国鉄ED54形電気機関車とは? わかりやすく解説

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国鉄ED54形電気機関車

(国鉄7000形電気機関車 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 17:11 UTC 版)

ED54形は、日本国有鉄道(国鉄)の前身である鉄道省スイスから輸入した直流旅客電気機関車である。輸入当初は7000形と称した。


注釈

  1. ^ 『全国機関車要覧』掲載の形式図においては運転整備重量77.75 t、空車重量77.39 t、動輪周上重量59.75 tとされている[2]
  2. ^ 架線電圧1350 V時1時間定格は1540 kW
  3. ^ 架線電圧1350 V時1時間定格は80.4 kN
  4. ^ Brown Boveri & Cie, Baden、現ABBグループ(Asea Brown Boveri, Zurich)
  5. ^ Schweizerische Lokomotiv- und Maschinenfablik, Winterthur、現在はボンバルディア・トランスポーテーション(Bombardier Transportation, Berlin)の一部
  6. ^ 1922年の第46回帝国議会で東京 - 神戸間の電化が1928年までの竣工で協賛された[8]が、関東大震災の影響により国府津・小田原までの電化に計画変更された。
  7. ^ スイス国鉄の旧型電気機関車の例では、ロッド式約160両、クイル式約60両、ユニバーサル式約15両に対してブフリ式駆動方式は約240両で使用されており、チャンツ式は試作機のみであったほか、その他の方式の旧型電気機関車が1970年代頃に廃車となったのに対してブフリ式の機関車は1980年代では200両弱、1990年代初めでも100両弱が使用されていた[10]
  8. ^ 左右の動輪間に配置した機関車や、左右の動輪双方の外側に歯車箱を設けた機関車も製造されている[9]
  9. ^ ”Javagestell”、後述のジャカルタ郊外鉄道の3000形電気機関車に採用されたことに由来する[15]
  10. ^ 台車主電動機を吊り下げ、主電動機の重量の約半分を歯車箱経由で車軸が直接支持する。このため構造は単純だが、ばね下重量が大きくなる。
  11. ^ ジャカルタ郊外鉄道の3000形電気機関車では金属部分はペンキやラッカーで塗装されるかグリース塗布がなされ、ボルトナット亜鉛メッキしたものを使用したほか、鉄心やコイル類には絶縁ワニスを含浸させ、絶縁材にもコーティングを施している[18]
  12. ^ 東北本線岡本から高崎製紙日光工場(現:王子マテリア日光工場)(1941年運輸開始[23])・川崎重工業宇都宮工場(現:ジェイ・バス宇都宮事業所)へ至っていた専用線の途中に存在していた。
  13. ^ 欠陥機のC54形蒸気機関車DD54形ディーゼル機関車や、改形式による少数車のEF54形電気機関車がその他のジンクスの事例とされる。一方で電車客車気動車では、モハ54形電車スロ54形客車キハ54形気動車などがいずれも大過なく長期運用されている。
  14. ^ 本形式の問題の主たる要因は当時の鉄道省の保守技術不足であった[要出典]。準同形機であるインドネシア向け3000形の運用状況から判断する限り、本形式も適切な保守さえ可能ならば長期使用は可能であったと考えられ、その短命は整備工場への充分な精度を備えた専用工作機械の導入さえ満足に行えなかった[要出典]1960年代以前の日本の工業力の貧弱さを反映したものであった。もっとも、電気機関車の国産化を意図していた鉄道省からすれば、ブフリ式機関車の本形式はあくまでサンプルとして輸入された多くの外国製電気機関車の中の一形式でしかなく、当時の鉄道省が持つ技術の範囲で国産化するには困難の多すぎる車両として、早々に見切りを付けられた存在であったともいえる[要出典]。国内工業力の最良の部分を軍需産業に割かざるを得なかった、当時の日本の社会情勢では、他の適切な選択肢は無かったと言っても良い[要出典]。もっともその一方で、最高速度170 - 210 km/hを目指した弾丸列車計画では、ブフリ式やクイル式といった複雑な機構を備える無装架駆動方式の採用を前提に電気機関車設計を検討していた形跡が残されている[要出典]
  15. ^ 本形式に限らず、1920年代に国鉄が輸入した電気機関車で、導入当初不具合を生じた事例は多い。しかし、超大容量の電動カム軸式自動加速制御器を採用するなど、当時最新の技術が投じられていたが、工作技術の未成熟などから故障が続発したイギリス製輸入電気機関車群(ED17形など)や、BBCとSWSが製造したED12形(主電動機軸の両端に歯車を装着しており、やや特殊ではあるが駆動装置そのものは通常の吊り掛け式であった。)は、搭載機器の換装や細部の改修を行うことで実用性を改善でき、鉄道省標準の機器類を搭載して互換性を確保することもできた。これに対し、本形式の不調の原因は「時計のように精密な」とも評された根本的な機械装置部分の精度維持不能であって、構造改良による改善の余地がなかった[要出典]本形式を原型のままでも使いこなし得なかった日本では、早期廃車も一面ではやむを得ない選択であった[要出典]
  16. ^ 国鉄は1950年代から1960年代にかけてED60形EF60形の1次車等に採用したクイル式駆動方式はスパイダ穴からの塵埃侵入に伴う大歯車の偏摩耗 → 走行中の異常振動発生といったトラブルにより、その後は吊り掛け式となった。また自重軽減の観点から大出力主電動機とカルダン駆動方式を併用した1台車1主電動機駆動の交直流両用機関車(EF30形EF80形)も信頼性は必ずしも芳しくなく、その後のEF81形では吊り掛け式となった。その後も日本国有鉄道、およびその後身の日本貨物鉄道は、21世紀初めの現代に至るまで、電気機関車の駆動方式の主流を吊り掛け駆動方式としており、VVVF制御で交流主電動機を駆動する最新電気システムの新型機関車であっても、その多くが吊り掛け駆動である。例外は定格出力3900 kWオーバーのEF66形可撓吊り掛け駆動方式を、EF200形リンク式駆動方式である。
  17. ^ Staats Spoorwegen (SS)
  18. ^ Electrische Staats Spoorwegen (ESS)
  19. ^ 運転台の大型のハンドルからギアとシャフトを介して機械室内のカム軸接触器を動作させる。当時のスイスでは電車・電気機関車で採用例がみられ、例えばベルン-レッチュベルク-シンプロン鉄道Be6/8形といった大型の電気機関車でも採用されている[35]
  20. ^ オランダ植民地時代、独立後のインドネシアのいずれにおいても、現地の鉄道当局が機関車の国産化生産を目論んでいた訳ではないことや、宗主国から独立した発展途上国が、植民地時代に整備されたインフラを独立以前から継承された技術ノウハウによって長期間にわたり使い続けなければならなかった、という消極的事情もある。一方で、本形式と同様に複雑精緻な機構を備える4気筒式蒸気機関車のSS1000(C53)形をやはり第二次世界大戦後も使いこなしたことや、スマトラ島の急勾配区間用に戦後も複雑な機構を備えたラックレール用機関車を導入し、これが長く稼働したことが示す通り、保守に関してインドネシアの鉄道技術が長く高水準を維持していたことは厳然たる事実である[要出典]

