航空宇宙分野
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「グローバル・ポジショニング・システム」の記事における「航空宇宙分野」の解説
航空 GPSやGLONASSなどの位置情報を航空機にも使用することが促進されている。 従来の航空機航法は、VOR・DMEなどの地上航法支援施設を用い、いわば電波の灯台への方位・距離を測定して現在位置を知る方法だった。これに対し、衛星が4個以上見えていればある程度の精度で絶対位置がわかるGPSは、航空機向けの測位方式であるとも言える。 しかしながらGPS信号をそのまま航空航法に使用するには、測位の安全性・信頼性・精度等に問題がある。具体的には、低高度、特に精度がもっとも必要とされる着陸寸前の地形による遮蔽・マルチパス、機体の姿勢変更に伴いロックした衛星(測位に用いている衛星)が変化すること、一般にGPSによる測位では航空機にとって重要な高度方向の精度が緯度・経度方向の精度より低いこと(ただしこれは計算方法にもよる)、ジェット機などは高速移動するためドップラーシフト・衛星コンステレーションの時間的変化が無視できないこと、などである。 ただし、大型機ではINS(慣性航法装置)や従来の測位方式などと併用すること、小型機ではVFR(有視界飛行方式)が主であることなどから、実際の運用では(制度上は認められていないものの)機長判断の参考として用いられている場合が多かった。 こういった流れを受けて、また近年では航空機運航の高密度化により定められた航空路以外の経路を飛ぶための一手段として、GPS情報を航法に利用することが国際民間航空機関(ICAO)や国土交通省航空局(JCAB)でも検討されてきた。その成果として日本では、一部の空港の離着陸手順においてRNAV (GPS) 航法の実施が2007年9月27日より開始された。航空機はウェイポイントとよばれる架空の点を結ぶ線を経路とするように飛行する。従来のVOR/DME航法では、VOR/DMEの位置、あるいは1つまたは2つのVOR/DMEから一定の方位角・距離にある架空の点をウェイポイントとしていた。これに対しRNAV航法では、地上施設に拠らない自由な点をウェイポイントとして定めることができるため、飛行経路の短縮による運航時間の短縮、燃費の節約などが見込まれる。 航空機での精度向上を一次目的とした、静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS: Satellite Based Augmentation System)の運用が以下の各国で開始され、あるいは計画されている。 米国:WAAS(Wide Area Augmentation System) 中国:CNSS(Compass Navigation Satellite System) ロシア:SDCM(System for Differential Corrections and Monitoring) 欧州:EGNOS(European Geostationary Navigation Overlay Service) インド:GAGAN 日本:MSAS(MTSAT-based Satellite Augmentation System) SBASでは、GPS衛星の補正情報(特に高度情報の補正)や信頼性情報を送信し、またSBAS衛星自体も測位のためのひとつの衛星として働く。さらにSBAS衛星は静止軌道にあるため、中〜低緯度地方では天頂に近い高仰角でみえているのも有利な点である(北緯35度では仰角55度)。航空以外の分野でも、例えばビル街でのカーナビの精度向上にも役立つと考えられている。SBASを補助情報として用いることができるGPS受信機はすでにSBAS対応(WAAS対応)受信機として広く普及し始めている。 日本のMSASについては、航空機でのRNAV運用に伴い、2007年9月27日から試験信号フラグ(MT0)が運用モード(MT2)となり、正式に供用開始となった。ただし初期のWAAS対応機など一部のSBAS対応受信機では、MSASの衛星番号を設定・処理できないため測位に利用できないものがある。 航空航法にあっては、用途によって最低精度が定められていることがある。GPS衛星の配置や運用停止などの都合上、飛行中に航法が求める精度を満足できない空域がある場合は、その空域にてGPSを航法に用いることができない。そのような空域や時間帯を飛行前ないしは飛行中に予測することをRAIM予測と言う。RAIM予測の結果GPSに依存する航法が使用できない場合は、VORなどの他の航法に切り替える必要がある。 宇宙 宇宙船及び人工衛星は、低軌道から静止軌道までの地球軌道で、姿勢制御(ACS)にGPSを利用している。
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航空・宇宙分野
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航空用エンジンの部品は複雑な形状が多いが生産量が少ないため3Dプリンタによる生産に向いている。CFMインターナショナル(LEAP-X)やGE・アビエーション(Catalyst)で使用された。また既に生産ラインが閉じた機体であっても、ポリエーテルイミド等のスーパーエンジニアリング・プラスチックを使用して補修部品やウィングレットを製作するなど、オンデマンドの部品製作でも採算が合うレベルとなっている。 スペースXでは宇宙船や宇宙服の製造に活用している。2014年9月には、ドラゴン補給船SpaceX-4で、実験用の宇宙用3Dプリンターが国際宇宙ステーションに運ばれて宇宙でも実験が行われることになった。この3DプリンターはMade in Space社が開発したもので、地球から離れた場所で補給がすぐに出来ない時にも簡単な修理部品を作って対応することが出来るようにすることを目指している。 ・具体例航空用エンジンの燃料ノズルやコンプレッサーのステーターとシンクロリングのブラケットなどで使用されている。コンプレッサーのステーターとシンクロリングのブラケットは2015年にボンバルディアへ納入が開始された、プラット・アンド・ホイットニーのPW1500Gではこの部品が使われている。燃料ノズルでは、3Dプリント技術によって部品点数を20点から1点に減らし、25%の軽量化と組立時間の短縮を実現している。燃料ノズルは、複雑な内部構造を最適に設計でき、低応力で非回転部品であるため、3Dプリントが適している。2016年にエアバス社に納入が開始されたLEAPでは、この燃料ノズルが使われている。
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