ロール安定制御器の開発とは? わかりやすく解説

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ロール安定制御器の開発

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/07 16:40 UTC 版)

航空魚雷」の記事における「ロール安定制御器の開発」の解説

安定器ロール安定制御器)が導入される以前九一航空魚雷初期型は、当時の他の航空魚雷がもっていたのと同じ、ある深刻な問題抱えていた。荒っぽく高速射出されると、魚雷空中で2回転上することがあった。大波の立つ荒れた海面突入するとき、魚雷はさらに激し衝撃を受け、スピン回転を受けることがあった。そのような魚雷走行方向曲がってまったり、浅い湾では海底突き刺さったり、100m超える水深もぐって水圧壊れたり水中から飛び上がったり、水面飛び跳ねたりし、反対方向走り出すものも出た確実な雷撃は、本当精鋭航空パイロットだけが静かな海で行うことができた。 くるくる回転している魚雷制御を失う。ジャイロスコープ深度計が正常に動作していても、そのような激し外乱受けた状態の魚雷は、それに比較して緩やかな軌道修正動作目的作られ尾部の舵では走行方向制御することができない。いったん魚雷長軸まわりの速い回転起こすと、平舵と垂直舵があるべき位置から外れたり上下反転したりの「転動」を起こしその結果として暴走引き起こしたエンジニア科学者たち1939年に、数年にわたるテスト数値解析結果から一つ結論導き出した航空機射出速度対す要求130ノットから180ノット以上に引き上げられからにはどのような航空魚雷であっても単なる安定板による減衰方式ではなく加速度制御機能をもつある種ロール安定制御システムが必要とされる加速度制御、つまり「当て舵機能実現は、当時としては不可能と思われた。この問題解決されないまま、2年間が経過した1940年昭和15年秋には、雷撃隊は海軍演習参加した編隊による雷撃発射法の戦技は、1940年10月11日横浜沖で艦艇98隻、航空機527機が参加した紀元2600年記念特別観艦式海軍演習示され旗艦戦艦長門艦橋見ていた海軍軍令部三代一就中佐らは、包囲的に来襲した九六式陸上攻撃機隊の雷撃長門回避することは不可能だ思ったその場にいた山本連合艦隊司令長官は同じ感想いだいた様子で、以後陸上攻撃機雷撃信頼置いた。ただし、この当時九一式魚雷改2には、まだ軍港内の浅海雷撃を、海軍から要求された180ノット上の高速では実施できないという課題残っていた。 浅海雷撃実験研究では、緒戦期〜大戦前半期空母雷撃隊を指揮した村田重治少佐海兵58期)が知られた。日米開戦前に第一航空艦隊所属九七式艦上攻撃機雷撃隊による浅海雷撃訓練担当し1941年12月日米開戦冒頭真珠湾攻撃において浅海雷撃作戦成功させた。 1940年昭和15年)末当時横須賀航空隊分隊長だった村田少佐浅海魚雷発射横空空技廠との共同実験研究従事していた。安定器安定舵はまだ開発されていず、板付き九一式魚雷改2で浅海雷撃実施する射法研究した工廠家田工長は、1941年春に初期のころの加速度制御機能をもつ新し安定器ロール安定制御システム)を発明した続いて海軍技師野間そのあと別のシステム作り出し1941年夏に最終テストされた。その装置は、単なる小さな機械式空気バルブ構造物が、魚雷本体後部両側にある小さな安定舵(ロール・ラダー)を制御しているだけのように見えたが、実際魚雷技術界の技術革新であり、航空魚雷技術ブレークスルーだった。九一航空魚雷ははじめて、荒れた海で使えるようになった1941年昭和16年)夏、村田は、鹿児島集結した南雲機動部隊の全雷撃隊員たちに窮屈な湾内での浅海雷撃訓練として100ノット低速低空飛行雷撃実施する第二射法」を指導していたが、8月中旬鹿児島湾でのサンプル試射安定器付き九一式魚雷改2の実施部隊への導入見込み判断し直ち訓練内容を160ノット雷撃する「第一射法」に切り替えた1941年9月付で正式に南雲機動部隊の「集団指揮官」として全雷撃隊長担当した九七式艦上攻撃機が1機7万円当時九一式魚雷は1本2万円の貴重な航空兵器だった。真珠湾攻撃へ出撃前に鹿児島湾新型安定器付き九一式魚雷改2を試射経験できた雷撃隊員はごく限られた少数で、赤城雷撃隊の後藤大尉は鹿児島湾一度だけ雷撃試射経験できた。しかし、第一機動部隊雷撃隊の大半雷撃搭乗員たちにとっては、真珠湾攻撃実戦初めての浅海雷撃実射になった

※この「ロール安定制御器の開発」の解説は、「航空魚雷」の解説の一部です。
「ロール安定制御器の開発」を含む「航空魚雷」の記事については、「航空魚雷」の概要を参照ください。

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