アジアサット
分類:人工衛星
名称:アジアサット/Asiasat
小分類:通信放送衛星
開発機関・会社:ウェスタン・ユニオン(1号)/アジアサット社(アジア太平洋通信衛星有限公司・2号)
運用機関・会社:アジアサット社
打上げ年月日:1990年4月7日(1号)/1995年11月28日(2号)
打上げ国名・機関:中国/中国長城工業総公司(発注元は香港のアジアサット社)
打上げロケット:長征3号(1号)/長征2E号(2号)
打上げ場所:西昌宇宙センター
国際標識番号:1990030A(1号)/1995064A(2号)解説:アジアサット1号・2号は、香港のハチソン・ワンポア社、中国政府が出資する中国国際信託投資公司、それに英国のケーブル・アンド・ワイヤ社などが共同で所有するアジア太平洋通信衛星公司、英語名アジア衛星通信コンソシアム(共同企業体)、略称アジアサットが打ち上げ、管理する通信衛星(CS)のシリーズです。ただし、通信衛星とはいっても、その能力のほとんどが、静止軌道からのテレビ放送やデジタルFM放送に使われています。今では、放送衛星(BS)との違いは、分類上定められた周波数(BSは11ギガヘルツ、CSは12ギガヘルツ)だけといってもよいでしょう。
アジアサット1号は、野心的なベンチャー・ビジネスとしてはじまりました。お金をかけずにアジア全体にテレビ電波を届けるために、衛星本体は1981年にスペースシャトルから放出されながら、故障で地球低軌道に放置され、のち1984年に同じくシャトルで回収されたウェスタン・ユニオン社のウェスター6号が再利用されました。故障による計画失敗で保険金がおりたために、この衛星は所有者なしの落とし物扱いになっていたのです。
また、1号の打上げには、アメリカや欧州宇宙機関(ESA)と比べるとほぼ半額で発射を請け負う中国長城工業総公司の長征3号ロケットが使われました。
しかし、1995年1月のアプスター衛星搭載の長征ロケット爆発事故につづき、1996年2月15日にはインテルサット708衛星搭載の長征3号がまたしても爆発事故をおこしたため、アジアサットでは1996年、1997年に予定されている3号を、ロシア(CIS)のバイコヌール宇宙基地からプロトン・ロケットを使って打ち上げることを決定しました。中国政府も出資するアジアサットのこの決定は、21世紀に向けての国際的な衛星打上げビジネスの行方に大きな影響を与えるだろうとされています。
アジアサット/Asiasatをよく知るためのアラカルト
どんな形をして、どんな性能を持っているの?
どんな目的に使用されるの?
宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
どのように地球を回るの?
分類:人工衛星アジアサットをよく知るためのアラカルト
どんな形をして、どんな性能を持っているの?
どんな目的に使用されるの?
宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
どのように地球を回るの?1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
1号は、円筒形で、直径2.16m、全高6.6m(展開部2.84m)。軌道修正燃料を含む定置時全重量620キログラム。回転(スピン)安定方式で、円筒側壁に配置された太陽電池の出力は850ワット、設計寿命は9年とされていました。24基のトランスポンダ(受信・応答機)を装備しています。
2号は、同じく回転安定方式の円筒形で、同型のLM7000型のデータによれば、全幅4.08m、全幅2.22m、全高2.54mで、スピン安定より高度な技術が必要とされる3軸制御安定方式、太陽電池パネルの全長が24.5m、定置時の全重量は1500キログラムで出力の総計は7100ワットと、1号に比べ大型かつ大出力となっています。
2.どんな目的に使用されるの?
1号、2号ともに分類上は通信衛星ですが、実際には主にアジア地域へのテレビ放送に使用されています。アナログ方式で出力が弱い1号は、大きな受信アンテナか、ケーブル・テレビによる再配信でしか見ることができませんでしたが、デジタル方式が可能な2号では、より多くのチャンネルをもっと手軽に見ることができるようになっています。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
香港のベンチャー企業として出発したアジアサット・コンソシアムは、宇宙からのテレビ放送という形で、アジアにおけるマス・メディアのありかたを根本から変える原動力の役割をはたしてきました。1号につづく2号では、スターTVなど従来の衛星テレビ局に加え、ドイツの公共放送ドイッチェ・ヴェレ、ロイター社、マレーシアのタイム・テレコミュニケーションがサービスを開始、打上げが予定されている3号とともに、アジア地域の衛星放送の主役としての地位を保とうとしています。4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
1997年12月24日に打ち上げられた3号、1999年3月21日に打ち上げられた3S号があります。5.どのように地球を回るの?
1号、2号ともに、地球と同じ24時間で公転するため、地上からは空に静止しているようにみえる高度約36000kmの静止軌道(地球同期軌道)。1号の定置位置は、東経105.5度、2号は100.5度。※参考文献:冨田信之・著「宇宙システム入門」東京大学出版会・発行、「世界年鑑データベース」共同通信社・発行
アジアサット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/19 05:30 UTC 版)
業種 | 衛星通信 |
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設立 | 1988年 |
本社 | ![]() |
従業員数
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154 ![]() |
ウェブサイト | www.asiasat.com |
アジア衛星テレコミュニケーションズ(Asia Satellite Telecommunications Co. Ltd.)、通称アジアサット(AsiaSat)は通信衛星の運用を行う会社。アジアサットの名はその通信衛星の名にも使用される。本拠地は香港で、CITICグループとゼネラル・エレクトリックが主な株主。
人工衛星
名称 | 製造元 | 打上げ | 軌道 | 運用状況 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
AsiaSat 1 | ヒューズ・スペース・アンド・コミュニケーションズ | 1981年 | 退役 | スペースシャトル(STS-41-B)によってウェスター6号として打ち上げられる。 軌道上にて故障しSTS-51-Aミッションで回収。その後アジアサット社に売却され1990年に長征3号Cによって打上げられた。 |
|
AsiaSat 2 | ロッキード・マーティン・アストロ・スペース | 1995年 | 東経100.5度 | 退役 | |
AsiaSat 3 | ヒューズ・スペース・アンド・コミュニケーションズ | 1997年 | 東経105.5度(計画) 西経158.0度(1998年) 西経62.0度(1999-2002年) |
退役 | 静止軌道への投入に失敗し、ヒューズ・グローバル・サービスへ売却。 月軌道を利用して軌道修正を行った。 |
AsiaSat 3S | ボーイング・サテライト・システムズ | 1999年 | 東経105.5度 | 運用中 | 打ち上げに失敗したAsiaSat 3に対する保険金により打ち上げられた代替機。 |
AsiaSat 4 | ボーイング・サテライト・システムズ | 2003年 | 東経122.2度 | 運用中 | |
AsiaSat 5 | スペースシステムズ/ロラール | 2009年 | 東経100.5度 | 運用中 | |
AsiaSat 6 | スペースシステムズ/ロラール | 2014年 | 東経120.0度 | 運用中 | |
AsiaSat 7 | スペースシステムズ/ロラール | 2011年 | 東経105.5度 | 運用中 | AsiaSat 3Sと交代して運用。 |
AsiaSat 8 | スペースシステムズ/ロラール | 2014年 | 西経4.0度 | 運用中 | |
AsiaSat 9 | スペースシステムズ/ロラール | 2017年 | 東経122.0度 | 運用中 |
参考文献
- アジアサット JAXA宇宙情報センター
外部リンク
固有名詞の分類
- アジアサットのページへのリンク