凝縮熱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/23 09:09 UTC 版)
気体が液体に変化するときに放出される熱を凝縮熱(ぎょうしゅくねつ)または凝結熱(ぎょうけつねつ)という。凝縮熱は潜熱の一種であるので、凝縮潜熱または凝結潜熱ともいう。凝縮熱の値は、その逆過程の蒸発熱の値に符号も含めて等しい。凝縮は発熱過程であり蒸発は吸熱過程であるため、定義により凝縮熱も蒸発熱も正の値となる。それに対して凝縮エンタルピー ΔcondH(英語: enthalpy of condensation)は同温同圧の蒸発エンタルピー ΔvapH と絶対値が等しく、符号が逆になる。なぜなら ΔvapH は液体が気体に相転移するときのエンタルピー変化に等しく、ΔcondH は気体が液体に相転移するときのエンタルピー変化に等しいからである。蒸発エンタルピー ΔvapH は、気体 (gas) のモル当たりのエンタルピー Hm(g) から同温同圧の液体 (liquid) のモル当たりのエンタルピー Hm(l) を引いたものに等しい。 Δ vap H = H m ( g ) − H m ( l ) {\displaystyle \Delta _{\text{vap}}H=H_{\text{m}}({\text{g}})-H_{\text{m}}({\text{l}})} 一方、凝縮エンタルピー ΔcondH は Δ cond H = H m ( l ) − H m ( g ) {\displaystyle \Delta _{\text{cond}}H=H_{\text{m}}({\text{l}})-H_{\text{m}}({\text{g}})} で定義される。 Hm(g) > Hm(l) なので、蒸発エンタルピーは常に正の値となり、凝縮エンタルピーは常に負の値となる。 蒸発熱と同様に、液化で放出されるエネルギーは、同じ物質でも液化する条件によって異なる。また、液化も気化も一般には不可逆過程なので、対応する逆過程が常に存在するとは限らない。しかし、蒸発熱と同様に考えると次のことがわかる: 常温常圧の空気に含まれる、ある物質の蒸気が凝縮する際に放出する熱量は、データ集に記載されている 25 ℃ の平衡蒸気圧の下での、その物質の純粋な液体の蒸発熱にほぼ等しい。
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