初期のRISCとは? わかりやすく解説

初期のRISC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 07:19 UTC 版)

RISC」の記事における「初期のRISC」の解説

最初RISC開発時点ではRISCであるとは認識されていなかった。それは1964年Seymour CrayJim Thornton設計したCDC 6600スーパーコンピュータである。ThortonCray数値計算のためにわずか74種類命令をもつCPU周辺プロセッサOS大部分はこちらで実行される)と呼ばれる12種の単純なコンピュータ設計したCDC 6600にはたったふたつのアドレッシングモードしかなかった。CPU演算用の11本のパイプラインロード用の5本のパイプラインストア用の2本のパイプラインを持つ。メモリ複数バンク分かれていて、ロード/ストア並行して実行することが出来た命令実行サイクルはメモリアクセスにかかる時間10倍の速さであったもうひとつ初期ロード/ストアマシンとしては1968年設計されデータ・ゼネラルNovaがある。 最も一般に知られているRISCDARPAVLSI計画一環行われた大学での研究である。VLSI計画今日ではあまり知られていないが、チップ設計製造コンピュータグラフィックスなど様々な特筆すべき成果生み出している。 カリフォルニア大学バークレー校RISCプロジェクトデイビッド・パターソン指揮の下1980年開始された。基本的な考え方パイプライン今日レジスタ・ウィンドウとして知られている大胆なレジスタ用法であった同時期のCPU内蔵するレジスタ本数少数限られていて、プログラムその範囲レジスタ使いまわした。レジスタ・ウィンドウを持つCPUでは、アーキテクチャ128本のレジスタを持つが、プログラムからはある瞬間に、特定のレジスタ・ウィンドウ属する8本のレジスタのみが見える。CPUプロシージャ(ルーチン関数)ごとに別のウィンドウ割り当てプロシージャごとに相互に異なる8本のレジスタ使用する。そのためプロシージャコールや復帰極めて高速実施される当時パターソンらは、RISCCPU1チップ収めるための制約の下に単純なアーキテクチャ設計実装したもので、性能低下する考えていた。レジスタ・ウィンドウは、その性能低下を補うために導入されのである1981年発表され論文では、VAX11/780に対して実行サイクル数比で4倍との性能示されたが、RISC効果正しく評価されず、レジスタ・ウィンドウによる効果だと説明されていた。 このRISCプロジェクト1982年にRISC-Iを完成させた。同時期のCISCプロセッサ10万個のトランジスタからなっていたのに対して、わずか44,420個のトランジスタからなるRISC-Iは32種類命令しか持たなかったが、極めて高性能だった。次いで1983年にRISC-Iの3倍の性能のRISC-IIが登場した。RISC-IIは40,760個のトランジスタからなり39種類命令持っていた。 同じころ、ジョン・L・ヘネシー1981年スタンフォード大学MIPSプロジェクト開始したMIPSでは命令パイプライン可能な限りフル動作させることを目標としていた。命令パイプラインはすでに他でも使われていたが、いくつかの工夫によりMIPSパイプラインは非常に高速動作した。最も重要な点全ての命令を1クロックサイクルで実行されるようにしたことである。これによりパイプライン最大限効果発揮しプロセッサ高速化実現した。但し、乗算除算といった有用な命令省略されていた。 チップ上にRISCCPU作るという最初試みは、1975年IBMが行ったもので、上述大学の研究よりも早いプロジェクト開始され建物番号をとってIBM 801名づけられたプロセッサファミリはIBMマシン広く応用された。1981年製造されたシングルチップのROMPResearch (Office Products Division) Mini Processorの略であり、名前が小型市場意識していることを示している。これを使って1986年IBM RT-PCリリースしたが、性能的に問題があった。とはいうものの801はいくつかのプロジェクト生み出し、後にここからPOWER生まれることになった。 初期のRISCは、単純で小型ながら高い性能発揮する効果知られいたもの研究室レベルで留まっていた。バークレー成果はよく知られるようになったため、RISCという言葉一般化することになった多くコンピュータ業界関係者は、実際商用アプリケーション高速実行できなければ意味がない批評し、それを使おうとしなかった。しかし1986年、各研究プロジェクト成果製品となっていった。実際、ほとんどのRISCプロセッサはRISC-IIの設計コピーするころからはじまっている。

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「初期のRISC」を含む「RISC」の記事については、「RISC」の概要を参照ください。

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