射法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 02:02 UTC 版)
火縄に着火しておく。複数の着火した火縄を準備することが多い。また、火縄の両端に火をつけ、それを二つ折りにして火口を左手の指に挟み持って待機する「二口火(ふたくちび)」という方法もある。 銃口へ発射薬である胴薬と弾丸を装填する(後に早合が発明されると装填の手間は大幅に軽減された)。火薬と弾丸は槊杖(カルカともいう)で銃身の奥へ押し固める。 火皿に点火薬である口薬を入れ、火蓋を閉じ、火の点いた火縄先を火挟(ひばさみ)に挟む。この口薬の容器は長さ5 - 8cmの水筒型が定番であり、火薬を注いだ後、手を放すと自然に腰にぶら下がり、キャップが注ぎ口に被さる仕組みになっている。これを腰にぶら下げるのが典型的な銃兵のスタイルである。 目標を見定め火蓋を切る(パンカバーを開ける) 構えて狙いを付ける。標的の体に当る可能性を高める為に胴体の中心を狙う。距離は標的の目の白黒が見える位、とされた。 引き金を引き発射。 再装填。 引き金を引くと火をつけた火縄が、あらかじめ黒色火薬を盛りつけておいた火皿と呼ばれる部品を叩く。火は火皿の口薬(くちぐすり)と呼ばれる微粉末黒色火薬に引火する。火皿内部に切られた導火孔の中の口薬は燃焼を続けて薬室内部へ到達すると思われているが、実際は、導火孔に火薬が詰まった状態にある場合、引火がゆっくりと進み引金をひいてからの時間差が生じて遅発となってしまって命中しないため、導火孔は空洞に保つようにして、火花を通し易くしておく。薬室内部には(胴薬)(どうぐすり)または玉薬(たまぐすり)と呼ばれる装薬があらかじめ充填されており、火が伝わるとそこで一気に燃焼(爆燃)、込められた弾丸を射出する仕組みになっていた。方式としては瞬発式火縄銃と緩発式火縄銃とがある。 なお、日本における火縄銃が頬付け形に終始し、肩付け形の銃床にならなかった理由には、戦国期においては戦闘に従事する兵士が、足軽から大将まで大なり小なり鎧を装着しており、物理的に銃床を肩に効率的にあてがう事ができないという銃床射撃に適さない装備であり、鉄砲狭間からの射掛けにおいて邪魔であるという用兵上の事情や、泰平期においては流儀による形態・射法の継承による硬直化等が指摘されているが、従来からあった弓矢の番え方(和弓特有の引いた弦を頬に付ける方式)をそのまま火縄銃に応用した結果、頬付け型になったという見方もあり、そのことがいち早く日本国内での火縄銃の普及に繋がった向きも充分考えられる。世界的に見ても、日本のように重装な甲冑を装備する兵士が、銃器を恒常的に使用する用兵を用いる国も珍しく、これらの理由から、頬付け型の長銃を長期に主力装備として使用した日本の火縄銃のデザインは、世界的に見ても極めて珍しい意匠となっている。
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