コンセプトと経緯、詳細
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 15:10 UTC 版)
「ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー」の記事における「コンセプトと経緯、詳細」の解説
本作の開発が始まったそもそものきっかけは池田の熱意であると言われている。池田は前作の打ち上げ時に既に続編製作の熱意を持っており、会社の上層部へも働きかけていた。そして前作でプランニングディレクターを務めた高橋光則も『ディシディア ファイナルファンタジー ユニバーサルチューニング』を作っている途中から「もっと色々な事が出来た」と思っていた。池田の熱意を受けた高橋が動いたのを筆頭に開発スタッフ全員でプロデューサーの野村に相談したところ、野村も前作を制作した際に「こうした作品は開発を重ねていく事で磨かれていく」と考えていたため了承が出たことから始まり、全体の開発コンセプトを「業界内で『ディシディアシリーズ』の存在感をしっかりと確立できる作品にする」とし、「『DFF』のエッセンスを踏まえつつも全く新しい遊び方や楽しみ方を作る」というコンセプトで2009年8月より制作が開始された。「012」と書いて「デュオデシム」と読むサブタイトルは、ただ単に『ディシディア ファイナルファンタジーII』と付けてもインパクトが無い上に、前作の戦いの後をイメージさせてしまうと考えたために、過去の戦いに当たる「12」を付けることにした。しかしローマ数字の「XII」では『FFXII』と混同してしまうと考え、表記をアラビア数字の12のままにし、「ディシディア」がラテン語であるのに合わせ「12」のラテン語訳「デュオデシム」とした。これでもそのままでは見た目のインパクトが弱かったため、最後に頭の0が付け足されて決まった。このサブタイトルを聞いた高橋は「0がFF世界の出発点のようなイメージのディシディアの世界観を、1がディシディアシリーズ1作目に当たる前作の、2が2作目に当たる本作を表していると感じる事が出来るとてもいいサブタイトルである」と語っているが、野村によると「そこまでは考えていなかった」との事。 開発にあたり、まずは入れたい新要素をリストアップし、それが実現可能かどうかを確認したところそれらの要素は全て実現された。バトルシステムは野村の「『DFF』の続編を作るならまずバトルシステムをもっと進化させる必要がある」という考えの元に高橋が「プレイヤーの選択肢を広め、なおかつ対戦ゲームなのでキャラクターを多く登場させる事で賑やかにする」という目標を立て、その目標に対する答えとして大掛かりなEXモードとは対照的に小刻みに使えるシステムとしてアシストシステムが導入され、さらに野村の「EXモード一遍になりがちだった前作のバトルシステムを変えて違う勝利を狙えるような新しいブレイクを導入して欲しい」という注文からEXブレイクとアシストブレイクが組み込まれた。これと同時にアシストシステムは当初呼び出したキャラクターがただ攻撃するだけのシステムだったが、激突させた相手に攻撃を加える事が出来るようにしたところ爽快感を得る事が出来たために激突連携が、通常の追撃時EXフォースを回収するシステムを加えたためアシストの方にも追撃の要素を入れたいとして追撃連携が組み込まれた。メインプログラマーの池田によると「プログラム的には前作で既に四人対戦も出来るような感じにはしていたのでアシストキャラクターを登場させること自体は楽だったが、四人分のデータをPSPのメモリ内に納めなければならず、どの技であればメモリに入れられるかまでを考えながら技の選定を行うのがかなり大変であり、メモリの容量から断念した演出もある」との事。 ストーリーモードではワールドマップとダンジョンの形式が導入された。野村は前作の時点で考えていたこの形式を高橋に持ちかけたところ、高橋も「RPGユーザーへの訴求をより高めるための方法」として同じ事を考えていたが、前作では既に移動システムが完成していたために断念していた。本作でも当初は予定になく導入は困難かと思われていたが、RPGプランナーの下田を初めとするスタッフたちの頑張りによって導入される事となり、高橋は本作のストーリーモードを「ディシディアで追求したストーリーの形である」と語っている。ワールドマップについては開発途中からの導入となった事もあり、当初は2Dでの作成も考えられていたが3Dでの作成が実現する事となった。また、レポートにショートストーリーが組み込まれたのは下田のアイデアであり、「可能な限り謎を残さない」という方針の元からキャラクター図鑑の解説やレポート、ショートストーリー、知られざる物語で多くの謎が解明されるようになっている。12回目のストーリーは「何を理由として敗北となるのか、消滅するキャラクターとしないキャラクターの違いをどうするか」を試行錯誤しつつ、「12回目の戦いに意味を持たせつつも13回目の戦いの意味を薄めないように」して作成されている。また前作のストーリーのリメイクは当初は前作のモードをそのまま収録する案も出ていたが、「せっかくなら作り直そう」という事から製品の形となった。 知られざる物語はワールドマップの導入が決まったと同時に導入が考えられたモードであり、多くのプレイヤーがクリアできるように調整されている他のストーリーモードと比べてかなり手応えが感じられるようにバランスが調整されている。 新要素は「FFファンなら誰でも一度は自分の思い通りのパーティーを組んでみたいと考えるのではないか」という考えから パーティーバトルが、「プレイヤーどうしのコミュニケーションをもっと進めるような仕組みを入れたい」という考えから当初の予定には無かったオリジナルクエストが導入される事になった。オリジナルクエストは当初はオリジナルイベントとして作成されていたがDDFFの良さの一つはカスタマイズであるという考えから設定可能な範囲をバトルにまで広げ、ゲームバランスを調節できるオリジナルルールのシステムも組み込まれた。 本作のスタッフについて本作ではディレクターとしての参加となった高橋は「ほとんど前作と変わらないので誰に何を頼めばいいのか分かりやすく作業しやすい」と、野村は「客観的な意見を言う事はあるが、基本的には自由にやってもらっており、今回はおじいちゃんの知恵袋のような立場である」とそれぞれ語っている。 開発スタッフが最も苦労したのはPSPのメモリに入りきるようにデータを軽くする事であり、池田は「当初はかなり絶望的だったが、各プログラマーが地道な努力を重ねて少しずつデータ量を削って行った結果、最終的には逆にメモリが少し余る位まで軽くする事が出来た」と語っている。 本作について開発スタッフは「前作からプレイしているユーザーも今作からプレイするユーザーも納得できるクオリティになっている」と、高橋は「アクション好きなユーザーはここ、RPG好きなユーザーはここ、と好きな所を選んで遊べるようにしており、もちろん全部の要素をやりこんでもらっても楽しめる作品」と、野村は「前作よりもスタッフのモチベーションが上がっていた上、前作を経てスタッフ間のチームワークも生まれていたため相当いい作品に仕上がっている」とそれぞれ語っている。
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