神治の会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/11 15:00 UTC 版)
曜堂たちのターゲット、並木由佳里が入信した新興宗教。 「やがてこの世に”大破滅”が来る」という、独自の終末論を持ち、「信者のみがそれを生き残れる」という選民思想を強く打ち出している。 信者は全員白いセットアップの信者服を着用。蟹立高校の最寄り駅前で、街宣車によるアジテーションやビラ配りなどの勧誘活動を行っており、由佳里もそれに参加している。湊の調査書によれば、開運グッズも販売しているとのこと。 一方で、謙司の発言によればテレビでは悪徳カルトという報道がなされているようである。 並木 由佳里(なみき ゆかり) 謙司の同級生。第二部の中心人物の一人。 一般家庭に生まれた普通の少女のようだが、実は出生に秘密を抱え、ある後ろ盾から用意された疑似家族で育った。 彼女自身はそのことを知らずに育ってきたが、幼少期から親の愛や家庭環境の空虚さを無意識的に感じ取っており、そのことを常に抱えながら過ごしてきた。 蟹立高校に通っていたが、男性教師と関係を持ったことが学校中の噂となったために学内にいられなくなり、神治の会の出家信者となる。 そのことで、高校側からは不登校の扱いとなっており、両親がデプログラムを依頼するに至った。 入信して日が浅いものの教団の教えを盲目的に信じ込んでおり、勧誘活動中に謙司と会った際、湧作が自殺したことを告げられるが、「信仰を持たないつまらない人生だからこそ、簡単に捨てられた」と冷徹に切り捨て、「自分は教団の教えを守り終末を生き残る」と決意表明のように言い放った。この時謙司に男性教師との密会現場を見られたことも告げており、噂も彼が流したとの見解を述べたが、信仰により許したとした。 曜堂の計画に介入した謙司によって拉致され、彼のアジトであった水門の事務所に監禁される。そこで「並木さんは洗脳されており、自分だけが守ってあげられる」と謙司から迫られるが、彼を「信仰を捨てさせ、出て行った家に自分を引き戻すための悪魔の使い」とし、言動には一辺も耳を貸すことがなく、素手でガラス窓を叩き割ってまで逃亡を図ろうともした。 ハプニング的に謙司が由佳里を押し倒す形になった時にも、自身の身体を差し出す形で信者を獲得したことを告白。 「自分の身体を犯すことは出来ても、心まで汚すことは出来ない」と言い放ち、自身の信仰心がどれだけ強いかを示した。 後に謙司に追いついた曜堂と湊によって、菌血症に陥っていたところを救出され、山中にあるデプログラム用のセーフハウスに身柄を移された。 食事や睡眠により体力を取り戻したのちに、曜堂から退行催眠を用いたセッションを受ける。 自身の過去を振り返り続ける幻想の中で、これまでの行いは欠けていた親の愛、とりわけ異性親からのそれを求めた故のことであったと気付く。そして同時に、それは埋めようとしても埋められないものであるとも悟り、今後の人生においても続く孤独感を引き受けていこうと腹を決めるに至った。 その後、地下室から逃げ出した謙司に愛を告白され「再び自分と来てほしい」と告げられたが、その態度を「自分のことを何も知らず、勝手なイメージに縋りついているだけ」とし真っ向から否定。 さらには人間性についても「親友すら見殺しにしたような、精神的な自立を目指していく自分には必要のない存在」とまで断言、素の自分として毅然と申し出を拒絶した。 最終的には両親の家へ帰還するが、ワイドショーで「カルト教祖の隠し子」という自身の真の生い立ちを知ることになる。 自宅を報道陣に取り囲まれ、造創教会の黒服に玄関を警護される中で、複雑な面持ちを浮かべて自室にこもっていた。 先輩 神治の会の信者。先輩信者として、入信して日の浅い由佳里の面倒を見ていたようである。 深夜に半ば船をこぎながら電話番をしていたところ、湊による偽の自殺予告の電話を受ける。 そのまま通話の誘導通りに窓の外のライトを見てしまったため、彼女の催眠の練習台としてトランス状態に陥り、由佳里の身柄を曜堂達に引き渡してしまった。
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