反憲学連の目指すもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/10 03:14 UTC 版)
「反憲法学生委員会全国連合」の記事における「反憲学連の目指すもの」の解説
反憲学連の理論は、三島由紀夫、小田村寅二郎、葦津珍彦、谷口雅春等の影響を受けていると言われている。 反憲学連は、戦前(特に昭和初期以降)の教条的な「忠君愛国」的ナショナリズム(新兵を虐め、戦死者の遺族へ一掬の涙も許さなかった軍部に代表される)を、権力によって「揚げ底化」され、「体制化」された「体制ナショナリズム」(擬制秩序)であると批判し、連合軍の占領政策に対する日本国民の抵抗を不十分にした原因もここにこそ起因すると分析している。また、占領憲法を中心に作られた戦後日本の秩序を「新たな擬制の始まり」とし、これを解体して、「自立的ナショナリズム」に基づく、真正国家、道義国家の建設をこそ目指さなければならないとしている。 反憲学連は、明治維新を「“自立”によって達成された最大の民族的変革」と主張、幕末(慶応4年・明治元年)に隠岐の島島民3000人が松江藩郡代の権力を武装蜂起によって自ら排除した、いわゆる「隠岐の島コミューン」を変革の雛形の一つに挙げている。即ち、自らを天皇に直属する「朝廷の愛民」として把握し、幕藩体制の身分秩序を相対化した彼らの決起にこそ「権力を媒介としない自立的ナショナリズムの昂揚を見る」とともに「“民族自立”のもたらす変革の原像を見ることが出来る」というのである。そして、これに倣い、一君万民の平等意識と共生感に満たされる真正な秩序と政治共同体を創出するとしている。 また、具体的な政治制度については、現在は議会制民主主義を支持しているが、「単純多数の数の論理だけで下される決定方法が必ずしも正しい答えを導き出すとは限らない」として、これを絶対視しているわけではない。 経済制度については、今日の日本のような、資本主義的な自由経済と社会主義的な累進課税・社会保障制度等の組み合わせを支持しているが、「人々の欲望に基づく競争原理だけで決定される需給関係」を克服するためには、「国民全体の倫理、道義を確保するための“国家の精神的な基礎”が必要」と主張している。 天皇の存在については、(1)文化共同体としての日本国家(三島由紀夫の言う「祭祀的国家」や権藤成卿の言う「社稷」のようなもの)の中心として宮中の伝統祭祀を厳修し、国民の平等意識や共生感の源泉となると同時に、(2)体制・機構としての国家(三島由紀夫の言う「統治的国家」のようなもの。他国の侵略や犯罪等から国民を保護すると同時に、納税、兵役、遵法等の義務を国民に課す)の師表として、政府諸機関を倫理的、道義的に導く存在としている。要するに、天皇は、行政の組織や制度が救済できない社会的な弱者にも生きる希望や勇気を与える存在であり、また裁判官や議員、その他の公務員は、天皇の裁判所、天皇の議会、天皇の政府を担う矜持を持つことによって、より公正な裁判、公正な議論、公正な業務を行うことができるというのである(米国における建国の理念やプロテスタンティズムの伝統への忠誠、タイにおける国王の権威や仏教信仰等と同様に、国民の道徳的な高みを維持するために大きな役割を果たしているという意味)。 また、安全保障政策については、現状では日米安全保障条約を肯定する立場だが、最終的には「反安保」を志向している。実現の過程としては、まずは現状の「片務条約」を「双務条約」に改定し、やがて日本の国防力とこれを支える法制度や国民意識が一定の水準に達した段階で、安保条約は破棄されるものとしている(現在の自衛隊の戦略は米軍の来援を前提としたものであり、装備は米軍の装備を補完する内容でしかなく、安保の即時破棄は不可能という立場)。 アジア政策については、戦前の「玄洋社」などの運動への憧憬を持っているためか、「アジア主義」的な志向が強い。東南アジア諸国や台湾は勿論、韓国、そして北朝鮮や中国でさえも将来は連帯すべき対象と考えられている。但し、北朝鮮や中国の現政権には極めて厳しく批判的である。 最終的には、北朝鮮・中国の共産党政権が崩壊し、「チベット・東トルキスタン・南モンゴル・台湾等の独立容認」、「反日政策の停止」等が実現されれば、日米安保条約を破棄し、代わりにアジア安保のようなものを構想しているようである。
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