再生回路の発明以前とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 再生回路の発明以前の意味・解説 

再生回路の発明以前

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 09:22 UTC 版)

再生回路」の記事における「再生回路の発明以前」の解説

再生回路発振回路技術ベースになる正帰還アイデア自体三極管発明される前から知られていた。当時使われいた電話機の受話器送話器を近づけた時の反応から、1890年にヒバード(A. S. Hibbard)が「ハミングテレフォン」(Humming Telephone)の現象発見した。これは今日ハウリング相当するものである。電話機カーボン式の送話器電池とを接続し、その電気出力トランス通し受話器戻して送話器受話器近づけると音が鳴るもので、フィードバックにより起こる。1908年には現象理論的な解析が行われ、またコペンハーゲンラーセン教授直流交流変換するのにこの原理利用している。当時電話利用者にはよく知られ現象だった。 後のド・フォレストアームストロングとの間の再生回路に関する特許訴訟では、フィードバック用いた継続的な電気振動発生させる手段」をどちらが先に発明したかが重要な争点となるが、フィードバックによる電気振動発生三極管の発明以前から知られていた。 また、三極管自体特定の条件整えれば容易に発振する特性持っていた。初期三極管研究が行われていた時代音声周波数での発振ハウリング)はごく一般的な現象だった。非常に厄介な現象で、回路パラメータ例えヒーター電圧)をわずかに変化させるだけで音が消えたり音調変ったりした。当時この現象「カナリア」(Canaries)と呼ばれていた。三極管発明され当時AIEEAmerican Institute of Electrical Engineers)でのスピーチで、ド・フォレスト自身このような現象報告行っている。高周波でもゲイン上げると三極管容易に発振してしまう。三極管による安定した高周波増幅が行えるようになるのは中和回路などの技術発明されてからである。 三極管の発明以前発振増幅関係するものとして、1895年頃のアーク放電研究から発見され負性抵抗がある。これは抵抗値見掛け上マイナスになるような素子回路で、同調回路接続すれば同調回路自体抵抗打ち消すことができ、三極管などを使用せず発振増幅を行うことができる。 アーク放電による負性抵抗用いた高周波発振器デンマーク技術者ヴォルデマール・ポールセンにより改良され1907年頃から無線送信機利用された。また水銀灯の持つ負性抵抗電話用の増幅器使えることが発見され電話中継装置使われた。 有名な発明家多く無線研究行ったニコラ・テスラ1899年コロラドスプリングス研究所様々な研究を行うが、その中の一つコヒーラ検波器用いた高感度VLF受信機がある。ニコラ・テスラ研究者は、この受信機コヒーラの持つ負性抵抗利用し再生回路のような動作をしていたと主張している。 金属粉絶縁容器納めたコヒーラは強い高周波信号加えると導通する性質持ち検波器として使われていた。しかし個々金属粉表面酸化被膜半導体のようにも動作するため、微弱な高周波信号に対して多数の点接触ダイオード組み合わせたような非線形特性も示す。加え高周波バイアスレベルによりこの特性変化し負性抵抗素子としての特性を示すようになるテスラ受信機スパークギャップ式の高周波発生回路コヒーラとを組み合わせて再生回路のような動作を行わせ、50μVから500μV程度微弱な高周波パルス検出できたと言われる。これは当時受信機としては非常に高感度で、再び同じよう性能得られるのは真空管式の再生回路発明されてからである。 1906-1907年にド・フォレスト三極管発明した。これは当時オーディオンとよばれた。これはジョン・フレミング発明した二極管改良したもので、1906年11月アイデア思いつき1907年1月29日特許申請おこなった米国特許番号879532)。このすこし前に副社長だった会社破産し最初の妻とも離婚したばかりのド・フォレストは、再び富と名声を得るため、申請の数か月後にはオーディオンや他の無線装置販売するド・フォレスト無線電話会社De Forest Radio Telephone Company)を作った。しかし製品はほとんど売れず会社1911年倒産した司法省ド・フォレストらを詐欺疑い告訴した検察官会社唯一の資産が「ド・フォレスト発明したオーディオンと呼ばれる白熱灯のような奇妙な装置だけで、その価値の無いことが証明された」と発言した。 この当時、オーディオンは増幅素子ではなく高周波信号検波器考えられていた。高価(5ドルから8ドル程度)だったにもかかわらず単純で安価な鉱石検波器よりわずかに感度良いけだったため、ほとんど売れなかった。ド・フォレストはオーディオンに増幅機能があると主張していたが、この頃三極管動作性能二極管大差がなかった。動作も非常に不安定だったド・フォレスト当時アシスタントはオーディオンを「通常の無線オペレータ使用するには信頼性が低すぎ、複雑すぎる」としている。また、オーディオンは1910年(明治43年)頃に日本にも輸入され電気試験所試験が行われたが、動作が不安定ですぐには実用にならない判断されている。 発明したド・フォレスト自身三極管動作原理を十分理解しておらず、管内封入したガスイオン化することで動作する考えていたため、特性不安定さはなかなか改善されなかった。三極管動作安定するのは、ラングミュアなどの科学者により動作原理正しく理解され高真空度の三極管作られるようになった1913年頃からである。 そのためオーディオンには、一部研究者当時アームストロングのような無線実験を行うアマチュア以外、大きな関心を持たなかった。

※この「再生回路の発明以前」の解説は、「再生回路」の解説の一部です。
「再生回路の発明以前」を含む「再生回路」の記事については、「再生回路」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「再生回路の発明以前」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「再生回路の発明以前」の関連用語

再生回路の発明以前のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



再生回路の発明以前のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの再生回路 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS