大関陥落
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3度目の角番として迎えた11月場所は、7日目終了時点で3勝4敗の黒星先行と精彩を欠いていた。そして中日には、大相撲史上初の幕内土俵入りを済ませた後、支度部屋での準備運動中に腰痛の悪化(ぎっくり腰)を訴えて突如休場を発表し、宝富士戦は不戦敗となった。土俵入りへ参加の後、いきなり休場が発表されたために客席は大きくざわついたという。その後は再出場しないことを宣言し、大関で2場所連続負け越しした為に、来場所は関脇の地位へ陥落が決定した。大関在位場所数は15場所であり、現時点では把瑠都と並んで歴代10位タイの短命大関である。 場所後の11月27日、12月1日から開始される冬巡業を初日から休場することが相撲協会から公表された。2020年1月8日に尾車部屋で行われた二所ノ関一門連合稽古では関取衆で最多の番数となる19番を取り、相撲解説者の北の富士勝昭も「(高安は)思ったよりいい。あれだけ番数をこなせる。吹っ切れていた」と、復活を予感した。 2020年1月場所、10勝すれば大関に特例復帰出来るという状況の中、初日から精彩を欠き黒星先行が続く。そして9日目の宝富士戦で6敗目を喫してしまい、1場所での大関特例復帰は消滅した。この場所は6勝9敗で終え、来場所は平幕へ陥落することとなった。 2月9日の第44回日本大相撲トーナメントでは2年連続2回目の優勝を果たし、好調を示した。28日に堺市の尾車部屋大阪場所稽古場で行われた二所ノ関一門連合稽古では貴景勝と10番三番相撲を行い、7勝3敗。 しかし、3月場所は初日から4連敗し、4日目の鶴竜戦で左足を負傷したため5日目から協会に「左大腿(だいたい)二頭筋損傷、半腱様筋損傷、半膜様筋損傷で約4週間程度の安静加療の必要見込み」との診断書を提出して途中休場となった。 東前頭13枚目としてむかえた7月場所は、初日に琴ノ若に敗れるなど、不安な滑り出しであったが、11日目から千秋楽まで5連勝で終え、10勝5敗と二桁勝利となった。また6日目には元大関の照ノ富士と対戦し、勝利している。この場所を優勝することとなった照ノ富士に平幕力士で唯一黒星をつけ、存在感を示した。 2020年8月6日、杜このみと7月中旬に入籍していたことが公表された。杜このみは同時点で妊娠4ヶ月であり、2021年2月に出産予定であると伝えられた。当の高安は「男の子だったらお相撲さんに。女の子だったら演歌歌手に。どっちかな」と誕生を心待ちにしている様子を見せた。 東前頭6枚目としてむかえた秋場所では、中日の時点で6勝2敗と優勝争いのトップに並んでいた。しかし、9日目から、好調の若隆景、阿武咲、正代に立て続けに敗れ、優勝争いから脱落。しかし12日目からは4連勝とし、2場所連続の10勝5敗となった。 2020年10月22日の合同稽古では御嶽海らと14番取って10勝4敗。稽古後、7月に第1子が誕生する予定である中「まだまだ引退するつもりはないですし相撲を頑張って(第1子が)物心がついた時にいい姿を見せられるように、まだまだ頑張らないと」と語った。 11月場所は返り三役・西小結として迎え、8勝7敗で終えた。 2020年12月18日に両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古では、立ち合いで左右にこだわらずに当たるなど、さまざまなことを試し、関脇御嶽海、小結照ノ富士らを相手に13勝2敗と充実の内容を披露した。 2021年の目標として、初優勝と大関復帰を掲げた。 2021年1月場所は東小結の番付で9勝6敗で終えた。 2021年2月17日、第1子となる長女が誕生。 先場所同様、東小結でむかえた2021年3月場所は、初日は明生に敗れるも、その後9連勝し、10日目時点で後続と2差をつけていた。しかし、11日目には不調の大関・正代に敗れ、2敗に後退。