出典

  1. ^ a b c d e f g h 『The Brown Boveri Review』VOL. XV12 p.358
  2. ^ a b c d 『機関車表』 p.2412
  3. ^ a b 『機関車表』 p.2415
  4. ^ 『国鉄輸入電機の系譜(上) RM LIBRARY 11』 p.2
  5. ^ a b 『国鉄輸入電機の系譜(上) RM LIBRARY 11』 p.5
  6. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XV12 p.357
  7. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XV12 p.366
  8. ^ 『国鉄輸入電機の系譜(上) RM LIBRARY 11』 p.4
  9. ^ a b 『スイス電機のクラシック』 p.76
  10. ^ Hans Schneeberger 『Die elektrischen und Dieseltriebfahrzeugender SBB Band I. Baujahre 1904 - 1955』 p.274 - 279
  11. ^ 『鉄道技術発達史 第4篇』 p.29
  12. ^ a b c 『The Brown Boveri Review』VOL. XV12 p.373
  13. ^ a b 『国鉄輸入電機の系譜(下)』 p.47
  14. ^ a b c d e f g 『The Brown Boveri Review』VOL. XV12 p.370
  15. ^ 『スイス電機のクラシック』 p.78
  16. ^ a b 『The Brown Boveri Review』VOL. XV12 p.367 - 368
  17. ^ a b c 『The Brown Boveri Review』VOL. XV12 p.368
  18. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XIII9 p.231
  19. ^ a b c d e 『JNRの電気機関車3 ED12・ED54』 p.19-24
  20. ^ a b c d 『The Brown Boveri Review』VOL. XV12 p.371
  21. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XV12 p.372
  22. ^ a b 『国鉄輸入電機の系譜(上) RM LIBRARY 11』 p.37
  23. ^ 『地方鉄道及軌道一覧 : 昭和18年4月1日現在』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  24. ^ 『国鉄輸入電機の系譜(上) RM LIBRARY 11』 p.40
  25. ^ 「鉄道公園に保存される機関車」『鉄道ファン』No.15、30頁
  26. ^ 『鉄道技術発達史 第4篇』 p.554
  27. ^ 『鉄道技術発達史 第4篇』 p.463
  28. ^ 『スイス電機のクラシック』 p.79
  29. ^ 『国鉄輸入電機の系譜(上) RM LIBRARY 11』 p.34
  30. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XV12 p.374
  31. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XIII8 p.189
  32. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XIII8 附図
  33. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XIII8 p.190
  34. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XIII9 p.227
  35. ^ 『Schweizerische Bauzeitung』Band:89 Heft:17 p.224
  36. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XIII8 p.227 - 228
  37. ^ 『The Brown Boveri Review』VOL. XIII8 p.228


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