再生専用MD
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再生専用MDはCDと同様の構造の光ディスクである。録音用MDと異なり、シャッターがカートリッジの裏側のみにある。CDのように既成曲の入ったパッケージメディアが録音用MDと同月の1992年11月に主に日本のソニー・ミュージックエンタテインメント (SME)(現・ソニー・ミュージックレーベルズ)を中心に88タイトルから発売された。その後、ソニーミュージックを筆頭に各社から1996年5月末までに約900タイトルが発売され、一時期はオリコンチャートも実施されていたが、その後は発売タイトル数の減少や廃盤タイトルも出始めた。 新譜についてはソニーミュージックが2000年(平成12年)まで、ソニーが受託製造・販売しているzetima(現・アップフロントワークス)のモーニング娘。の新譜はCDと同時に2001年(平成13年)まで発売されていた。結果的には、2001年までに1000タイトル以上発売された。 また再生専用MDは1999年から2000年の間に語学書籍の付属品として中経出版や三修社、講談社の講談社プラスアルファ文庫から約70タイトルが出版された。 2021年現在、日本において自主制作を除くMDタイトルで最後に発売された作品は、2009年(平成21年)に発売された倉木麻衣の『ALL MY BEST』(品番: VNYM-9001-2) である。製造設備の関係で再生専用MDではなく録音用MDを使用し、出荷時に誤消去防止用のツメを開けて固定した状態としていた。 なお、再生専用MDは下記のように展開された。 ソニーミュージックはCDと合わせた新譜発売の他に、CD選書のMD版である「MD選書」などの廉価盤も発売していたが、ソニーミュージック(販売受託レーベルも含む)以外のレーベルは人気作品のMD化が中心だった。ただ、発売タイトルは少なかったもののメーカー合同による販促キャンペーンとして対象ソフトを購入するとスリーブケースが特典として貰える施策もあった。 ソニーに製造委託をしていたレーベルからMDタイトルが多く発売されていたが、ライバルのDCC陣営の当時松下電器傘下のレーベルだったビクターエンタテインメント(現・JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)とテイチク(現・テイチクエンタテインメント)からもMDソフトが供給されていた。 ソニー・マガジンズが発行していた『WHAT's IN?』に、MDソフトの総カタログが別冊付録として添付されていた。 タワーレコードやHMVでは、マイケル・ジャクソンやマライア・キャリー・セリーヌ・ディオンなどソニーミュージック所属アーティストのアメリカから輸入されたMDソフトも取り扱われており、日本盤MDとはケースの形態が異なっていた。 再生専用MDは以下のレーベルにて発売された。品番のアルファベット4桁に関しては、規格品番を参照。"x"は0から9の数字が入る。 レーベル主な歌手規格品番発売年作品数備考ソニーレコード 尾崎豊、久保田利伸、UNICORN SRYL-7xxx 1992-2000 約380 現・ソニー・ミュージックレコーズ エアロスミス、ボブ・ディラン、マライア・キャリー SRYS-1xxx 1992-1999 約270 ソニー・クラシカル ヨーヨー・マ SRYR-6xxx 1992-1998 約90 EPIC・ソニー JUDY AND MARY、TM NETWORK、DREAMS COME TRUE ESYB-7xxx 1992-2000 約170 現・エピックレコードジャパン ジャミロクワイ、セリーヌ・ディオン、マイケル・ジャクソン ESYA-1xxx 1992-1999 約130 古澤巌 ESYK-6xxx 1995 キューン・ソニー・レコード X、電気グルーヴ、L'Arc〜en〜Ciel KSY2-20xx 1992-2000 63 現・キューンミュージック Sony Music Entertainment (Japan) Inc. 藤井フミヤ、鈴木亜美 AIYT-900x 1998-1999 3程度 現・ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ 日本コロムビア 観月ありさ、THE YELLOW MONKEY、ピチカート・ファイヴ COYA-xx 1992-1995,1997 50程度 ヴァージニア・アストレイ COYY-xx 1 オムニバス COYC-xx 3 鮫島有美子、藤原真理、大江光 COYO-xx 18 東芝EMI 高中正義、中原めいこ、甲斐バンド TOYT-50xx 1992-1993 50程度 現・ユニバーサル ミュージックLLC ジーザス・ジョーンズ、デヴィッド・ボウイ、ダイアナ・ロス TOYP-500x 