写本の伝来とは? わかりやすく解説

写本の伝来

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 10:11 UTC 版)

平瀬本源氏物語」の記事における「写本の伝来」の解説

写本平瀬家に入るまでの伝来不明であり、露香の代に平瀬家に入ったかどうか不明である。これについて古典籍古活字版研究知られる書誌学者、国文学者川瀬一馬は、江戸時代後期考証学者である狩谷棭斎安永4年12月1日1775年12月23日) - 天保6年7月4日1835年8月27日)が1816年文化13年)に関西方面旅した際に素性事績不明な「退六」なる人物所蔵していた源氏物語の写本調査して西遊日記』に記録しているが、この写本各巻鑑定筆者現在の平瀬本に見られるものと同じであることから、このとき狩谷見た源氏物語の写本現在の平瀬ではないかとしている。 本写本平瀬家の所有となった後、平瀬露香没後同家伝えられており、山脇調査時(1919年大正8年)ころ)は露香の養子である平瀬第8代当主平瀬三七雄(1876年明治9年) -1927年昭和2年)、春齢・露秀とも称している。)の所有とされており、1930年昭和5年)ころの池田亀鑑調査時には平瀬三七雄の夫人平瀬第9代当主)の所蔵とされている。平瀬家ではこれを非常に大切にし、「指でめくることを禁じられており、竹べらでめくらなければならなかった。」とされている。このため用意され専用竹べらは本写本文化庁所蔵となった現在も「アケルヘラ」と書かれた紙に包まれた形で本写本と共に保管されている。 良質な源氏物語の写本求めて明治時代後期から始まった写本調査の中で、良質な河内本系統の写本はすでに失われた考えられていた中で1919年大正8年4月山脇毅によって河内本写本として初め発見され1921年大正10年になって論文によって広く紹介された。山脇は本写本自体調査によって本写本54帖のうち30帖は河内本であるとし、さらに本写本本文河海抄引用され本文比較してさまざまな検討行っている。 1921年大正10年3月京都大学文学部から簡単な解説付して写本桐壺真木柱の2帖がコロタイプ版で刊行された。 1930年昭和5年)に池田亀鑑は後に校異源氏物語及び源氏物語大成結実することになる源氏物語の写本調査の中で、松田武夫伴って大阪平瀬家を訪れ写本調査している。 1932年昭和7年11月19日および20日池田亀鑑によって「河内本底本とした源氏物語校本校本源氏物語』の最終的な稿本完成した」として東京大学文学部国文学科において開催され展観会にも本写本展示されており、その際発行され目録では、本写本河内本系三十四種(第1~第34、第122底本))、青表紙系統六十二種(第35~第97)、別本系統二十四種(第98~第121)の中で尾州家河内本続いて4番目に掲げられている。但し、その目録には「(写)」との付記があるため、この展観会に実際に出品されたのはこの写本そのものではなく池田または池田作業手伝った人物写本筆写したものであろう考えられるこの後池田亀鑑による源氏物語校本作成作業は、青表紙本系統の最善本であるとされた大島本底本したもの大きく方針変更されることになり、完成までにさらに10年をかけてようやく1942年昭和17年刊行の「校異源氏物語」(及び戦後刊行され源氏物語大成)として世に出ることになったが、本「平瀬本」はその中で対校本の一つとして採用されており、さらに『源氏物語大成 研究資料編』において「現存重要諸本」のひとつとして簡単な解説加えられている。 1941年昭和16年7月3日付け官報告示により狭衣物語混入している『竹河』巻を除く本写本53帖が「紙本墨書源氏物語五十三帖」として当時旧国宝(現行法重要文化財に相当)に指定された。 本写本受け継いだ平瀬第9代当主戦後になって元々平瀬家の一別であった京都室町の家に居住していたために、本写本一時期京都平瀬家本」と呼ばれたこともある。 写本は、重要文化財指定であった竹河1帖を含め1999年平成11年)、東京古美術商から文化庁購入した2008年平成20年1月19日から3月10日には平瀬露香没後100年記念して大阪府大阪市大阪市立大歴史博物館において特別展没後100年 最後粋人 平瀬露香』が開催され当時すでに平瀬家を離れて文化庁保管となっていた「平瀬本源氏物語」のうち夕顔紅葉賀須磨明石藤裏葉若菜上若菜下、幻、匂宮浮舟各巻が「平瀬露香にゆかりのある文物一つ」として展示された。

※この「写本の伝来」の解説は、「平瀬本源氏物語」の解説の一部です。
「写本の伝来」を含む「平瀬本源氏物語」の記事については、「平瀬本源氏物語」の概要を参照ください。

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