熱 熱量の単位

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/21 05:31 UTC 版)

熱量の単位

熱量国際単位系における計量単位は ジュール(J)である。ジュールはSI組立単位の一つであり、SI基本単位であるキログラム(kg)・メートル(m)・(s)を用いて J = kg⋅m2⋅s−2 と表せる。あるいはの単位であるニュートン(N)を用いて J = N⋅m と表すこともできる。

また国際単位系には含まれないが、伝統的な熱量の単位として、カロリー(cal)や英熱量(Btu)がある。これらの単位は、歴史的には単位質量温度を基準となる温度から(採用している温度単位で)1度上昇するために必要な熱量として定義されていたが、現在は様々な方法で再定義されている。そのため、SI単位換算で値が異なる定義が複数存在する。

熱と力学的な仕事はともにエネルギーの移動の一形態であり、いずれもエネルギーの単位であるジュールを用いて表せることが知られている。歴史的には熱と仕事は別個の量と認識されており、熱の仕事当量の測定などを通じて熱量と仕事の等価性が確かめられている。

国際単位系におけるエネルギーの単位時間当たりの移動量の単位はワット (W) である。ワットはジュール毎秒(J/s)に等しい。

日本の計量法における熱量の単位

日本の計量法において、熱量の計量単位は、ジュール又はワット秒ワット時と定められている[7]。なお、仕事の計量単位も電力量の計量単位もジュール又はワット秒、ワット時である。

1999年10月以降、計量単位としてのカロリーの使用は特殊の計量である「人若しくは動物が摂取する物の熱量又は人若しくは動物が代謝により消費する熱量の計量」にのみ用いることができる[8]。そして2002年4月以降、中学校学習指導要領において、熱量の計量単位は、ジュールを用いることとされた[9]。カロリーの使用制限の経緯および栄養学における使用については「カロリー」の項を参照。


  1. ^ Discourse on Heat and Work - Department of Physics and Astronomy, Georgia State University: Hyperphysics (online)
  2. ^ Perrot, Pierre (1998). A to Z of Thermodynamics. Oxford University Press. ISBN 0198565526 
  3. ^ Schroeder, Daniel V. (2000). An introduction to thermal physics. San Francisco, California: Addison-Wesley. p. 18. ISBN 0-321-27779-1. "Heat is defined as any spontaneous flow of energy from one object to another, caused by a difference in temperature between the objects." 
  4. ^ Baierlein, Ralph (2003). Thermal Physics. Cambridge University Press. ISBN 0521658381 
  5. ^ a b F. Reif (2000). Fundamentals of Statistical and Thermal Physics. Singapore: McGraw-Hll, Inc.. p. 66. ISBN 0-07-085615-X 
  6. ^ Smith, J.M., Van Ness, H.C., Abbot, M.M. (2005). Introduction to Chemical Engineering Thermodynamics. McGraw-Hill. ISBN 0073104450 
  7. ^ 計量法 別表第1、「熱量」の欄
  8. ^ 計量単位令 第5条及び別表第6(項番13)
  9. ^ 中学校学習指導要領解説、理科編p.43、文部科学省、2008年7月。「電力量の単位はジュール(記号 J)で表されることを扱い,発生する熱量も同じジュールで表されることや日常使われている電力量,熱量の単位にも触れる。」
  10. ^ BIPM 著、産業技術総合研究所 計量標準総合センター 訳『国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版』産業技術総合研究所 計量標準総合センター、2020年3月https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_日本語版_r.pdf  p.133 右下の欄外注記:現代の「熱量」の英語表記は quantity of heat でなく amount of heat である。なぜなら、計量学において単語 quantity に別の意味が有るからである。
  11. ^ Cengel, Yungus, A.; Boles, Michael (2002). Thermodynamics: An Engineering Approach (4th ed.). Boston: McGraw-Hill. pp. 17–18. ISBN 0-07-238332-1 
  12. ^ Published in Poggendoff’s Annalen, Dec. 1854, vol. xciii. p. 481; translated in the Journal de Mathematiques, vol. xx. Paris, 1855, and in the Philosophical Magazine, August 1856, s. 4. vol. xii, p. 81
  13. ^ Clausius, R. (1865). The Mechanical Theory of Heat] –with its Applications to the Steam Engine and to Physical Properties of Bodies. London: John van Voorst, 1 Paternoster Row. MDCCCLXVII.






熱と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「熱」に関係したコラム

  • CFDの銅相場の見方

    銅は、や電気を伝導したり、腐食に耐えられるなどの特性から工業用の金属として用いられています。銅の主な用途は送電線や電気製品などが挙げられます。銅は、工業用金属としては鉄、アルミニウムに続く消費量です...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「熱」の関連用語

熱のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



熱のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの熱 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS