平成第1期
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「仮面ライダーシリーズ」の記事における「平成第1期」の解説
2000年、『BLACK』のスタッフだった東映の髙寺成紀がプロデューサーとなり、テレビ朝日を制作局として11年ぶりにテレビシリーズ『仮面ライダークウガ』が制作された。「仮面ライダーは改造人間である」という旧作の基本設定の排除、変身態からのさらなるフォームチェンジの本格的導入、HD撮影への移行といった新要素を大量に取り入れ、作劇面ではヒーローと警察が緊密に連携するリアリズムや人間ドラマを追求した。変身ベルトの玩具は売れ行き好調で、商業的にも成功した『クウガ』の後番組も仮面ライダーになることが決定したが、何らかの理由で髙寺はスタッフの座に就かなかった。 以後3作品にわたって白倉伸一郎がプロデューサーを務めたため、これらを3部作と見る向きがある。共通する主題は「乱立する小さな正義とその調停」である。2001年の『仮面ライダーアギト』では当初から3人の仮面ライダーが登場し、それぞれの運命が交錯する様を描くという群像劇の手法をはじめて特撮ヒーロー番組に導入した。「イケメンヒーローブーム」が到来したのもこの頃である。視聴率は好調で『クウガ』が達成出来なかった劇場映画化も実現した。反面、前作の路線を継承して新味を欠いた玩具の売り上げは落ち込んでいる。 この時点では制作側にまだ「仮面ライダーシリーズ再開」という意識はなく、当初は『クウガ』『アギト』だけで終了という予定だったが、続く『仮面ライダー龍騎』によって平成ライダーの長期シリーズ化が決定的になる。アメリカ同時多発テロ事件の後、ヒーローの意義が問われる中で制作された『龍騎』は、13人の仮面ライダーがそれぞれの望みをかなえるために最後の1人になるまで殺しあうという、もはや「正義も悪もない」衝撃的な設定で旧作ファンの世代から強い反発を受けたものの、テーマを最後まで貫いたことで結果的に高い評価を得た。また、変身ベルトのような高額商品とカードのような安価で収集できるアイテムを組み合わせる商法は大ヒットし、以後、1作品における複数ライダー・複数アイテム制はシリーズの定番となる。 2003年の『仮面ライダー555』は、条件さえ満たせば変身ベルトを手にしたものが誰でも仮面ライダーになれるという、ここまでの平成ライダーで培われたイメージの集大成的な作品となった。 白倉3部作の終了後、平成ライダーは試行錯誤の時代に入る。2004年の『仮面ライダー剣』ではプロデューサーが日笠淳に交替したものの、ライダー同士のバトルロワイヤルや美形俳優の起用など、前作までの路線は継承された。一方、髙寺は自身が離れた後に平成ライダーシリーズが辿ったこのような傾向を疑問視しており、プロデューサーに復帰した折はライダー以外の作品を制作するつもりでいたが、結果的に「政治的な判断」からライダーが続行することになった。 こうして髙寺が復帰して制作された2005年の『仮面ライダー響鬼』は「完全新生」を宣言し、若手ではなく実績のある俳優を主演に据え、少年との交流を軸とした物語を描いた。だがこの作風は30 - 50代の高齢層から強い支持を受けた一方で、主要視聴者である男子児童からの支持はまったく得られず、売り上げは急速に落ち込んだ。その他諸々の事情が重なり第29話でプロデューサーを解任された髙寺に代わって白倉が再登板し、脚本の井上敏樹とともに前半部分への批評的な内容を展開。作風が一変したため、その是非をめぐって視聴者間で激しい議論が交わされることになった。なお、同じ2005年には映画『仮面ライダー THE FIRST』が公開され、2007年の『仮面ライダー THE NEXT』へと続いているが、これらは平成シリーズでなく、昭和シリーズ初作(『仮面ライダー』)の流れを汲む作品である。 ヒーローの王道を目指した2006年の『仮面ライダーカブト』の後、2007年の『仮面ライダー電王』は落ち込み続きだった売り上げを一気に好調へと転じた、いわば「平成仮面ライダー中興の祖」である。主人公の外見とそこに宿る人格が頻繁に変転する設定の『電王』において、キャラクターを明示するための記号として用いられたのが声優の声である。この演出によって男性声優の女性ファンが流入したため従来とは異なる消費者層が開拓され、複数の続編映画のみならずスピンオフアニメが制作されるまでに至った。時間を行き来する列車「デンライナー」も便利なガジェットとして以後の劇場作品に度々登場している。 2008年の『仮面ライダーキバ』の後、2009年には「平成ライダー10周年企画」である『仮面ライダーディケイド』が制作された。パラレルワールドとして再構築された、それまでの平成ライダー9作品の世界を渡り歩いていく主人公の旅は、やがて昭和ライダーの元にも及び、時代を超えて全作品のキャラクターが呼び出される「オールライダー」映画への道を切り開いた。また同作品は、それまでスーパー戦隊シリーズと重なっていた改編時期をずらすために全31話で終了となった。
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