さらに13日目以降は3連敗を喫し、最終的には10勝5敗で場所を終えた。千秋楽、勝てば敢闘賞受賞という条件がついていたが、碧山に敗れたため、敢闘賞は受賞できなかった。 東関脇となった5月場所は、中日時点で6勝2敗であったが、照ノ富士や貴景勝に敗れ、優勝争いから脱落。それでも14日目には10勝目をあげて、2場所連続二桁勝利をあげた。ちなみにその場所は12日目に不戦勝で勝ち越してインタビューを受けたが、その白星は朝乃山の不祥事によるものであった。 7月場所は成績次第で9月場所での大関復帰も有り得る状況であったが、場所直前の7月1日の稽古後に急性腰痛症となり、場所を休場することが決定。その時点では、9月場所での大関復帰は絶望視されたが、3日目から出場した。 場所中、兄弟子の稀勢の里が荒磯部屋の新設を控える中で、部屋で入門当初から行っていた稀勢の里との稽古について「1万番以上はやっているんじゃないですかね」と振り返り、部屋を離れる稀勢の里を惜しんだ。 9月場所11日目の照ノ富士戦では寄り切りで敗れて土俵下に落ちた際にすぐに起き上がれず、ぴくりともしない一幕があった。これには北の富士も「私も心配はしましたが、あの場合は土俵下にいた審判がもう少し、冷静に動くべきだったと思います。高安が動けなくなってかなりの時間、何もできず見守るばかりでしたが、とりあえず先に勝ち名乗りをあげるべきだったと思うのです」と審判部の対応に注文を付けていた。この負傷により、協会に「右大殿筋筋挫傷疑いにより約2週間の安静加療が必要となる見込み」との診断書を提出して12日目から休場した。負け越しが確定し、翌11月場所は6場所連続で守っていた三役から陥落することが確実となった。 10月25日に相撲教習所で行われた合同稽古では関脇御嶽海らを相手に計14番相撲を取り、「感触としては良かった。攻める相撲を取れた」と振り返った。ケガの状態については「打撲だったんですけど、もう大丈夫です。順調ですね」と万全を強調した。 2022年3月1日、妻の杜このみが公式ブログで第2子の妊娠を明らかにし、同年夏頃に出産する予定を示した。 3月場所は、一時期170kg台中盤まで落ちた体重を筋力トレーニングと食事稽古で183kgまで戻し、NHK大相撲中継の解説を務めた21代間垣が「食べ頃というか、ジューシーというか。みずみずしさがある。張りがある」と評価するほど見た目も変化。この場所は絶好調で2017年3月場所以来となる中日勝ち越しを決めた。さらに敢闘賞を千秋楽の結果に関わらず受賞が決定。12勝3敗で若隆景との優勝決定戦に進出するも、敗れて初優勝を逃した。優勝決定戦後、今後も幕内最高優勝を目指す意欲を持っている旨を語った。 13代二所ノ関は、若手時代に脱走の常習犯であった高安がこの場所で優勝目前まで奮闘したことに対して「まさか関取になるとは思わなかった力士ですから。優勝するなんて夢にも思っていない」と笑った。また、場所のちょうど1年前、高安との三番稽古で力強さや重さを感じなくなり高安に終わりを感じたが、この場所の高安を13代二所ノ関は「肩から背中の張りがすごい。腰まわりもかなり太い。ハムストリングも復活した」と目を見張っていた。13代二所ノ関はまた、稽古で胸を出して工夫しながら若い衆と稽古できているのかもしれないと推測していた。 5月場所前の5月1日、部屋の若い衆と50番相撲を取るなど猛稽古で順調に仕上がっている旨を語った。場所直前の北の富士のコラムでは、高安が優勝候補に挙がっていた。しかし場所では幕内上位の壁に阻まれて優勝争いどころか6勝9敗の負け越し。 6月6日に力士による出稽古が2年3ヶ月ぶりに再開され、自身も早速追手風部屋で出稽古を行った。13代二所ノ関が部屋から独立して以降、部屋の若い衆としか稽古できなかった中での出稽古再開であった。
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