審判部
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日本相撲協会には「審判部」が置かれ、勝負審判はここに所属する年寄が務める。審判部が所管しているのは以下の業務である。大相撲の世界において絶対である番付の編成を所管することから、審判部の役割は特に重要であるとされる。番付編成においては各力士の師匠が審判部に所属するか否かがその力士の番付昇降に大きく影響するとも言われる。横綱・大関昇進の際は、審判部長が理事会の招集を要請することが昇進の前提となっている。審判部は、各部所との連繋を密にし、土俵上で結集した成果が上るよう努めるものとする。 土俵上の勝負の判定 取組の作成 番附の審査編成 力士・行司に対する賞罰に関する事項 公傷に関する事項 その他相撲競技に関する事項 このほか、一門に横綱、大関が出た場合、その昇進伝達式には審判委員は理事とともに伝達の使者として昇進力士の部屋(地方場所では宿舎)に派遣される。 審判部長 審判部長は理事から、副部長は副理事(かつての監事)から理事長によって任命され、それ以外の年寄が副部長に就任した場合は役員待遇となる。原則として違う一門から 選任されるが、理事長が直接適任者を指名するので、一門無所属の年寄が任命されることもある。 審判部長は戦後から平成中期まで歴代すべて横綱経験者が務めていたが、2002年2月の改選時において大関止まりの二子山親方(元貴ノ花)が、横綱未経験者から初めて審判部長に就任した。さらに2010年2月には関脇止まりで幕内優勝未経験の友綱親方(元魁輝)が審判部長に就任した(元横綱千代の富士の九重親方とあわせて部長二人制)ほか、2012年2月には同じく鏡山親方(元多賀竜)が単独で審判部長に就任するなど、近年は横綱経験者に限らず務めている。 2020年3月の改選時からは、取組と番付の編成のみに専念する審判部長・審判部副部長が置かれることになった。編成担当の者は原則として審判長を務めないが、他の部長・副部長が体調不良などにより審判長を務められない場合は、その代役を務めることになる。 審判委員 審判委員は審判部に所属する年寄が勤める。審判委員の人数は当分の間20名以内とされ、現在5系統ある各一門(出羽海一門、二所ノ関一門、時津風一門、高砂一門、伊勢ヶ濱一門)からの推薦に基づき理事長より任命される。一門に所属していない親方は当然ながら一門からの推薦を受けられないため、審判委員に就任することは通常ない。偶数年2月の役員改選時における職務分掌異動で任命され、主任の年寄が委員に昇格する際に新任されることが通例で、一度退任した後に、再任されることもある。また、定期異動外でも審判委員の病気勇退等で委員待遇平年寄から委員へ昇格させる形で抜擢されるケースもある。近年は役員改選時に平年寄や主任のまま審判部の職務を任じられ、審判委員となるケースもある。また、2014年に導入された再雇用制度を利用し、一旦停年の後参与として再雇用された親方が審判に就任することもある。審判部に所属する年寄は、大相撲中継の解説には出演しない。 審判部は「花形」部署とされ、審判委員は横綱・大関経験者等、現役時代の実績に秀でた年寄が就任する傾向がある。戦後から2012年頃までは就任したほぼ全員が最高位前頭2枚目以上であり、一門からの推薦もおおむねこの基準で行われていたが、2012年以降は前頭2枚目以上の経験のない親方の就任例が急増している。それ未満の最高位で就任したのは以下の通り。 高田川親方(前頭21枚目・朝若)幕内在位1場所のみ:1957年(昭和32年)に勝負検査役(現在の勝負審判)に就任した際、「幕尻1場所の経験で横綱・大関の相撲を裁くのはどうなのか」と話題になった。 振分親方(前頭12枚目・朝嵐)幕内在位1場所のみ:奇しくも朝若と同じく高砂部屋の部屋付親方。 谷川親方(前頭4枚目・白田山)幕内在位14場所:現役時代は高砂部屋所属であったが、引退後に九重部屋、次いで八角部屋に移籍。 宮城野親方(前頭13枚目・竹葉山)幕内在位2場所:2012年(平成24年)2月に就任。大相撲八百長問題等で多くの親方が降格処分を受けていた中での抜擢で、また横綱白鵬の師匠という立場もあることから、最高位の低さについては特に話題とならなかった。2013年(平成25年)2月に退任。 東関親方(前頭10枚目・潮丸)幕内在位12場所:2012年(平成24年)2月に就任。委員ではなく、平年寄のまま就任(2013年(平成25年)2月に主任に昇進、2015年(平成27年)1月に委員に昇進)。2019年(平成31年)2月に退任。 式秀親方(前頭9枚目・北桜)幕内在位12場所:2015年(平成27年)2月に就任。主任昇進と同時(2016年(平成28年)3月に委員に昇進)。2018年(平成30年)3月に退任。 音羽山親方(前頭9枚目・光法)幕内在位4場所:2015年(平成27年)9月に就任。平年寄のまま就任(2016年(平成28年)3月に委員に二階級昇進)。2017年(平成29年)1月に退任。 時津風親方(前頭3枚目・時津海)幕内在位50場所:2016年(平成28年)3月に就任。2019年(平成31年)2月に退任。 田子ノ浦親方(前頭8枚目・隆の鶴)幕内在位5場所:2016年(平成28年)3月に就任。委員昇進と同時。2020年(令和2年)3月に退任。 春日山親方(前頭11枚目・濱錦)幕内在位7場所:2016年(平成28年)3月に就任。主任昇進と同時。同年8月に退任。 中川親方(前頭14枚目・旭里)幕内在位4場所:2017年(平成29年)4月に就任。2020年(令和2年)7月に退任(平年寄に降格)。
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