「天職」を求めてとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 「天職」を求めての意味・解説 

「天職」を求めて

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 02:46 UTC 版)

梶井基次郎」の記事における「「天職」を求めて」の解説

1921年大正10年10月賀川豊彦キリスト教社会運動うちこむ大宅壮一態度脅威感じた次郎は、〈天職といふものにぶつからない寂しさ堪らない〉と自身嘆き、〈自分大宅の様な男を見るとあせるのである〉と綴った。ある夜、中谷孝雄津守萬夫一緒に琵琶湖疎水ボートを浮べ、水際の路に上がって月見をしていると、ボート下流押し流され、基次郎津守一緒に水中飛び込み食い止めた。その勢いで2人競泳始め冷えた身体を街の酒場温めた。 この時に泥酔した次郎は、八坂神社前の電車道大の字寝て、「俺に童貞捨てさせろ」と大声叫んだため、中谷孝雄津守萬夫は基次郎遊廓に連れて行った。女が来ると基次郎はげろを吐いて女を困らせたが(いくらか故意にやっていたようだったという)、やがておとなしく部屋入っていった。 支払いのためにウォルサム銀時計質に入れた次郎は、「純粋なものが分らなくなった」「堕落した」と中谷言ったそれまで次郎中谷平林英子の仲を2人言う通り、ただの友人関係(従妹)と信じていたほど純真なところがあったという。 次第に基次郎の生活は荒れ享楽的日々を送るようになっていくが、中出丑三と議論し今は天職見出せなくても、〈土台〉を築けばいいという思い至った昨日は酒をのんだ、そしてソドムの徒となつた。あの寝る時の浅ましい姿。(中略天職を見出でない男の悲哀は何に由つて希望見出してゆくことが出来るか。決して空ではない希望。それを土台としてあの壮大な人間建築建てるための必要なグルンド。自分は頭がよかつた。それこそ必然を導く哲学考察。これこそは最も根本的な最も必然仕事だ、大宅社会主義奉じる彼の哲学彼の天職の空であつたことを告げかも知れない然し自分土台を築く。 — 梶井基次郎日記 草稿――第二帖」(大正10年10月17日11月上京区北白川西町(現・左京区)の澤田三五郎方の下宿移った家賃払え下宿から逃亡することがしばしばだった。この頃北野中時代友人神戸にいる畠田敏夫が遊びに来た際に、他の友人らも交えて清滝の「屋(ますや)」に行った。酔っぱらった基次郎は、愛宕参り兵庫県団体客の部屋に裸で乱入して喧嘩となり、撲られ学帽取られた(その後、店の主人森田清次が取り返して戻った)。 この頃、「江戸カフェー」で、例の同志社大学猛者渡辺をうまく追っ払った文丙の北川冬彦本名田畔忠彦)を見て、基次郎感激した北川柔道をやっていて、その場では文学談義にはならなかった。12月には、北野中学からの仲間への虚栄心から哲学書などを読んでいたことを基次郎矢野繁や畠田敏夫に告白したいやしいものだ、君はこんなことを聞いてあきれるだらう、これが町人の気質といふものだ、町人の嫌ひな俺は又町人だ、こんなことを打ち明けるのに組織的にうまくかけるはずはない、済まない判読し呉れ投函気持を失はざらん為読返しもしないから、(中略)これを打ち明けるのも虚栄心より発してゐるかも知れぬ あらゆる行為虚栄心といふものを懸念してかからねばならぬとは悲しいことではないか、 — 梶井基次郎畠田敏夫宛て書簡」(大正10年12月1日付) 1922年大正11年2月、基次郎短歌20首を作って畠田敏夫に送ったまた、創作に於る主観表現〉の関係を模索し、〈主観深さ表現美しさ〉について考察したりした。3月学期末試験の後、中谷孝雄和歌山県旅行した追試受けた次郎は特別及第となり4月3年進級したが、中谷孝雄落第した。 他の北野中出身理科友人や、同年入学文科飯島正浅野晃大宅壮一北川冬彦たちは全員卒業し東京帝国大学進んでいった。基次郎中谷は、三高の中で無頼の年長者として知られるようになっていく。 この頃三高学内では金子銓太郎校長への反発から生徒間で校長排斥運動高まり、基次郎も「先輩大会」に参加。この運動には文甲の外村茂(のちの外村繁)や桑原武夫活動していた。しかしその運動深入りしなかった基次郎は〈詩のシンフォニー〉を目指し詩作始めた絵画音楽舞台芸術関心もさらに高まり大阪大丸百貨店での現代フランス美術展行き京都南座上演され倉田百三作の『出家とその弟子』を観劇した4月29日三高来校した英国皇太子ウインザー公)が観戦する神戸外国人チーム三高ラグビー試合を基次郎昂奮して楽しんだこの頃三条麩屋町西入ルにあった丸善書店長い時間過ごしセザンヌアングルダビンチなどの西洋近代絵画画集立ち読みするのが基次郎の楽しみでもあった。

※この「「天職」を求めて」の解説は、「梶井基次郎」の解説の一部です。
「「天職」を求めて」を含む「梶井基次郎」の記事については、「梶井基次郎」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「「天職」を求めて」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「「天職」を求めて」の関連用語

「天職」を求めてのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



「天職」を求めてのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの梶井基次郎 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS