内燃機関における焼き付きとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 内燃機関における焼き付きの意味・解説 

内燃機関における焼き付き

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 04:15 UTC 版)

焼きつき」の記事における「内燃機関における焼き付き」の解説

主に自動車二輪車等の内燃機関は、高速ピストン運動をしている。焼き付きとは、油圧低下などの原因や、エンジンオイル品質・管理不良などの原因で、普段シリンダーピストンの間にある油膜一瞬でも無くなる事で過剰な摩擦熱発生して両者溶着そのままエンジン回転が完全停止してエンジンストールに至るか、溶着部分回転力剥がれる事でシリンダー又はピストンに傷が入る現象の事である。シリンダーピストン焼き付きやすいのは、主に1往復行程換算2回(=2stroke))で1行程完結する2ストローク機関ガソリンエンジンである。 2ストロークガソリンエンジン多くクランクケース内に混合気導入(吸気)し、ピストン下降によってクランクケース内に予備圧縮(1次圧縮)を発生させ、シリンダー内に混合気送り込む(掃気)構造を採る事で、ポペットバルブ持たない簡素な構造実現している。しかしこうした構造を採るが故に多く4ストローク機関のようにエンジン内部(ウエットサンプ)または外部(ドライサンプ)にエンジンオイル蓄えておき、オイルポンプ内部循環させた後にエンジンオイル回収して何度も再利用する潤滑形式を採る事が出来ず燃料2ストロークオイル混合した混合燃料」を混合気としてエンジン内部送り込む事で各部潤滑行い最終的に2ストロークオイル燃焼室内で焼き捨てる全損潤滑」と呼ばれる形式を採らざるを得ないこのような潤滑方法は、次のような状況容易にピストン焼きつき誘発しうる根本的な欠陥抱え事となる。 一つめは、キャブレターからエンジン送り込む混合気が薄い(リーン)事で発生しうる焼きつきで、これは2ストロークオイル総量不足しがちになるのと同時に空燃比薄くなる事によって燃焼温度上昇シリンダーピストン冷却(気化潜熱利用した燃料冷却)が不十分となる事によって、吸気ポート側を中心に焼きつきが起こる。対策としては点火プラグ焼け状態や回転フィーリングの許す範囲においてキャブレター内のジェットを濃い目(リッチ)に再調整する事で、ある程度焼きつきにくくする事が可能である。山や峠等の山地では空気密度が低いので空燃比薄くなり必然的に焼きつきやすくなるが、ノーマルの状態では混合気が濃いので焼きつく心配はまず無いとされる反対にエンジンボアアップした場合エンジン対す混合気がほぼ確実に足りなくなるので、ボアアップする際にはキャブレター口径大きくする、ジェット類の番手上げる等の対策が必要である。これらの対策を施さずに空気密度の低い場所へ行ったり、極端に回転まで回した場合焼きつく可能性極めて高くなるボアアップ施さない場合でも、チャンバー交換に伴い最大充填効率発生する回転域(パワーバンド)や充填効率その物極端に変化した場合や、エアクリーナーやインテークチャンバー(en:Airbox)の仕様変更などにより吸入空気量大幅に増大した場合キャブレターエンジン接合部(インシュレーター)に隙間発生していたり、クランクシャフトオイルシール気密性低下二次空気吸い込んでいる場合にも、希薄燃焼に伴う焼きつき発生しやすくなる二つめは、燃調が十分濃い場合であっても極端な回転や重負荷走行繰り返す事によって発生する焼きつきで、極めて大きな負荷エンジン掛かる事で燃焼室内の燃焼温度上昇してピストン膨張、最も熱上昇起こりやすい排気ポート周辺オーバーヒート発生して潤滑追い付かなくなる事で、排気ポート中心に焼きつきが起こる。これは、エンジン全負荷状態(フルスロットル)の際に特に起こりやすく、極端な負荷極端な回転意識的に避ける事や、水冷場合には水温計4ストローク場合には油温計油圧計異常値示した時にはペースを落とす、空冷場合には長時間アイドリング避けるなどによって予防が可能である。 三つめは、高回転時にスロットル全閉時間長くなる事で起き焼きつきで、高速回転中に混合気極めて少なくなる事によりピストン全体潤滑出来なくなる事でシリンダー各部焼きつき発生する。これは、エンジン回転数が高い状態から急激にスロットル全閉する極端なエンジンブレーキ使用する事や、平坦かつ水平な直線舗装路を定速走行したり、高速道路長い下り坂などでエンジン回転数比較的高い状態でスロットル開度が少なくなる部分負荷状態(パーシャルスロットル)を多用する事で起こりやすく、混合給油仕様場合にはこの傾向が特に顕著となる。近年オイルポンプによってクランクケース内部2ストロークオイル送り込む分離給油方式(it:Miscelatore)のエンジンの場合には、スロットル全閉時にやや多めオイル送り込む制御オイルポンプで行う事や、めっき加工シリンダー内壁強化する事などでこのような焼きつき防いでいる場合があるが、用途により(特にロードレースオフロード走行などによる)エンジンブレーキやパーシャルスロットルを多用せざるを得ない場合には、適宜クラッチ切ってスロットル空吹かしする事で、意識的に混合気エンジン内部送り込みできるだけ油膜切らさないようにする操作も必要となる。逆にオートマチックトランスミッション車やスクーターなどの、運転者任意に断続操作出来クラッチ持たない車種場合には、ワンウェイクラッチ用いたフリーホイール機構装備する事でエンジンブレーキ発生そのもの抑制または阻止する事で、このような焼きつき防いでいる。レーシングカートにおいては、ストレートエンドで強いエンジンブレーキ掛ける際に、吸気口を掌で塞いで一時的に混合気濃くする事で焼きつき発生を防ぐ、チョーキング呼ばれる特殊な走行技術用いられる四つ目は、冬の低温時に2ストロークオイル流動性低下しオイルポンプによる圧送が不十分となったり、十分にガソリンと混ざらずに混合燃料分離する事によって発生する焼きつきである。これは低温焼きつきとも呼ばれるもので、暖機運転十分に行われるまでは高負荷回転避ける、水冷オイルクーラー付き場合にはサーモスタット設定変更するなどしてオーバークールを防ぐ事などで予防が可能である。 なお、初め焼き付き経験する際は、焼き付きだと解らない事が多い。急にエンジンストールし、タンクガソリンはあるものの、キックをしてもいつもよりキック軽くエンジンが全くかからない場合焼き付き抱き付き可能性がある。軽度な焼き付きであれば点火プラグ取り付け穴からエンジンオイル等を垂らして何度もクランキング繰り返す或いは分解して傷付いたピストンリングシリンダー内壁耐水ペーパー等で研磨すれば再始動可能であるが、重度焼き付き場合部品交換をしなければならない

※この「内燃機関における焼き付き」の解説は、「焼きつき」の解説の一部です。
「内燃機関における焼き付き」を含む「焼きつき」の記事については、「焼きつき」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「内燃機関における焼き付き」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「内燃機関における焼き付き」の関連用語

1
10% |||||

内燃機関における焼き付きのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



内燃機関における焼き付きのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの焼きつき (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS