沙維の登場人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 10:17 UTC 版)
ソニン 天山の巫女だった少女。物語開始時の年齢は12歳。先代の大巫女に見いだされ、生まれたその日に両親から天山に引き取られた。長年巫女としての修行を積んできたが、「夢見」の能力を自在に操れず、大巫女から「見込み違い」だったと見なされ、下界の実家に返されることになった。実家に戻ってから数ヶ月後、ソニンの村に王子たちの一行が立ち寄り、末の王子イウォルと知り合う。ふとしたきっかけで口のきけない彼の手を触れることで、その心の声を聞くことができることが分かり、彼の侍女として王宮に勤めることになる。物語の中で、王宮や隣国江南・巨山で起きたいくつもの事件を直接間接に解決した結果、主人であるイウォル王子はもちろん、パロル国王やサウォル王子、さらには国外のクワン王子やイェラ王女たちからも信頼を得ている。 容姿は平凡で才走ったところもなく、愚鈍にさえ思われることもあるが、実際には思慮深く堅実で、洞察力が深く、周囲の評判に惑わされず冷静に物事を判断することができる。ただ生まれてまもなく天山に引き取られ、巫女として欲望や感情にとらわれて生きることを禁じられてきたことから、下界で暮らす人々の悪意や嫉妬に疎いところがある。また、普通の人のように自分の欲しいものやなりたいものを明確に思い浮かべることができない。そのため友人のミンやイウォル王子が自分の目標を目指して努力する姿を見て羨しく思う時がある。 ソニンの夢見の能力は、下界に降りてからは、睡眠中に偶然起きる程度ものとなっており、自分の意志で能力を発揮できたのは一度しかない。夢見でみた光景は、作中では事件解決の手がかりとなることが多いが、本人はそのような不確実な力を過信することなく、むしろ巫女の修行や下界で学んだ知識と経験に頼って生きていこうと考えている。薬や毒物に関して相当の知識を身につけている。また、ある経緯によって化粧にも詳しくなり、彼女の作る練り香や白粉は若い娘たちの間で人気だが、入手先がレンヒの残したメモであることから本人はあまり快く思っていない。 イウォル 沙維国の王子。物語開始時の年齢は15歳。7人兄弟の末の王子として生まれた上、生まれつき口がきけないことから、内向的な性格に育ち、兄弟の中で最も影の薄い存在として王宮でも民間でも軽んじられてきた。ソニンの住んでいた村に立ち寄った時、ふとしたきっかけで彼女と手を触れると自分の意思を伝えられることに気がつき、ソニンを自分の侍女として王宮に召し抱えることにする。 聡明で学問熱心な努力家であるが、当初は口がきけないことを気にしすぎるのと潔癖すぎる気性のせいで、自分から周囲との壁を作ってしまい、限られた少数の人にしか理解者がいなかった。ソニンの支えやクワン王子らとの交流を通して、次第に思慮深くなるとともに、周囲の人にも心を開くようになり、人間的に成長する。物語の中で沙維国の抱える難題をいくつも解決したことから、現在では国内外での評判も大きくなりつつある。 ソニンの父 沙維国の貧しい農民。天山から「見込み違い」で戻されたソニンを温かく迎え入れた。謙虚な人柄で、ソニンが王宮に仕えることになった時には、王子の侍女という身分をかさに着て増長しないようにと彼女を諭している。もとは江南の国境近くの出身で、若い頃は船乗りになりたかったが、最初の航海で挫折した。その時の経験から、いささか変わった人生観を持っている。 ユナ ソニンの姉で、物語開始時の年齢は17歳。村一番の美人との評判。妹のソニンを心から愛している一方、天山の巫女として育てられ、普通の子供のような他愛のない欲や望みすらも持てずにいる彼女のことをとても気にしている。 ミン 村の川辺に住む少女。物語開始時の年齢は12歳。ホイという年の離れた弟がいる。下界に戻ったソニンの初めての親友となる。背が高く目はややきつめで、気が強く口調もいささか乱暴だが、しっかりものでソニンのことを心から大切に思っている。父親が働かず家が貧しいため勉強がしたくてもできなかったが、ソニンから本を譲られて勉強するようになる。頭がよく、教えられたことはすぐ飲み込んでしまう。 第2巻で父親に娼婦として売り飛ばされそうになり、家を逃げ出して城下の居酒屋『鶴亀亭』で働くことになる。勘の良さと真面目な働きぶりから、店の女将に信頼されている。いつか暖簾分けしてもらい、自分の店を持つことを夢見ている。 沙維王 イウォル王子たちの父。長年堅実な治世を続けてきたが、巨山の江南侵略と王宮内での陰謀によって体調を崩し、第1巻の終わりで王位を長男のパロル王子に譲って引退する。 ヤンジン 沙維王の弟。年齢は50歳前後の恰幅のいい男性。兄王と違い幼少から素行が悪く、王宮内での評判は芳しくない。 レンヒ 王弟ヤンジンの妃。艶やかで儚げな美女であり、30代過ぎという実際の年齢よりもはるかに若く見える。粗暴な夫のヤンジンにまめまめしく仕え、他人への物腰もとても柔らかいことから、国王をはじめ王宮内での評判はいいが、イウォル王子には好かれていない。第1巻の後半で重大な秘密が隠されていたことが明らかになり、ソニンの人生に大きな影響を与えることになる。名前を次々と変えており、本名はレン。 そのため、全ての偽名にレンが入っている。 イルギ 国王直属の武官。年齢は20代半ば。もとは捨て子で王立の孤児院「雛の家」で育った。職務に忠実で沙維王の強い信頼を得て、異例の抜擢を受けた。角張った顔、細い目、太い鼻という無骨な容貌の持ち主だが、実直な性格で周囲に流されない強さがある。 パロル 沙維国の第1王子。第1巻の後、老齢の父王から王位を譲られ、30歳で即位する。慈悲深く公正な人柄で国民の人気はあるが、国内外で山積する難題に苦慮している。 サウォル 沙維国の第2王子。兄弟の中で最も母親似の美しい容姿をした貴公子で、幼い頃母親と死別したイウォル王子に慕われている。駆け引きや弁舌に巧みで、兄のパロル王の即位後は、外交上の交渉を担当する場面が多い。許嫁である侍女のファジャン(後に結婚)もソニンと親しいことから、兄王子たちの中で最もソニンのことを目にかけている。 サンサ 「森の民」のナム族の老女。年齢は80近く。同じくナム族出身だった前王妃の頼みから、イウォル王子の乳母として王宮に仕えたことがある。かつてはソニン同様、イウォル王子の手を触れることで王子の声を聞くことができた。
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