演習林誕生とは? わかりやすく解説

演習林誕生(第2期)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/09 04:22 UTC 版)

京都大学フィールド科学教育研究センター森林ステーション芦生研究林」の記事における「演習林誕生(第2期)」の解説

こうして誕生した芦生演習林であるが、すでにあった東京帝国大学北海道帝国大学といった他の帝国大学国内演習林国有林設定の形で演習林地を取得し伐採した材木販売益を100%自らの収入とできたのとは異なり地上権設定した借地契約であり、収益については当初40年間は地上権者が地権者最初5年は年5万円ずつ、残り35年間は毎年1万円ずつ支払いその後伐採した材木販売益を地権者折半する分収方式であった。これは先発大学早く追いつきたいが、広大な林地買収するだけの財政的な裏付けがないことから、やむを得ず選択され手法であった。ところが、契約間もない1922年3月当初地権者契約していた分配金5万円が支払われず、同年8月になって年間伐採益の全額として支払われ金額1万円けだったことから、契約不履行として、告訴含めた大きな騒ぎとなってしまった。結局大学京都府地元交えた議論の中で調停が行われ、1923年4月契約一部修正して地権者側の伐採収益取得権利地上権者側に譲渡し地上権者側は代償として、39年間の借地料金利積算額である22万円同年中に地権者側に支払うことで和解したこのような山林地上権での基準対価による契約更改京都府においては前例のないものであり、地上権固定額で契約したことも含めて後々側に不利になった側面があったことは否めない。ただ、知井村の側においてもこの22万円基金として部落一元化実現しただけでなく、戦前には財政において演習林からの安定した財産収入が、昭和恐慌期において財政窮乏から救った効果大きといえるまた、契約時に木材搬出ルート設定を、隣接する朽木村経由佐々里峠越えて広河原や花脊を経由するものではなく村内東西横断する形で設定するよう求めたり天然更新での伐採処分権利喪失しないよう求めている。この他演習林開設によって地元芦生住民をはじめ地域住民雇用の場を創出し効果大きといえる一方でこのような騒ぎをよそに、施設整備進められていった1923年演習林事務所建築されたのを皮切りに林内での作業所苗畑といった施設設置が行われたほか、1925年には出合現在の京都広河原美山線との分岐点)から演習林事務所に至る車道開設され1927年には由良川源流沿って事務所から七瀬に至る森林軌道軌道敷開削工事開始1934年には事務所 - 赤崎間にレール敷かれた。なお、演習林事務所については1930年現在の事務所新築された。また、施業の面では1924年造林事業が、1925年はしいたけの栽培開始され1933年からは木炭製造開始されている。造林事業については、当初伐採行ったところ林相悪化招いたために一時伐採中止その後はしいた栽培木炭製造のための雑木伐採枕木用の材の伐採跡に造林行った。 この時期演習林では、学術的な研究重視した経営方針立てられていた。当時京都帝大演習林では台湾演習林において樟脳生産が行われ、樺太演習林においては材木伐採によって収益上げていたが、芦生演習林においては学術研究実地拠点にしようとする期待大きく学術的な成果挙げようとする動き強く働いたことから、「営利的施業より理想的な施業」として、営利目的より学術的な成果重視する立場取っていた。こうしたことから、並行して材木伐採続けられていたが、しいたけ栽培原木用材択伐のほか、枕木用の材や木炭生産用雑木伐採が主であった。しかし、昭和恐慌から日中戦争経て太平洋戦争へと続く時代流れの中で、軍事費増大による大学予算削減から大学収入源確保求められたことや、国策遂行のために協力求められたことから、理想的な経営方針変更余儀なくされていく。1934年開通した森林軌道沿線中心に木炭用の雑木枕木用の材が大量に伐採されたほか、ブナ材は飛行機プロペラ用や梱包材として伐採された。中でも木炭生産年を追うことに増加し昭和十年代における京都帝大年間木炭需要1万4千俵を大きく上回る俵数を生産余剰分は市中販売され貴重な収入源となったほか、「大学炭」として新聞にも紹介されるほどであった太平洋戦争突入後は、総力戦遂行のための林業資源確保のために、1943年には小野子方面森林軌道延伸が行われ、伐採面積拡大対応していった。こうした伐採面積拡大同時に演習林荒廃進行させることとなったが、戦時体制の前では如何ともしがたく、このまま終戦迎えることとなった

※この「演習林誕生(第2期)」の解説は、「京都大学フィールド科学教育研究センター森林ステーション芦生研究林」の解説の一部です。
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