MIPS CPU ファミリとは? わかりやすく解説

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MIPS CPU ファミリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 09:53 UTC 版)

MIPSアーキテクチャ」の記事における「MIPS CPU ファミリ」の解説

初の商用モデルR20001985年発表された。実行複数サイクル要する乗算除算命令の処理部をチップ上にやや独立したユニットとして追加した乗除算の結果直接汎用レジスタには入らず専用レジスタ出力されるため、それを汎用レジスタ持ってくる命令追加された。その命令乗除算の完了前に発行するパイプラインインターロックする。 R2000起動時ビッグエンディアンリトルエンディアンどちらか選んで動作する32ビット汎用レジスタ32本持つが、コンディションコードレジスタを持たない設計者はそれがボトルネックになる可能性考慮したためで、条件判断指定した2つレジスタの値の比較行いその結果分岐可否判断するレジスタ入っている値で条件判断するのはAMD Am29000DEC Alpha とよく似ている。なお、プログラムカウンタには直接アクセスできないR2000最大4個のコプロセッササポートしており、そのうち1つは主CPU組み込まれていて、例外処理トラップ処理、メモリ管理などを行う。したがって実際に外付けできるコプロセッサは3個までである。オプションの R2010 FPUコプロセッサとして接続できる。R2010は32ビット浮動小数点レジスタ32持ち倍精度演算では64ビットレジスタ16本として使用できるR2000後継としてR30001988年登場した命令およびデータ向けにそれぞれ32KB(間もなく64KBに拡大)のキャッシュ追加しマルチプロセッシングのためのキャッシュコヒーレンシにも配慮していた。そのマルチプロセッササポートには欠陥があったが、R3000で何とかマルチプロセッサ構成にした製品いくつか存在したR3000には当時の他のマイクロプロセッサ同様にメモリ管理ユニット (MMU) も組み込まれていた。R3000にもR2000のときと同様に R3010 FPU存在したMIPSアーキテクチャプロセッサとしては初め市場成功収め累計100万個以上が生産された。改良によって最高40MHzで動作するR3000Aが登場し、32VUPs (VAX Unit of Performance)の性能発揮した。R3000A互換の R3051 はソニー・コンピュータエンタテインメントPlayStation採用され、33.8688MHzで動作したサードパーティはR3000AとR3010をワンチップ化したものを設計しており、Performance Semiconductor のPR3400、IDTのR3500、NECのVR3600がある。東芝のTX3900はSoCであり、Windows CE動作するハンドヘルドPC向けに開発された。航空宇宙分野向けに電磁波耐性強化したMongoose-VもR3000とR3010をワンチップ化していた。 R4000シリーズ1991年登場した命令セットを完全な64ビット対応拡張しFPUCPUチップ統合し従来よりずっと高いクロック周波数動作した当初は100MHz)。しかし、クロック周波数上げるために一次キャッシュ命令とデータそれぞれ8KBに減らされ、キャッシュアクセスに3サイクルかかるようになった動作周波数上げるため、スーパーパイプライン呼ばれるパイプライン段数増やす工夫行っている。改良版R44001993年登場一次キャッシュが16KBに倍増され、64ビット関連バグエラッタ)が一掃され、より大きな二次キャッシュサポートしている。 SGI一部となったミップス外部バス32ビット縮小した低価格R4200設計し、さらに安価なR4300iベースとなったR4300iベースとしてNEC開発したVR4300はゲーム機NINTENDO64採用された。 ミップス元従業員創業した Quantum Effect Devices (QED) は、R4600 OrionR4700 OrionR4650R5000設計したR4000クロック周波数上げるためにキャッシュ容量犠牲にしたのに対してQED2サイクルアクセスできる大きなキャッシュ搭載しシリコン面積効率的利用達成したR4600R4700SGI Indy の低価格版採用されシスコルーター(36x0、7x00など)でもMIPSアーキテクチャとして初め採用された。R4650WebTVセットトップボックス採用された。R5000単精度浮動小数点演算性能を向上させており、同クロック周波数R4400搭載した同型機SGI Indy)よりもグラフィックス描画高速になったSGIは同じグラフィックスボードでもR5000向けは名称を変更し性能が高いことを強調したQEDその後ネットワーク機器レーザープリンターなどの組み込み市場向けにRM7000とRM9000というファミリー設計した。RM7000は256KBの二次キャッシュチップ上に搭載し三次キャッシュコントローラ備えていた。RM9xx0はSOCファミリーで、CPUメモリコントローラPCIコントローラギガビット・イーサネットコントローラHyperTransportポートなどの高速I/Oといったノースブリッジ機能集積している。QED2000年8月半導体企業 PMC-Sierra買収されPMC-SierraMIPSアーキテクチャプロセッサ開発継続している。 R80001994年)はミップス設計による初のスーパースケーラ方式で、複数命令同時に実行可能となったワンチップではなくCPU+一次キャッシュ命令データそれぞれ16KB)、FPU二次キャッシュタグRAMチップ×3(2個はキャッシュアクセス用、1つはバススヌープ用)、キャッシュコントローラの6個のチップ構成されている。完全にパイプライン化され加算乗算ユニット2つ持ち外付けの4MBの二次キャッシュからFPU直接データ取ってくる設計である。SGIPOWER Challenge サーバ採用され、後に POWER Indigo2 ワークステーションでも採用された。しかし浮動小数点演算性能は高いが整数演算性能はあまり高くないため科学技術計算などにしか向かず、また複数チップ構成されるためコスト高くSGI以外では採用例がない。 1995年R10000リリースされた。シングルチップでR8000よりも高いクロック周波数動作し一次キャッシュ命令データ共に32KBと大きい。スーパースケーラ設計だが、最大改良点アウト・オブ・オーダー実行採用した点である。メモリ・パイプラインは1つしかなく、FPUR8000より単純だが、整数演算性能大幅に強化されており、低コストでもあったため、市場成功収めたその後設計全てR10000コアベースとしている。R120000.25μmプロセス採用してチップ縮小しクロック周波数高めている。それを改良したR14000でもクロック周波数向上させると共に外付け二次キャッシュDDR SRAM利用可能にした。その後クロック周波数を向上させ内蔵キャッシュ容量増加させたR16000R16000Aリリースされた。 他にもMIPSファミリーにはR60001991年)がある。ECL実装したもので、Bipolar Integrated Technology製造したR6000では MIPS II 命令セット初め採用された。TLBキャッシュアーキテクチャが他のMIPSファミリーとは大きく異なる。発表したとおりの性能発揮できなかったが、CDCサーバ採用した。しかし、すぐに市場から姿を消した

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