初期のVTOL 回転翼機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/26 22:32 UTC 版)
「XV-15 (航空機)」の記事における「初期のVTOL 回転翼機」の解説
ヘリコプターで使用されるような回転翼を翼端に備える垂直離着陸機の概念は既に1930年代に原型があった。最初のティルトローターの特許は1930年5月にジョージ・レバーガー ( George Lehberger ) によって取得されたがそれ以上の開発はされなかった。 第二次世界大戦時ドイツのフォッケ・アハゲリス Fa 269と呼ばれた試作機の開発は1942年に開始されたが実際に試験飛行することはなかった。 これに続きアメリカ合衆国で1947年に試作された2機はアメリカ大陸で実際に飛行した初のティルトローター航空機となった。機体は単座の「トランセンデンタル モデル1-G(英語版)」と 複座の「トランセンデンタル モデル 2」で、両機とも単発のレシプロエンジンを動力とした。「モデル 1-G」(単座型)の開発は1947年に開始され1954年に初飛行した。モデル 1-G はチェサピーク湾で1955年7月20日に破損するまで飛行した。試作機は破損したがパイロットは軽症で済んだ。トランセンデンタル 1-G は実飛行した初のティルトローター機でヘリコプターから航空機への遷移は飛行中のローターポッドの迎角10度の状態での真の水平飛行だった。 複座型の「モデル 2」は開発製造され短期間の間、試験飛行したが、充分な空中停止(ホバリンク)試験はしなかった。空軍は試験飛行の結果を踏まえて、これらの2種の派生型の持つ試作機群への資金供給を打ち切った。 ベル XV-3 は1955年に初飛行した。以前の機体と同様にエンジンは胴体内に備えられ、駆動軸で傾斜可動が可能な翼端ポッドに装備され基部に設置された回転翼を駆動する構成だった。XV-3計画は、1966年5月20日、風洞実験装置で発生した事故により最後の機体が致命的な損傷を被ったことから、終了となった。 他に 水平飛行時に回転翼の回転速度を下げる手法:〔 マクドネル XV-1 コンバーチプレーン の恒速式回転翼機構 ( Slowed rotor system) 〕 回転翼が邪魔な抵抗源になる高速域内では回転翼を停止し、X字型の固定翼〔 小翼に対する上翼であり、擬似的な複葉機構成 〕とする設計 〔 シコルスキー S-72 Xウイング 〕 格納式の回転翼 を採用 〔 シコルスキー・エアクラフト社の回転翼を折り畳み、機体の胴体内部に格納するデルタ翼機である S-57 ことXV-2 〕 回転翼の羽根の翼幅〔回転翼直径〕が長辺から高速飛行向けの短辺に変化可能な、可変式の回転翼羽根機構を採用した設計 等の概念があったが、「ケネス・ウェルニッケ」 ( Ken Wernicke ) と「ボブ・リシェン」( Bob Lichten ) をはじめとするベル社の技術者の一団 は ベル・ヘリコプター XV-3計画で得た経験によりそれらの方式は実現性が低いと受け止めていた。
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