V810系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 00:31 UTC 版)
1990年代に入って、V810 (μPD70732) がリリースされた。型番上はVが付いているが、直接のつながりはない全く別のアーキテクチャに基づくRISCである。Hennessy-Patterson本に見られるような典型的な5段パイプライン構成を取る。 既存組み込み用CPUシリーズの代替あるいは後継機種として組み込み用途に使用されている。また、V810は日本電気ホームエレクトロニクス製の家庭用ゲーム機PC-FX、任天堂製のバーチャルボーイ、BrainPad TiPOにも用いられている。 V830はPDAなどに適したV810/V850よりも高性能なCPUで、NECのワープロ「文豪 JXS300」(1997年発売)などに搭載されていたが、他はあまり採用例が無く、当のNECでも自社のPDAにはV830を採用していなかった。 V850はルネサスエレクトロニクス製半導体製品のうち、例えば記録型DVD/HD DVD/BDドライブ向けチップセットであるSCOMBOシリーズのCPU、あるいはSCOMBOシリーズに属するワンチップコントローラの内蔵CPUコアとして提供されており、これらはソニーオプティアークやパイオニアといったメーカーによる光学ドライブ各種に採用され大量に使用されている。ほかにも家電やFA機器のサーボモーター、乗用車用の内燃機関や各種駆動用モーター制御、その他の各種多様なオペレーションに人知れず大量採用されている。 一部アセンブラの書式がV60 - V80に似せてあり、従来V60 - V80向けソフトウェアを開発していたプログラマが学習しやすいように配慮されていた。 VRファミリはPDAなどに適した高性能なMIPS系CPUで、1996年発売のゲーム機・NINTENDO64に採用されて1000万個単位で量産され、1997年には競合機セガサターンに搭載されたSHマイコンの出荷量を上回り、MIPSアーキテクチャのCPUは組み込み向けRISC CPUとして世界第1位の出荷量を誇った。またPDA向けとしても、NECのPDA「モバイルギア」シリーズのほか、カシオ計算機が2001年に発売したPDA「カシオペア ラジェンダ BE-500」(VR4131)などでも採用されていた。
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