コンセプトと建造
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「クイーン・メリー2」の記事における「コンセプトと建造」の解説
「従来のいかなる船より大きな船を」、21世紀の豪華客船建造計画は、1998年にキュナード社を買収したカーニバル社のCEOミッキー・アリソンのそんな考えが発端だった。アリソンはこう述べている。「この船を造るためにキュナード社を買収したんだ。逆じゃない」。1998年6月、キュナード社は従来から進めていた総トン数8万4,000トンの2,000人乗り新型客船の設計を完了したが、できあがった案はカーニバル社のデスティニー級客船(総トン数10万トン)や、ロイヤル・カリビアン社のボイジャー・オブ・ザ・シーズ(同13万7千トン)と比較して小さく、この計画は破棄された。 6ヶ月後の1998年12月10日、キュナード社はクイーン・エリザベス2の後継建造という「クイーン・メリー計画」の詳細を公表。入札にはタイタニックなどで知られる北アイルランドのハーランド・アンド・ウルフ社、ノルウェーのアーカー・クヴァナ社、イタリアのフィンカンティエリ社、フランスのアトランティーク造船所が参加した。建造が順調に進んでいれば2002年までに就役できるはずであったが、受注業者がアトランティーク造船所に決まったのは2000年11月6日のことであった。このアトランティーク造船所はキュナード社のかつてのライバル、ジェネラル・トランスアトランティック社のノルマンディーとフランスを建造した造船所である。 建造は2002年7月4日にフランスのサン=ナゼールで始まった。約3,000人の熟練工が延べ800万時間を作業に費やし、設計から艤装までを合わせ、約2万人が何らかの形で携わった。造船所では、あまりに巨大なクイーン・メリー2の作業を「1.6隻体制」で行った。巨大な船体、絢爛な内装、外航船として要求される堅牢性。こうした要因により鋼鉄の使用量は一般的な客船と比して40%ほど多い。 クイーン・メリー2は2003年3月21日に進水し、9月25日から29日と11月7日から11日の二度にわたり公試が行われた 。その4日後の11月15日、最終段階にあった建造は思いもよらぬ事故により水をかけられる。作業員と招待されたその家族約30人が作業用通路を歩いていた際、通路が突如崩壊し15m下に落下したためである。この事故で計22名が負傷し、子供を含め16人が死亡した。このような不幸な事故が起きたものの、建造自体は予定通り完了した。2004年1月8日にイギリス女王エリザベス2世により「クイーン・メリー2」と命名された。
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