1992-1993 9 佐藤しのぶ TOYZ-500x 1992 1 BMGビクター 福山雅治、林田健司、TOSHI BVYR-xxx 14程度 現・アリオラジャパン 羽田健太郎 BVYF-xxxx 1 ファンハウス 稲垣潤一、岡村孝子、加山雄三 FHYF-10xx 1992-1993,1995 23程度 Little Tokyo 小田和正 FHYL-100x 1992 1 ビクターエンタテインメント サザンオールスターズ、小泉今日子、河村隆一 VIYL-xVIYL-600xx 1993, 1997 20数程度 現・JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント ニニ・ロッソ、ティン・マシーン、チープ・トリック VIYP-xVIYP-800xVIYP-600xx 1993, 1997 10数程度 天野清継、国府弘子、ビル・エヴァンス VIYJ-xVIYJ-500x 5程度 オムニバス VIYG-x 2 テイチク PERSONZ、BEGIN、おおたか静流 TEYN-300xx 1993 6程度 現・テイチクエンタテインメント ダムド、T・レックス、ツー・ライヴ・クルー TEYP-2500x 3 エリック・ハイドシェック TEYC-2800x 2 キングレコード 中山美穂、森口博子 KIYS-x 1993 4 徳間ジャパンコミュニケーションズ LINDBERG、ZIGGY、BOØWY TKYA-100x 1993 3 ポニーキャニオン 中島みゆき、工藤静香、前川清 PCYA-000xx 1994-1998 20程度 ポール・モーリア、キング・クリムゾン、ワークシャイ PCYY-0000x 喜多郎、姫神 PCYR-0000x オムニバス PCYL-0000xPCYH-0000xPCYG-0000x ウォルト・ディズニー・レコード オムニバス PCYD-000xx 1994-1998 10数程度 1990年代前半から1999年の初夏までポニーキャニオンとライセンス契約を結ぶ エイベックス globe AVYG-7200x 1997 2 現・エイベックス・エンタテインメントglobeのタイトルのみ フォーライフミュージックエンタテイメント 杏里 1998年に販売委託先がポニーキャニオンからSMEJに移管 ゼティマ 森高千里、モーニング娘。 EPYE-50xx 1998-2001 10程度 現・アップフロントワークス1998年に販売委託先がワーナーミュージック・ジャパン(ゼティマの前身にあたるワン・アップ・ミュージック時代のみ)からSMEJに移管 NORTHERN MUSIC 倉木麻衣 VNYM-900x 2009 1 現・ビーイング倉木麻衣の『ALL MY BEST』のみ。
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再生専用MD
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先述の通り2001年をもって新譜の発売が終了した。以下の要因で普及しなかった。 機能面 音声圧縮によりCDと比べて音質や情報量が劣る。特に登場当初はエラー修正に容量を割いていたため記録量が半分しかなく、DATはともかく、競合規格のDCC以上にオーディオマニア層に嫌われた。 ダブルMDデッキが一部のメーカーから市販されたものの、ダブルカセットデッキほどは普及しなかったため、複製がCDや音楽テープよりも面倒だった。また複製できても特に機器同士をデジタル接続ではなく、アナログ接続した場合、音質がCDやDATから直接デジタルダビングしたものよりもアナログ→デジタル変換時に内部処理される音声圧縮システムの影響によりもさらに劣っていた。 流通面 ソニーミュージックの作品がMDソフトのカタログの大半を占めており、他レーベルはMDソフトを多くても数十タイトルしか発売しなかった。 音楽雑誌の新譜紹介にMDソフトの発売があっても掲載されていない事があったため、ユーザーに発売が知られていなかった。 大手CDショップではMDソフト専用棚を設け展開されていたが、CDやカセットテープと比べて小規模だった。またMDソフトを取り扱わなかった店舗も多かった。 初期はポータブル機から普及が進んだため、据え置き型のMDレコーダーやMDデッキ搭載コンポーネントシステムが相対的に普及していなかった。そのため再生専用MDを購入しても、外出時と在宅時で使いまわしできなかった。 多くのユーザーから「MDはCDをコピーして外に持ち出すことのできるメディア」として認識されたことで、CDでも発売されているタイトルをわざわざMDで購入するメリットを訴求できなかった。 MDタイトルのレンタルが存在しなかった。
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