を心の支えにかろうじて高校には通えていた。しかし、湧作はいじめを受け続けた末に自殺し、由佳里は自分の目の前で男性教師と関係を持ち、その噂で追い出されるように高校を去ってカルトの出家信者となってしまった。しかもこれらの件で両名から「自分がこのような道を辿ったのは謙司が原因だ」ということを突き付けられ、かねてから募らせてきた自己嫌悪や、「この世に神様はいないし、自分も他人もこのままずっと変わることはない」という思いが抑えられないまでに顕在化。 教室で不良グループに絡まれたことで感情が爆発し、リーダーの右耳をサバイバルナイフで切り落として学校から逃亡する。 この時、校門前にいた湊を襲撃し、彼女が乗っていたバイクと由佳里の資料が入ったリュックサックを強奪。去り際には切り落とした耳を投げつけた。 その後は自棄に任せて逃げ回った末、水門の管理事務所に身を落ち着かせていたが、曜堂達に由佳里の身が抑えられかかっていることを知り、彼女を是が非でも手に入れることを決意する。 深夜に神治の会付近で待ち伏せし、自らが仕掛けた車の爆発に乗じて由佳里を連れ出そうとしていた曜堂達を襲撃。消火剤の噴射で身動きを封じて、そのまま曜堂を消火器で殴り倒し、反撃しようとした湊も蹴りつけて由佳里の身柄を手にした。その後もコインランドリーで成人男性から衣服を強奪し、コンビニで食料を万引きするなど学校生活からはおよそかけ離れた暴力的な犯罪行為に及ぶ。この時は普段は嫌悪していた自分の手を「汚れた神」とし限定的に信頼を置いていた。 桐野 湧作(きりの ゆうさく) 謙司の同級生。 謙司とは昔からの親友で、小学校時代はノストラダムス関係の本をともに読むなどしており、当時の級友たちからは「暗い二人」と呼ばれていた。そのような経験も手伝ってか、「いずれ近い内に世界は終わる。人生に意味はない。」という、オカルト思想をベースとした独自の厭世観を抱くに至った。同時に、自分たちの思想を理解しない人間を「凡庸なやつら」として一段下に見ており、周囲との溝を作る一因となったようである。家ではヨガの修行も行っていたらしい。 学校内ではゴキブリを無理矢理食べさせられるなど、不良グループから執拗ないじめを受けていた。 ある時、樹の上で身動きの取れない状態で犬の糞を投げつけられるといういじめを受けるが、それに(強制されたとはいえ)謙司も加担し、しかも糞が顔に当たったことから自殺を決意。マンションの高層部から身を投げ、自ら命を絶った。 謙司の発言では、彼の葬儀では、涙を流していたクラスメイトは一人もいなかったという。 死の直前、小学校時代に読んだノストラダムスの本と遺書を、謙司の自宅ポストに自ら投函していた。 遺書には、自身をいじめた不良グループや、傍観に徹していた周囲の生徒に対する憎しみは一切書かれておらず、共に過ごしてきた少年時代の否定を皮切りに、謙司の行いが自殺の引き金となったことを突きつけた上で、見下してきた第三者たちと一括りにし、「汎用な奴らと仲良くやってください」という彼を見限るセリフで結末部を締めくくるなど、いわば決別宣言的な内容のみに終始していた。ノストラダムスの本も、自身にはもはや不要となり果てた、縁切りの象徴として同封されたものであった。 この一件で、謙司はかねてから抱えていた自己嫌悪をより一層をより強くすることになった。 不良グループのリーダー 謙司の同級生。 制服を着崩し、パーマがかかった髪を明るく染めている不良少年。弱い者いじめ以外出来ない小悪党として劇中では描写されている。 自身の取り巻きと共に湧作を執拗にいじめており、謙司も含む気弱な生徒をそれに参加させた上で、金銭を巻き上げるなどしていた。 湧作の自殺後に、新たないじめのターゲットにすべく教室で謙司をなじるが、激昂した彼に襲い掛かられ右耳を切り落とされた。 謙司の失踪以降は、街中に「フワケン殺す」とのメッセージを書き殴り、彼に復讐すべく血眼になって居所を探していた。 探索中に公園で捕まえた猫に八つ当たりし、自分と同じ目に合わせようと耳をナイフで切り落とそうとしていたが、偶然居合わせた湊に制止され、逆ギレして襲い掛かるも返り討ちに遭ってしまう。 この時、負け惜しみ的に湧作を見捨てた謙司を人格否定したことが、朱美と自身との経緯を連想した湊の逆鱗に触れ、「もう片耳も切り落とす」と追い込みをかけられ悲鳴をあげていた。 謙司が保護観察処分となった後、ラーメン屋から出てきた彼を待ち伏せし、後ろからナイフで腹部を刺し逃亡。自身の復讐を果たした。 田島 リーダーとつるんでいる生徒の一人。 髪を短く刈り込み制服の下にパーカーを着込んでいる。湧作へのいじめに加担するよう謙司に半強制した。 教室での事件後は、謙司への復讐心をたぎらせているリーダーに対し若干引いている様子。 ナイフを常に持ち歩いているようで、公園で猫に危害を加えた際にリーダーが使おうとしたナイフは彼のものである。 男性教師 由佳里と関係を持ってしまった男性教師。 謙司がいつも休み時間をやり過ごしていた旧校舎で密会したため、彼に現場を見られてしまう。 噂が流れた後は離島の高校に転任させられた。
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